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ノーベルアームズ COMBAT M4・製品レビュー

報道写真や広報写真を見る限りでも、Aimpoint製のドットサイトを実際にM4カービンに取り付けて使用しているアメリカ軍兵士は少なくない。もっとも最近はACOGサイトの使用率が急激に高まっているようで、Aimpointを含む「電池を使うドットサイト」を見かける機会は少なくなってきている。写真は2010年7月、アフガニスタンにて反政府軍の貯蔵庫を捜索中のアメリカ軍兵士(photo : army.mil)
レンズを使って無限遠に光点を投影し、射撃の際の照準に利用するのがドットサイト。「ダットサイト」とも表記することがあるが、英語の「DOT」をローマ字読みするか原音に近く表記するかの違いでしかない。望遠鏡のように対象を拡大する機能は持たないものがほとんどだ。スコープのように片目だけでレンズを覗きこんで照準することもできるが、基本的な使い方としては両目でターゲットを見た状態で片目だけをサイトを通して見ることで光点とターゲットを重ねあわせるものだ。

初期のドットサイトは今のようにレンズを通してターゲットが見えるようにはなっておらず、鏡で反射した光点だけが見えるものだったという。今のドットサイトで、対物レンズにあるキャップを閉めたままで使うのと同じような感覚になるのだろうか。もちろんその使い方でも、「両目でターゲットを見て、そこに光点を重ねあわせる」という使い方をするのならば問題なく照準はできるはずだ。

そういった時代、いわばドットサイト黎明期のころからドットサイトを狩猟用やスポーツ射撃、さらには軍用の照準器として売り込んできたメーカーがAimpointである。「軍用ドットサイトの先駆け」といった位置づけのメーカーだ。レジャーやスポーツ射撃と軍用とで求められるものの違いは、なによりも信頼性の高さである。狩猟やスポーツ射撃ならサイトが故障して狙えなくても、獲物を逃すか点数を落とすかのどちらかで済むが、軍用だったらダイレクトに自分の命に関わってくる。「狙いたい時に狙えない」なんてことは万に一つでもあってはならない。そういったこともあって、Aimpointのドットサイトの最大の特徴としてメーカー自身が大々的にアピールしているのが電池寿命の長さだ。

定番となっている「Comp M4」では、回路設計の効率化により、「ノーマル」のモードでならば電池交換ナシで80,000時間も使えるとのこと。形状も構造も実にオードソックスで、サイト本体となる太い筒とバッテリーが入っている細い筒が2本並列にくっついていて、その下に銃に取り付けるための四角い台座が固定されている、ただそれだけのもの。まさにシンプル・イズ・ベストを具現化したようなドットサイトである。

「ホンモノ」のAimpoint Comp M4。工具なしでレールへの取り付け/取り外しができるQRP2マウント込みの価格で121,800円。全長:120mm、重量:335g。取り扱い……Aimpoint日本正規輸入代理店:ノーベルアームズ

「使えるレプリカ」といったらノーベルアームズ

実際に軍用としても使われているホンモノと同じ製品ともなると、お値段もけっこうなものになってしまう。お財布の中身に余裕があって、使い道も比較的自由で、なおかつこだわりがあるのならば選択肢に入ることもあるかもしれないけれど、大多数のトイガンユーザーにとっては高嶺の花、最初から購入の選択肢に入ることもないくらいの価格帯ではなかろうか。

というわけで、レプリカ製品である。世の中に出回っているレプリカ品の中には、形をそっくりそのまま真似るのは当然としてロゴや刻印、注意書きに至るまで忠実に再現しているものも少なくない。形はともかくロゴの丸コピーは法律とかそこらへんで不味い部分もあるんじゃないかと心配になるのだけれど、けっこう堂々と販売されている。

そういうのとは違い、大まかな形は似ているものの細部は異なり、ドットサイトとしての基本性能の方を優先した作りになっている「実際に使えるレプリカ」がノーベルアームズから発売されている。例によってAimpointの正規代理店をしながらそのレプリカ?品を発売しているってのも凄いと思うのだけれど、立場的には「トイガン用の廉価版」という位置づけと考えてOKなのだそうだ。

メーカー:ノーベルアームズ
製品名:COMBAT M4
価格:16,000円(税抜き)
倍率:1倍
レンズ径:30mm
全長:133mm
重量:362g
使用電池:単三電池×1

見ての通り、細かい部分の形こそAimpoint Comp M4とは異なるが、遠目には分からない程度の違いでしかない。なにより価格がはるかにお求めやすいものになっているのと、それでいてドットサイトとしての基本的な性能がしっかりしているという点が嬉しい。

まずは、なによりも読者の皆さんが気になるであろう「実際の見え方」から。

ドットの明るさは全部で7段階に調節できる。左が中間位置の「4」、右が最大の「7」に合わせたところ。距離は10m、奥にあるターゲットはピンポイントシューティング用のブルズアイターゲット(黒丸の大きさは22mm)である。撮影協力:赤羽フロンティア

