前回はAPS-3のトリガーを分解し、簡単に部品を並べただけの状態の写真を掲載した。あの後(TMVさんとやりとりとかしながら)どういう構造になっているのか、何をどうすればトリガーを軽く、キレの良いものに出来るかを試行錯誤して、「コレなら行けるんじゃないか?」というところまで来たのでそのノウハウを公開しようと思う。
今公開したら本戦で不利になるんじゃないか……なんて心配もあるけれど、タイミング的には「この状態でトリガーを弄ってるようだともう遅い」な感じだし、そもそも情報を出し惜しみして優位に立とうなんて考えも姑息だし、気にせずに公開することにする。
ここで付けた名前はあくまで勝手に付けた物で、このサイト内でのローカルな呼称だと思って欲しい。まあ、「トリガー」と「ストライカー」あたりは誰が呼んでも同じ名前だとは思うが……。もし、サードパーティーの出す製品名や専門誌などで同じ名前を使っていてもそれは偶然だし、違う名前を使っていたとしてもそれが間違いというわけではない。念のため。
前回の写真には写っておらず、また上の図にも描いてないが、実はもう一つ重要な部品がある。機関部側面を覆う、樹脂製のサイドプレートを外すと見えるこの部品だ。
「なら、このバネ外すだけでトリガーが軽くなるんじゃないか?」
試すと分かるが、確かにトリガーは劇的に軽くなる……が、その代償としてキレが劇的に悪くなってしまう。シアに一切関与していないのに、なんで有る無しでキレが変わるのか……? 謎だ。
ここで、「そもそもトリガーのキレって何よ?」という方のために簡単に説明をしておこうと思う。競技銃のトリガーは、まず最初に少しだけ軽く引けるところがある(遊び、ともいう)。それが終わるとコツンと何かに当たる感覚があり、重くなる。そこから力を入れて少し引くと、シアが外れて弾が発射される。最初の軽く引けるところを「ファースト・ステージ」、重くなってから引くところを「セカンド・ステージ」と呼ぶ。
セカンド・ステージで引かなければならない量(距離)が少ないトリガーを「キレの良いトリガー」、沢山の量を引かないとセカンド・ステージが終わらないトリガーを「キレの悪いトリガー」と呼ぶ。
このようにトリガーのキレというのは重要なのだが、エアソフトガンではある程度以上に良くしようとするのは難しかった。コスト的なものか法的なものかはっきりしないのだが、エアソフトガンではシア関連の部品は亜鉛ダイキャストで作られているものが多く、かみ合いをあまりシビアにするとあっという間に変形&削れてシアがかからなくなってしまう。一般的なユーザーがあまり「良いトリガー」というものに親しみが無いため、コストをかけてトリガー・プルを良くしても売上げに繋がらない、それどころか「トリガーに触れただけで弾が出た」というような暴発事故の危険もある……というのもまた理由になっていると思う。
さて、前振りはこのくらいにして、APS-3のトリガーがなぜキレが良いのか、シアに関係ないように見える部品を外すだけでなぜキレが悪くなるのか、次回からその謎を解き明かしていく。
次回更新は月曜日の予定。