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ノーベルアームズ COMBAT T1詳細レポート

エアガン用として販売されている小型ドットサイトの中でも特に「オススメ製品」として名前が出ることが多いのが、ノーベルアームズのT1だ。形状としてはAimpointのMicro T1をモチーフとしているが、完全コピーというわけではなく細かい部分には違いがある。

手のひらにすっぽり収まってしまうほど小さいのに、覗いてみるとしっかりと明るくて、鋭く小さいドットが正確にターゲットの上に張り付いている。小型ドットサイトにありがちな、ドットがレンズの中心から外れたときの歪みや乱反射みたいなものも、ほぼゼロ。それでいて値段も十分にお小遣いの範囲内で買えるとなれば、売れないはずはない。すっかり今ではサバイバルゲーム会での定番サイトの一つになっている。

過去に何度か雑誌などでレポートを掲載したことがあるので今更感もあるが、新色であるダークアースブラウンの追加や、ハイマウントの仕様変更などがあったので、ここで改めて詳細レポート――ネット上だと「製品レビュー」っていい方の方が一般的らしいが――を書いてみたい。

いつの間にかバージョンアップしていたT1。新色として「ダークアースブラウン」のものが追加になった際に、ハイマウントが前後シースルーの穴が開いたタイプになり、またレンズのコーティングもちょっとだけ変わっていた。ダークアースブラウンがシースルータイプのマウントで、ブラックがソリッドなマウントという住み分けなのかと思いきや、今度はいつの間にかブラックの方もシースルーになっていた。

ノーベルアームズに問い合わせたところ、特にメーカーとして積極的に仕様の変更を行ったわけではなく、製造している中国の工場が「勝手に」仕様変更したものだという。メーカーの指示関係なしに工場が勝手に仕様を変更してしまうとかそんなんアリなのかと思ったが、実際のところ中国工場ってのはそういうのがあんまり珍しくないらしい。今回のように特に悪くはない方向の変更ならともかく、部品だとか仕上げだとかが「いつの間にか、質の悪い安価なもの」に変更されていたりしたら洒落にならないので、これでなかなか気を使う必要があるのだとか。

とにもかくにも、現在新規で販売されているT1は、ブラック・ダークアースブラウンともにシースルータイプのハイマウントが付属するということだ。

製品名:COMBAT AIM T1
価格:17,500円(税抜き)
倍率:1倍
レンズ径:22mm
全長:68mm
重量:177g(ハイマウント使用時)


製品名:COMBAT T1 (Dark Earth Brown)
価格:17,500円(税抜き)
倍率:1倍
レンズ径:22mm
全長:68mm
重量:177g(ハイマウント使用時)


マイナーチェンジ前後の比較

たまたま所持していた旧型(右)との比較。マウントがシースルータイプになった(穴が開いている)以外は特に違いはない。重量は、旧型が184gだったのに比べて177gと軽量化されている。といっても、たった7gの差しかないので、手に持って比べてみても差を感じるのは難しい。


真後ろから見た時の比較。シースルーといっても、この穴を通して例えばオープンサイトでも照準ができるだとか、そういった使い方をするのはちょっと難しいのではないかと思う。旧型ではほぼ透明だったレンズが、新型だと緑色が目立つ形になってしまっている。こういう「仕様変更」も知らないうちに勝手にされてしまうことがあるのが中国工場の怖さなのだそうだ。光学サイトを買うときは、できるだけ店舗で買うのがいいと言われる所以だ。


だが、レンズ性能に差があるわけではない。ドットをレンズの中心に置いた時も、左右のギリギリに動かしてみた時も、ドットの大きさも形も全く変わらず、また鏡胴内で乱反射することもない。こんな小さいドットサイトでこの信頼性はさすがだ。


CR2032電池を1個使用する。ドットの明るさを調節するダイヤルのフタを外すと、その中が電池ケースになっている。ドットの明るさは全部で11段階の調節ができる。「赤と緑の切り替え」なんていう子供だましの余計な機能は付いていない。ダイヤルの11段階はすべて明るさの調整に使われているので、昼間の屋外から、薄暗い部屋の中まで幅広く対応する。


上下(エレベーション)と左右(ウインデージ)の調節ネジは、明るさ調節ダイヤルの手前にあるキャップを外すことで現れる。素手で調節することはできず、コインか、できればマイナスドライバーが必要になる。


キルフラッシュが付属する

蜂の巣みたいな六角形の穴がたくさん開いたレンズカバーが付属する。昔は「ハニカムサンシェード」なんて呼び方が普通だったと思うのだが、最近はすっかり「キルフラッシュ」なんていう、まるでなんかの必殺技みたいな名前がスタンダードになってしまっている。

