Categories: トイガン射撃

いつのまにかずいぶんと本番慣れしてきた

いろとりどりのユニフォーム。主な練習場所やよく参加している練習会、あとはチームとかグループとか、チームのメンバーではなくても関わりが深い人とか、あとは特定シューターのファンとか、そんな感じで多くのグループがあって、互いに良い感じで競い合ったり交流したりしている。

エアーガンを使った競技会は数あれど、メーカーあるいは業界団体が主催しているものはAPSカップが現時点ではオンリーワン。もう何十年も基本的なルールを変えずにずっと続いてきている、精密射撃系に分類されるシューティングマッチだ。毎年夏に行われる「本大会」の他、全国各地で公式な記録会や練習会などが開かれている。シューター達が独自に開催している非公式な練習会に至っては、毎週、いや毎日のようにどこかしらで開催されているだろう。

タイムを競って勢い良くバンバンバンと撃っていくスピード系のシューティングマッチに比べると見た目の派手さでは見劣りしてしまうが、やってみれば「面白さ」という点ではけっして引けはとらない。それどころかのめりこめばのめりこむほど先の知れない「奥深さ」があって、いつのまにかすっかり精密射撃の虜になってしまった人も大勢だ。

このAPSカップ本大会、今年でもう24回になる。私も最初に参加したのはもういつのことだかよく覚えていない、たしか十数回あたりだったと思うから、もう10年かそこらずっと参加し続けていることになる。最初に参加したときは初心者ゆえの怖いもの知らずでプレッシャーなんか感じることもなく撃つことができたものだったが、2回め・3回めともなるとしっかり練習は積み重ねていても本番になると脚が震えて視線は定まらなくなり、とんでもない悪い点を撃ってしまったりすることもあったのを思い出す。

今でももちろんプレッシャーは感じる。こいつと無縁になるなんてことは、多分一生かかっても無理なんじゃないかと思う。けれど、良い付き合いを続けていくことくらいはなんとかできるようになったらしい。どれだけ不測の事態が起きてグダグダな精神状態であっても、射撃眼鏡を着けて右手をグリップの中に押し込み、スタンスを整えつつ身体の姿勢を確認し、さあ射撃を開始するぞとなれば、いつもどおりの感じに気持ちがコトンと収まる、そういうことが当たり前にできるようになってきた。いろんなところに行っていろんな大会に参加して、いろんな人達と会っていろんな人達に負けたり勝ったりして、そういう経験を積み重ねていくことで培われてきたものなんじゃないだろうか。

今回のAPSカップも、決して運営の不手際とかそういう理由によるものではないのだが、自分にとっては「トラブル続き」だった。朝からいきなり東武線が止まっていて会場である錦糸町までの最短ルートが寸断されてしまっており、スカイツリー駅から押上駅まで荷物抱えて走るハメになったのが先制パンチ。ブルズアイの採点では私を含めて同弾(複数の弾着が一箇所に集まってしまい、どこに何発あたってるのか判別が付かない状態のこと)が続出して採点にやたらと時間がかかり、次のステージであるプレートに向かった時にはもうすでに競技開始直前だったこと。

特に後者は、普通ならネクストに座っているときに前の順番の人たちが撃ってるのを後ろから見ながら脳内シミュレーションをするのが常なのだがソレができずに、文字通りの「ぶっつけ本番」になってしまった。いきなり一番下の大きなプレートを2枚も外してしまったが、そこで気持ちを切らさずに残りの10枚をミス1つだけで済ませてクリアできたのは我ながらたいしたもんだったと思う。

競技進行スケジュールの都合があるとはいえ、射座に入ってからの準備時間が極めて短いAPSカップ。「サイティング練習」と称する銃を構えてのスタンス調整も1回しかできないし、試射に至っては一発も許されていない。そんな短い準備時間でも、慣れた参加者は手際よく射座を自分の使いやすいように整えて、スタンスの確認や射撃眼鏡の調整などを行う。

