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ストックの木目とレシーバーのケースハードゥンが美しいAR-15

広い世の中、いろんなことを求めるユーザーはいるし、それに答える会社もある。それはわかってるけれど、中には「これは、一体、誰のニーズなんだろう……」と思ってしまうものもある。

※写真はwww.turnbullmfg.comよりサイズ変更などの加工をして引用。以下同じ。

TURNBULL RESTORATION & MANUFACTURING CO.という会社は、古い銃のリストアや表面仕上げのやりなおしをメインに行っている会社。それだけでなく、そっけない仕上げしかされてない新しい銃を、大昔と同じように手間暇かけた仕上げにやり直してくれるなんていうサービスもやっている。

公式サイトのギャラリーを見ると、それはそれは美しい作例がたくさん載っている。もちろん、お値段もそれなりのものだ。値段表を見ると、SAAのフレームのフィニッシング(表面仕上げ)で350ドル、1911をまるごとだと400ドル。これはもちろんきれいな状態から表面仕上げをやりなおすだけの値段で、ボロボロのものをレストアするとなるとSAAで3500ドル、1911で1800ドルとのこと。
 

ブルーイングも剥げ、傷だらけになり、それどころかエジェクターロッドハウジングまで欠損してしまっているSAAを、それはそれは見事なブルーイング&ケースハードゥン処理が施された新品同様の形にリストアしている例がサイトに掲載されていた。確かにこれだけのことをしてくれるのなら、日本円にして数十万円くらいはぜんぜん惜しくないかもしれない。

ウインチェスターのレバーアクションとかSAAとか1911とか、あと高級なショットガンなんかについては、確かにそういうニーズがあるのは分かる。そっけない塗装仕上げになっているようりは、吸い込まれるような漆黒とか、空をそのまま移したかのような青色とか、炎がそのまま焼きついたかのようなケースハードゥンとか、そういった仕上げになっているほうがずっと「それっぽい」。

けれど、思いっきり現役の軍用銃、それも登場時には「SFに出てくる光線銃みたい」とまで言われたAR-15を、そういうアンティークな仕上げにした製品は、誰がどういうニーズで購入するんだろう? 冒頭にある「TAR-15」と名付けられたライフル、.223Rem(5.56mmNATO弾と同規格)を撃つセミオートライフルとして販売されている。
 

ストックやグリップ&ハンドガードは美しい木目だが、これは実は木製ではない。ストックとグリップはプラスチック、ハンドガードはアルミ製で、木目調プリントがされているだけとのこと。ただしアッパーとロアーレシーバー、元のAR-15だとアルミ製のはずだが、これはスチール製のものにちゃんとケースハードゥン処理を施したものとのこと。価格は「要問い合わせ」としか書いてない。
こちらは「TAR-40」という名前が付けられている。.308Win(7.62mm旧NATO弾と同規格)を撃つ大口径のAR-15だ。DPMSのLR-308をベースに、ストック、グリップ、さらにフォアエンドを木製(アメリカン・ウォルナット)に交換。アッパー&ロアレシーバーもスチールをケースハードゥン処理されたもの。こちらもTAR-15と同じく価格は問い合わせてくれとのこと。

古い銃のレストアについては技術も評価も高い会社のようなのだが、なんでまたAR系ライフルの古式銃風仕上げなんていうキワモノな分野に手を出したのか。SAAやウインチェスターレバーアクションなら、そういった美術品みたいな仕上げにした上で部屋に飾ったりしても絵になるだろうに……? もしかしたら今のアメリカ人にとっては、AR系ライフルは既にそういった銃と同じように、歴史とノスタルジーの象徴となりつつあったりするのかも?

TURNBULL RESTORATION & MANUFACTURINGを紹介する動画はこちら。

池上ヒロシ

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池上ヒロシ

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