T1に付属するキルフラッシュ。外径は28mm、ネジ部分の直径は25mm。別売りもされていて、価格は2,600円(税抜)だ。


キルフラッシュは「BB弾の直撃からレンズを守る」のが目的とされているが、それ以上に効果があるのがレンズの反射防止だ。ドットサイトは対物レンズにドッ トを反射させる必要がある関係で目立つ色のコーティングがされており、特に反射しやすい。サバイバルゲームでは、薄暗い森の中でドットサイトのレンズだけ が光って見える、なんてこともある。キルフラッシュはその反射を抑えてくれる効果がある。


キルフラッシュを付けると視界が暗くなるのでは? 実際に試してみるとほとんど差はない。目のピント(レンズのピント)をキルフラッシュ本体に合わせる(一 番左)とさすがに目立つが、照準するときはそれよりずっと遠くに目のピントを合わせるので、ボケてほとんど気にならなくなってしまうのだ。


マウントレールへの取り付け

T1のQDマウントには、3Xマグニファイアのようにこのときの閉め具合を微調整するための機能は備わっていない。ネジはガッチリと接着されてしまっていて動かせないようになっている。

ハイマウントとローマウントの2種類のマウントが付属するが、ハイマウントの方はレバー操作によってワンタッチでレールへの着脱ができる、いわゆるQDマウントになっている。左がクローズ・ポジション。レバーに付いているロッキング・ボタンをスライドさせてレバーを右のオープン・ポジションにする。


レールの上に載せて、隙間なくピッタリとくっついていることを確認してから、レバーをクローズ・ポジションにする。抵抗を感じながらカチッと音がしてロックされればOK。


コメントにてご指摘のあった、本来ならQDマウントを微調整するネジの拡大写真。左が今回レポートした新型、右がハイマウントに穴が開いていない古いタイプのもの。両方とも接着剤で固定されている点は同じだが、新型は「ここは絶対に動かすな!」という強い意思が見えるほどにガチガチに接着されてしまっている。


ハイマウント/ローマウントの入れ替え

T1には、出荷時に付いているハイマウント(左)の他に、ローマウント(右)が付属している。3XマグニファイアやコンバットM4ドットサイトのようにスペーサーの着脱ではなく、マウントごとの交換になる。


マウントはドットサイト本体の裏側から4本のネジで固定されているのだが、ここで注意! このネジは六角ボルトではなく、「T10のトルクス」なのだ。トルクスは「*」みたいな穴の開いたネジで、基本的には分解防止のための特殊ネジといった扱いのもの。ちゃんと分解用のレンチが付属するのでそれを使えばOK。だが、かなり固く締まっているので覚悟は必要だ。奥まった場所にあるので良く見ずに間違えて六角レンチを使ってしまうと、高確率でネジをバカにしてしまう。


マウントを外したところ。左右は特に決まっておらずどっち向きでも固定できる。ドットの明るさ調節ダイヤルの反対側にレバーが来るように取り付けるのが基本だが、右利き/左利きの違いなどで自分に便利な向きがあるようなら逆に取り付けてみるのもアリだ。


付属のローマウントに入れ替えたところ。ネジを閉める時の注意は、一つのネジだけをいきなりギチギチに締めてしまうのではなく、まずは4本ともマウントを持って動かせば動く程度のゆるさで軽く締めてから、4本を均等に締め付けていくのが大事だ。


マウント上面からレンズ中心までの高さは、ハイマウント時で40mm、ローマウント時は18mmになる。M4のキャリングハンドルを外して現れるレシーバー上レールに取り付ける時などはそれなりの高さが必要になるのでハイマウントを、G36のキャリングハンドル兼マウントレールや、AKやM14に後付けするマウントなどに取り付けるときは少しでも低くマウントしたいのでローマウントをといった具合に選択できる。

ローマウントにすれば、シューティングマッチに使うためにカスタムするハンドガン、いわゆる「レースガン」にだってそのまま使える。左写真はノーベルアームズ公式サイトにあるT1の紹介写真の一つだ。


スタイルだけを見れば、モチーフとしているAimpoint Micro T1と比べると、ドットの明るさ調節ダイヤルの厚みやロゴの有無など「そのまんまコピー」とはなっていないため、いわゆるコスプレ系の人のドレスアップ目的にはオススメしづらい……。とはいっても、遠目にはほとんど違いなどわからないわけで、そこらへん割り切れば、とにかくコレ一つ買っておけば、だいたいどんなエアガンも「つけていて変じゃない」形になってくれるのは有り難い。それでいて、実際に照準するために使ったときのレンズ性能も十分なのだからいうことはない。

注意点は、最初に書いた「いつの間にかの仕様変更」の罠だ。いちおうAmazonの販売ページへのリンクを下に記すけれど、できれば店舗に足を運んで、実際にレンズを覗かせてもらって納得した上での購入をおすすめしたい。

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池上ヒロシ

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池上ヒロシ

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