見ての通り、見事なものである。普通、カメラのレンズを通して写真に撮影すると肉眼では気にならなかった微妙な歪みが気になったりするものだが、ドットは全く歪みなくまんまるのままだ。「これ、実はレンズ入ってなくて素通しです。光点は横からレーザーサイトでターゲット照らしてるんです」とか言われても違和感がないくらいの自然な見え方だ。さすがに最大光度にすると鏡銅内の反射が写り込んでしまうが、これはカメラで撮影したからであって実際に肉眼で見ると「あえて、ソレが見える角度に目を持っていく」ようなことをしないかぎり見えることはない。
※なお、「1」~「3」は暗すぎて写真に撮影するのは難しい。真っ暗に近い部屋の中などを想定した設定だと考えた方がいいだろう。

対物レンズ(左)と接眼レンズ(右)。対物レンズにはドットを反射させるためのハーフミラーコーティングがあるためオレンジっぽく見えるが、接眼側を見ると透過率を上げるためのグリーンマルチコーティングが施されているのが分かる。

以前のCOMBAT M4と微妙に違う!?

ノーベルアームズの製品は、製品名そのままでも微妙にバージョンアップされていたりすることがあるという話は以前「T1」でのレビューで書いたとおり。COMBAT M4も、最近になって出荷されたものは、以前のものには無かった要素が追加されている。

これがバージョンアップ部分、エレベーション/ウインデージアジャストスクリュウキャップのフタを繋ぐワイヤー。実物のAimpoint Comp M4だとゴム製のシートみたいなもので本体とつながっていたが、実に開け閉めがやりにくかった。ワイヤーも、何もないよりはやりにくいがゴムよりはマシだ。
ワイヤーとキャップは回転するようになっているので、この写真のように片手でワイヤーを摘んで固定しつつ、もう片方の手でキャップを回して外す、という手順になる。
キャップを外し、アジャストスクリュウを露出させたところ。コインや大きめのマイナスドライバーなどを使って回す。アジャストスクリュウはかなり固く回すのに力がいるが、「これ以上回らない」というところまで回してしまったら、それ以上は無理して回さないこと。

Aimpoint Comp M4との違い

中身とか材質を見ていけばもちろん値段相応の違いはあるのだろうけれど、とりあえず外見や実用上の大きな違いだけを見ていこう。

当たり前の話ではあるのだけれど、「Aimpoint」のロゴは入っていない。もっとも実物のCompM4もロゴはあまり目立たないように、文字の輪郭だけ反射具合の違う表面処理をされているだけなのだが。上がAimpoint CompM4、下がノーベルアームズCOMBAT M4。

あとはマウントのネジの締め方。Aimpoint Comp M4用のマウントは2本のネジで締める「TNP」、レバー操作で着脱する「LRP」、そして指で大きなノブを回して着脱する「QRP2/QRW2」の3種類がある(QRP2とQRW2の違いは対応レール幅の違い)。QRP2は強く締めると自動的に空回りすることで必要以上のトルクがかからない仕組みになっているが、COMBAT M4付属のマウントは指でノブを回して着脱できる部分は同じだが、トルク調節機能は付いていない。

マウントには9mm幅のスペーサーがあって、それを着脱することにより使用銃のマウントレールの高さに合わせてドットサイトの高さを2段階に調節することができる。これはAimpoint Comp M4と同じだ。もっともスペーサーの微妙なデザインには違いがあるが……。

おまけ:レール取り付けでトラブったら

マウントの着脱で、一度「ドハマり」しちゃったのがコレ。リコイルストップが斜めになって引っかかってしまい(一番右の状態)、にっちもさっちもいかない状態になってしまった。

「COMBAT M4」のレールへの取り付けで、「うまく取り付けられない」という状態になってしまう原因として考えられるのが、上のトラブルだ。マウントの下側にある「横棒」、レールにうまく噛み合って前後方向に動かないように光学機器を固定するためのもので、「リコイルストップ」とか呼ばれている重要なパーツなのだが、マウントのノブを回して緩めようとしたとき、ちょっと力の入れ加減を間違えると変な具合に持ち上がって斜めになったまま動かなくなってしまうことがあるのだ。

この状態になってしまうともう、緩めようが引っ張ろうが押そうがびくともしない。うまい具合に斜めに力を入れると「ポロッ」ともとに戻るのだけれど、ちょっとした知恵の輪みたいな形になっちゃうので意外に厄介だ。

なんか、マウントレールにうまく固定できない……? というときは、上写真の左の状態、つまりリコイルストップが斜めになっちゃっていないかどうかを確認してみよう。

池上ヒロシ

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池上ヒロシ

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