晴れている日のライフル射撃場では、飛んで行く途中の弾が日光に照らされて一瞬だけキラリと光るのが見えることがある。土砂降りの中でクレー射撃をすると、飛んで行く散弾が雨粒に当たって作る水しぶきが弾道を描き出すことがある……なんて話を聞いたこともある。だが、基本的にはまず見えないと考えていい。
これは、特にゼロイン(照準の調整をすること)をするときに大きな問題になる。ゼロインを行うときには紙のターゲットの中心を狙って何発か撃ち、弾が当たった場所が中心からどちらの方向にどれくらい外れているかを計測して照準器を調整するが、ターゲットに当たらないくらい大きく外れてしまう場合や、紙のターゲットではなく空中にあるものを狙って撃つ場合などは、「そもそもどちらに外れたのか」すらわからないので、全く照準調整ができなくなってしまう。この点が、飛んで行く弾を目視できるエアガンとの大きな違いと言える。
そのため、実銃(ライフル)のゼロインでは、まず最初に「ボアサイティング」を行うのがお約束になる。基本的に全てのライフルは、ボルトを外すことで銃身を素通しにすることができるようになっている。銃の後ろから銃身を通してターゲットを見て、銃身の中にターゲットが収まるようにした状態で銃を固定し、スコープ(あるいはサイト)をターゲットに合わせる作業を行う(使用弾や射撃距離によっては、弾のドロップ分を考慮して合わせる位置を調節することもある)。実際に弾を撃たずとも、ボアサイティングをするだけでまず「ターゲットの中のどこか」には当たるので、そこから先のゼロインも楽に行えるというわけだ。
特殊な弾を使うことで、弾道を目で見えるようにする方法もある。弾の中に発光体を内蔵することで、弾が飛んで行く軌跡を目視できるようにしたのが曳光弾(トレーサー)だ。もっとも、これは一般的な銃器に用いられることはほとんどない。航空機に搭載される機関銃の弾に混ぜることで警告や威嚇を行ったり、対空機関砲で使用することで射撃中に弾道を調整したりするためのものである。
「ガンマメ~銃の豆知識~」では、銃のメカニズムや歴史などについて、難しい言葉を使わずわかりやすく、けれどいいかげんなことは書かずにできるだけ詳しく書いていきたいと思っています。毎週火曜日、週に一回のペースを目標に新しい記事を投稿できればと思っていますので末永くよろしくです。