【ガンマメ】民間でも銃が持てる国はアメリカ以外にある?

そもそも民間での銃所持を全面的に禁止してる国なんてものは、おそらく存在しない。

確かにアメリカは銃の所持率が極めて高い国だ。銃が1挺以上ある家庭は全体の40%にのぼると言われ、単純に数だけを数えるなら国民1人あたり1挺以上の銃が民間で所持されている計算になる。この率は世界ランキングで比べても2位以下を大きく引き離してのダントツのトップだ。

しかし、だからといってアメリカ以外の国で民間での銃所持が禁止されているわけではないし、もちろんアメリカで民間での銃所持が一切規制されていないわけでもない。どの国でも一定の制限はある。たとえば持てる銃の種類だとか、所持する目的だとか、所持しようとする人の年齢だとか犯罪歴といったものだ。銃所持についてフリーダムであるかのような印象があるアメリカでも、民間では所持できない種類の銃はあるし、合法的には銃を所持できないとされる人もいる。逆に銃所持が極めて厳しく規制されているという印象がある日本でも、一定の手続きを経れば民間人が銃を所持することは可能だ。

 

民間人に対して、「狩猟」あるいは「スポーツ射撃」に使うために銃を所持することを例外なしに全面的に禁止しているような国は、おそらくこの地球上には存在しないと思われる。

銃の所持について厳しい規制がある国として思い浮かぶのは、まずは私達が住むこの日本だろう。けれど、このブログを読んでくれてる人ならご存知だと思うが、日本でも民間人が実銃を所持することはできる。

日本における銃規制は、特別な職業(警察官とか自衛隊とか)に就いているわけではない普通の人、いわゆる「民間人」が銃を所持するのは「原則として禁止」だが、「特定の目的」のためなら特別に許可するというもの。この「特定の目的」というのは、「狩猟」と「標的射撃」の2つのことだ。狩猟にも標的射撃にも使えない銃、例えば護身用の小型拳銃だとか、フルオートで撃てる軍用のライフルだとかは、民間では所持することができない。

実のところ、その部分だけに注目するのならば日本の銃所持に関する規制は、諸外国とくらべてもそれほど厳しいと言えるものではない。合法的な銃所持目的として認められているのは「狩猟」「標的射撃」の2つだけだというところも、護身用の拳銃やら軍用ライフルやらが民間で所持できないというところも、ほとんどの国で共通だったりする。

ならば、なぜ日本は銃規制が厳しい厳しいと言われるのか? そして、実際に銃を所持している人の率も民間で所持されている銃の数も極めて少ないのか? それは規制の範囲ではなく、実際に銃を所持しようとしたときに必要になる手続きがやたらと多かったりめんどくさかったり時間がかかったり、手数料を始めとして高額な費用がかかったりするのが主な原因なのではないかと思う。ただ、そこについては本題ではないのでとりあえず置いておく。

日本以外で銃規制が厳しい国としては、イギリス、シンガポール、中国なんかが挙げられるだろう。イギリスは空気銃の所持に特別な許可がいらない(年齢制限とか届け出義務みたいなものはあるらしい)以外は日本とだいたい同じ。シンガポールはスポーツ射撃用途以外は一部の例外を除いてほぼ全面禁止で、日本では玩具とみなされるBB弾を撃つエアガンですら違法となる厳しさだと聞く。中国は物凄く厳しく趣味としてのスポーツ射撃もほとんど許されていないが、それでも狩猟用としての所持は一部の地域で可能なのだとか。

護身用目的での銃所持を法律で認めている国というのは、実のところそれほど多くはない。

「アメリカみたいに銃が持てる国」という表現で連想されるのは、護身用としての銃所持が広く認められている国だろう。護身用、「セルフディフェンス」とか「セキュリティ」という名目になっていることが多いが、ぶっちゃけて書いてしまうと、要は「人を撃つため」に銃を所持することをおおっぴらに法律で認めるかどうかということだ。それを認めている国というのは、実はそれほど多くはない。国名を書いて普通に通じるところだと、アメリカ以外ではオーストリア、チェコ、ハンガリー、ポーランド、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、インド、イスラエル、メキシコといったところだ。

前ページで「銃規制が日本よりも厳しい国」の代表例として出したシンガポールだが、なんでも調べてみるとセキュリティ目的としての銃の所持が認められることもあるのだとか。詳しいことは良くわからないけれど、一部の特権階級とかそんな人達だけの特例だったりするのかも……?

 

参考にしたサイト:GunPolicy.org

 


「ガンマメ~銃の豆知識~」では、銃のメカニズムや歴史などについて、難しい言葉を使わずわかりやすく、けれどいいかげんなことは書かずにできるだけ詳しく書いていきたいと思っています。毎週火曜日、週に一回のペースを目標に新しい記事を投稿できればと思っていますので末永くよろしくです。

池上ヒロシ

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