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第53回・静岡ホビーショー(番外編)

静岡ホビーショーのレポート、最後はエアガンも銃も関係ない趣味の分野。

ビルドファイターズ面白かったなあ(バンダイ)

ガンダムの最新TVシリーズとして先日放送が終わった「ガンダムビルドファイターズ」。ガンダム世界じゃなくて「ガンプラがある近未来の世界」を舞台に、プラモデルそのものを特殊な粒子で操って戦うゲームを題材とした一種のスポーツ物だ。最初は「ガンプラバトルって、プラモ狂四郎の二番煎じかよ……」と、ほとんど期待もしていなかったのだが、始まってみたらこれがまた面白い。影響でプラモデルの売上げもかなり良い方だったそうで、近年のガンダムTVアニメとしては大成功といっていい結果になったそうな。

「ガンダム」の名前を冠してはいるものの、やっているのは戦争でも仇討ちでもなく、単なるゲーム。遊びである。人の生死がかかっているわけでもなく、世界を救うための戦いをしているわけでもなく、勝ったら嬉しい負けたら悔しいというただそれだけだ。それゆえに登場人物がみんなまっすぐで気持ちのよい連中ばかりで「お話」として面白かったというのが成功した理由の一つ。

それともう一つ、題材が30年以上もの歴史のある「ガンプラ」であるがゆえに、いくらでもネタが、それこそ無尽蔵に湧いて出てくる点も魅力となっている。どんな局面でどんな武器を使ってどういう対処法をとってどういう戦い方をしてどういうふうに勝つか(あるいは負けるか)、多くのガンダム作品からのエピソード、関連商品や設定集にあるウンチクなどが次から次に披露される。知らなくてもついていけるような工夫は一応されているのだけれど、基本的な展開のところでガンダム作品のことを十分に良く知っていることを前提に話が進んだりする。ムチャな脚本だなあ、これ「ガンダム」じゃなかったら通らないだろうなあ……と思うこともしばしばだった。

作中にしか登場しない、登場人物が自分で考えて作ったオリジナルの「ガンプラ」の多くが製品化されている。既存のガンプラに付け足したり組み替えたりすることで再現できるもの、全く新しく金型から作ったものなど様々だ。

序盤から通して、登場人物達を見守り導き時には教え諭す「大人」として描かれていた謎の人物「ラルさん」が、最終回で使用し鬼のような強さを見せた「グフR35」。

「序盤に登場するやられキャラ」的な立ち位置にありながら、その圧倒的な個性と溢れ出るギャンへの愛で、多くの視聴者の心を掴んだ「サザキ君」が使用したギャンのカスタム「ギャンギャギャン」。……じゃなくて「ギャンバルカン」。

既存のギャンのキットに追加するキットとしての発売。といっても見比べると顔から胸から肩から全然形が違うぞ……と思ったら、そこらへん全部交換しちゃうけっこう規模が大きい換装キットになっているっぽい。

ラスボスとして登場するか……と思いきや、なんやかやいろいろとあって結局この形でバトルに投入されることはなかったガンダムアメイジングエクシア。「いまどきのガンダム」っぽい、やたらとトゲトゲしていて関節部分の細い、いかにも脆そうな感じのデザインだ。こういうトゲトゲしたガンダムと、最初期のころのどちらかというと丸っこかったり重厚な雰囲気があったりするガンダムやジオンのモビルスーツなんかが同じ土俵で戦う様子というのは、毎週見ていてとにかく面白かったのだ。

ちょっと尻切れトンボ感があったヤマト2199(バンダイ)

徹底した考証の見直し、独自解釈、そして最新技術とお金をつぎ込んだ映像で圧倒されたヤマト2199だけれど、終盤になって少し尻切れトンボというか、置いてけぼり感がある終わり方になってしまったのが残念だ。ウワサだけがあった続編についても、このホビーショー会場にてさわりだけが発表にはなっていた。

模型についても主要なところはだいたい出尽くした感があり、残った超巨大戦艦や、スケール違いの豪華モデルやそのバージョンアップキットなどが今回の目玉である。

ガミラスの巨大戦艦であるドメラーズⅢ製が、他のラインナップと同じ1/1000スケールで製品化。見ての通り、常識はずれの巨大さである。値段もびっくりの高価格になるかと思いきや、高めではあるもののプラモの常識範囲内である「12,960円」とのこと。7月発売予定。

こういう巨大物になると細かい部分のディテールは手抜きされるのが普通だけれど、やったらめったら細かい部分までミッチリといろんなディテールが作りこまれている。艦橋部分は設定どおり分離可能で、劇中での仕様変化(瞬間物質移送器の有無)も選択可能になるとのこと。

既に発売中の1/500ヤマトに使用可能な拡張セット。内部の艦載機の収納の様子を再現できるターレットと安定翼のセットだ。

1/12スケールのアナライザー。クリア部品やらなんやらがふんだんに使われたけっこう豪華なキットになるようだ。……すごいオボロゲな記憶なんだけれど、昔のヤマトもスケール大きめのモデルに、このくらいのサイズのアナライザーがオマケでついてきたことって無かったっけ……?