毎度のことだが、スコア的に大きく「足引っ張り」になるのがシルエットだ。距離が違う5つの小さな金属ターゲットを撃って、当てて台の上から落とす(あるいは倒す)ことで得点になる。普段の練習では、外したときにどちらの方向に外したのかを確認しながらでないとサイト調整ができない。私の場合、サイトに集中して撃てているときは飛んで行く弾なんか全く目に入らないので、実際と同じように金属ターゲットを置いての練習ではまるで練習にならないという事情があり、紙に印刷したターゲットを撃ってサイト調整を行うという方法で練習をしていた。

APSカップ・ハンドガン部門の中で唯一、両手で撃つことが認められているのがシルエット競技。当然、ほとんどの人は両手で持って撃つのだけれど、私の場合は両手持ちの練習を普段はまるでやることがないのでシルエットでもスタンディングでは片手で撃つ。他にも何人かは同じやりかたをしている人がいたと思う。※写真と本文は関係ありません

前日の夜に赤羽レンジを訪れて、夜遅くまでかけて調整を行い、「だいたい7~8割くらいの確率で10m・9mは落とせそうだな」という自信は持ててたのだけれど……。10mを3発外し、そこで9mに移るがやはり1発外し、最後の1発をなんとか9mに当てたもののスタンディングではたったの1発のみのヒットという残念な結果に。

プローンについては、全く練習をしていないので、とりあえずサイトだけしっかり合わせて撃ったら、意外にも5発全部がヒット。結果はブルズアイ100-4x、プレート3枚外しの48、シルエット25の合計173-4x。順位は惜しくもギリギリで賞状・賞品がもらえない7位となった。

最後に撮影した集合写真。といっても午前中のオープンサイト部門の参加者は先に帰ってしまっている人も多いので、これで全員というわけではない。

今年からAPS本大会の会場は、浅草の都産貿から錦糸町に移った。会場の広さとしては狭くなるはずだから人口密度的に大丈夫か心配だったのだが、天井にスポットライトがたくさん設置されていてターゲットを明るく照らしてくれているので照準はやりやすかったし、会場の床もシッカリしていて台東館の時のようにプローンで狙っていると床がグワングワンと揺れるのが分かる、なんてことも無かったので、環境としてはグッと良くなったんじゃないかと思う。会場規約の関係か、これまでは恒例だった同時開催のJASGフェスタがなくなってしまったのは残念ではあるが。

それなりに新しい人も入ってきてはいるのだけれど、参加人数だけをみると劇的に増えているというわけではなく、盛り上がりとか先行きとかには若干の不安を感じてしまうこともあるAPSカップの世界だが、最後にちょっと驚くべきニュースが発表された。APS用の競技用エアガンに限っては、東京都の青少年育成条例が定める「有害がん具」とはみなさず、18才未満でも所持したり撃ったりできるようにする方向で話が進んでいるというものだ。実はこれまでも、保護者の監督のもとでなら18才未満であってもAPS競技銃を使用して練習会や競技会に参加することは認められていたのだが、その範囲を拡大し、公的に認められた「APS射撃指導員」のような立場の人が管理する場なら、保護者同伴でなくても大丈夫という形にするという話である。

具体的にその指導員(?)の制度というのがどういうものになるのかが不明な現状ではなんとも言えないところはあるが、現状では低年齢層の参加者は「親が物凄く熱心なAPSシューターで、それに連れられて付き合いでAPSやってる子供」に限られてしまっており、親はそれほど熱心ではないがAPSに興味を持ってる子どもたちは、どれだけ本人にやる気があってもどうしようもなかったのに比べれば、大きな変革の一歩になるかもしれないニュースである。うまくすればAPSカップだけでなく、日本における精密射撃界そのものが、この改革によって大きく変わっていくことになるかもしれない……なんて期待を持ってしまう。

池上ヒロシ

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池上ヒロシ

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