「未来少年コナン」に登場する主役メカと言ったら!?(アオシマ)

子供の頃、夢中で見ていたアニメを一つ二つ挙げろと言われたら、ヤマトと並んで確実に出てくるのが「未来少年コナン」だ。まだジブリアニメなんて言葉がなかったころ――というかそもそも、スタジオジブリが存在すらしてなかった時代の宮﨑駿代表作の一つである。

ただこの作品、子供の頃に見たときの印象と、大人になってから見た時のそれとは微妙に違う。ちっちゃな子供の頃は、そりゃもう無邪気に、コナンみたいに縦横無尽に活躍して、大人たちをやっつけて懲らしめて、可愛くて可憐な女の子と恋に落ちて……みたいな気持ちを持って見ていたものだった。少し育って、学校とかで人間関係に少し悩んだりするようになると、今度はジムシイのように見た目は格好良くないけれど強くて頼りになるヤツの格好良さがわかってきたりする。

社会人になってから見ると感情移入しちゃうのはキャプテン・ダイスだ。子供のころは、とにかくそのワガママで暴力的で嘘つきで無闇に偉そうでバカなところが大嫌い、まさに「嫌な大人」の代表格みたいな存在だったキャラなのに、大人になってから見ると、一本筋が通っているその心意気、明確な目標と野望、「海の男である」という自分自身への強い誇り、クルーへの深い愛情を持っていることなどが読み取れるようになってくる。「嫌な大人」と感じた部分は、子供にはわかりづらい複雑で一筋縄じゃいかない大人社会の中で筋を通そうとするがゆえのものだったってことがわかると、子供の頃は嫌でたまらなかったこの男が、とてつもなく格好良く見えてくる。

そのキャプテン・ダイスの船が蒸気帆船「バラクーダ号」だ。主人公であるコナンにとっても、あるときは忍び込む敵の城であり、ある時は監獄となり、ある時は家となり、ある時は救いの手となる関係の深い船だ。作中を通して、拿捕されたり撃沈されそうになったり爆弾で船底に穴を開けられて座礁したり津波で山の上まで打ち上げられたりと波瀾万丈な生涯を送り、最後には修復されて新天地へと向かうその姿が画面に大写しになって長い物語が終わるという、まさに作中を通して「主役メカ」といっていい立ち位置にある船だった。

そのバラクーダ号がアオシマからプラモデルとして発売になる。1/200スケールで予定価格は4,000円、水面上に浮かぶ部分だけの「ウォーターライン」と船底まで全部再現した「フルハル」のどちらかの仕様を選択して組み立てることができる。発売日は未定。

同じスケールでフライングマシンとロボノイドが付属する。

ランナー状態のテストショット。実際には茶色・薄茶色・透明の3色になるとのこと。

細かい部分まで緻密に作りこんである。子供の頃、アニメを見ながら主人公たちと一緒にあちこちを走り回ったりよじ登ったり閉じ込められたりした船だけに思い入れも深い。うん、これは買うわ。

キャプテン・ダイスを「未来少年コナン」の「主人公」だと解釈すると、ヒロインは当然モンスリィだろう。王道のツンデレキャラである……当時はそんな言葉は無かったが。

で、モンスリィの愛機といったら小型の飛行艇、ファルコである。これまた最初からほぼ最後まで大活躍した主役メカの一つ。アニメを見ていた子供達にとっては、主人公たちと一緒にしがみついて壊したり閉じ込められたり追いかけられたり助けられたり一緒に戦ったりした思い出の機体だ。

これもまたアオシマから新規でモデルアップされる。スケールは1/72、価格は4,000円で発売日未定。コクピット内も忠実に再現し、キャノピーや観測窓は透明部品を使用する精密キットとのこと。

ウリ文句にある通り、コクピット内の再現が凄い。リベット留めやツギハギのある機体表面の感じもいかにもって感じで良い。

ランナー状態のテストショット。左下のコクピット内部関連パーツだけ、細かさがちょっとおかしいレベルだ。

とまあ、最後はちょっとおっさん趣味全開になっちゃったホビーショーリポートでした。

池上ヒロシ

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池上ヒロシ

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