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ノーベルアームズ 3Xマグニファイア詳細リポート

ノーベルアームズから、新型のマグニファイアが発売される。従来製品とは異なり、ドットやレティクルイメージの表示位置の調節機能、プッシュボタン式のマウントロック機能、ライザープレートの着脱による高さ調節、締め付け強さを微調整できるQDマウントなど、数多くの点でバージョンアップしたハイグレードモデルだ。

発売は「数ヶ月中」とのことだが、3月になるか、4月になるかはまだ未定。この新製品のテストサンプルをお借りすることができたので、詳細レポートをお届けしよう。

製品名:3X TACTICAL MAGNIFIER
価格:24,800円(マウント込み・税抜き)
倍率:3倍(固定)
レンズ径:28mm
チューブ径:30mm
全長:99mm
重量:346g
アイリリーフ:70mm

ドットサイトの後ろに直列に並べるように取り付けて、ドットサイトを通して見える映像を拡大する照準機器が「マグニファイア」。マウントに工夫があって、簡単に取り外したり、横にスイングして「どける」ことができるようになっていたりするのが特徴。近距離用にドットサイト、遠距離狙撃用にはスコープ的な使い方ができるということで、「遠距離近距離どちらでも使える万能サイト」みたいなものがこれ一つ、正確にはドットサイトとの組み合わせで実現できるというわけだ。

こういう「万能ツール」みたいな響きってのは中二病マインドにはとっても強く働きかけるものがあり、サバイバルゲーマーにとっては超人気アイテムの一つとなっている。エイムポイントとかEoTechといった「ホンモノ」の物凄い高価なものから、そのコピー品まで、たくさんのアイテムが出回り、愛用されている。

けど、実際に使い物になるのか?

実のところ、安価に出回っているコピー品のほとんどは、まるで使い物にならない。特に、組み合わせるドットサイトが低品質なものだったりすると、もう致命的だ。実際に覗いてみれば分かるのだけれど、マグニファイアはスコープとは違い、「ドットサイトを通して見える映像を拡大する」ものでしかないわけで、等倍のドットサイトだからなんとかガマンできていたドットの歪みやニジミまでも律儀に拡大されてしまう。レンズを何枚も通すから一枚一枚のレンズの品質の悪さが蓄積されてしまい、「ぼやっとした拡大映像の中に、どこを狙っていいのかわからない赤い光が輝いている」みたいな状態になってしまう。

実物同士の組み合わせなら、そりゃもう文句なしに「クリアな映像の中に、針で突いたみたいな鋭くて小さい点が明るく光り輝く」という、ほぼ理想の形でのサイトビューが得られるのだけれど、それを手にしようとすればとんでもない費用が――コピー品と比べたら軽く10倍以上――かかってしまう。普通の「トイガン好き」にはとてもじゃないが手が出ないシロモノだ。

品質もしっかりしていて値段も手頃な光学照準器といえば、ノーベルアームズだ。ノーブランドのコピー品よりは値段は高くなるが、実物を購入することを考えればずっとリーズナブルな値段で、光学機器としての品質は十分に「ホンモノ」と比較できるレベルまで確保されたアイテムが手に入る。形状やロゴマークなどは実物の「完全コピー」ではなく若干のオリジナル要素が入っていることから、コスプレアイテム的な用途で照準器をエアガンに載せようとするユーザーからはそっぽを向かれてしまいがちだが、実際に「狙って、撃って、当てる」ための道具として光学照準器を使おうとするユーザーにとっては、もっとも評価が高いメーカーの一つといっていいだろう。

従来品の3X MAGNIFIER(※写真はノーベルアームズ公式サイトより)。価格は本体が12,800円で、専用のフリップtoサイドマウントが5,800円。

こちらが、新発売となるハイグレードタイプの3X TACTICAL MAGNIFIER。写真を見ての通り、EoTechの「G33」の形をモチーフとしている。完全コピーではなく細かい部分にけっこうな差があるが、機能ではほぼ完璧にホンモノを再現しているところが、他の「形だけ真似してるけれど各種ダイヤルは飾りで機能しないのが当たり前」な安価なコピー 品と大きく異なるところ。

まずは、読者の皆さんが一番気になるであろう「覗いた時にどう見えるか」というところから。同じノーベルアームズ製のT1サイト(これも従来製品とは異なりマイナーチェンジして新型になっている。詳しくはまたいずれ)との組み合わせだ。

場所は、赤羽フロンティアシューティングレンジ。距離は10mで、ピンポイントシューティング用のブルズアイターゲットを狙っている。T1だけで狙っている時(左)と、マグニファイアを起こして3倍に拡大した時(右)とを比較しても、ドットはほぼ完璧にまんまるのままで、見える像の明るさや鮮明さにも変化がない。十万円超のハイエンドモデルと比較しても遜色がない。

ただし、T1との組み合わせには若干の注意が必要だ。このマグニファイアはEoTeckのサイト(具体的にはホロサイト)に合わせた寸法になっている。ホロサイトはT1を始めとしたエイムポイント系のドットサイトよりもレンズ中心位置が約4mmほど高い。そのため、T1との組み合わせでは軸のズレが生じてしまう。マグニファイアのマウントには7mmのスペーサーがあり、その着脱によって高さ調整ができるが、わずか4mm程度の調節というのは無理だ。

※製品名に「TACTICAL」が入っていなかったので修正しました。あとスペル間違いもこっそり修正。(2014.04.17)

取り付け方法

新型のノーベルアームズ・3Xマグニファイアのマウントは、締め付け強さを微調整できるQDマウントとなっている。レバーの操作で簡単に付け外しができるQDマウントだが、レールの幅というのはメーカーや製品によって若干の差があり、場合によっては緩すぎてガタがでてしまったり、逆にキツすぎてレバーを閉められなかったりすることがある。「アジャストメント・ダイヤル」を回すことによって、レバーを閉めた時の締め付け具合を調節できる。

これがQDマウント。左がクローズ・ポジション、つまりマウントを締め付けた状態。右がオープン・ポジション、マウントを開いた状態だ。使用中に勝手にオープン・ポジションにならないように、クローズ・ポジションではレバーにロックがかかるようになっている。ロックを外すには、ロッキング・ボタンをスライドさせる。

QDマウントの取り付け。レバーをオープン・ポジションにしてからレールの上に載せて、隙間が開かない状態になっていることを確認してからレバーをクローズ・ポジションにする。最後に適度な抵抗を感じながら「カチッ」とロックがかかれば完璧だ。

マウントの幅は統一規格になっている「はず」だが、工業製品には必ず誤差がある。モノによっては緩かったりキツ過ぎたりすることがある。レバーをクローズ・ポジションにしてもマウントにガタがある場合、逆にレバーが硬くてクローズ・ポジションにできない場合は、微調整を行なう。

締め付け具合の微調整は、マウントを取り付けたままではできない。一端、マウントをレールから外して裏返す。図で示したのが「アジャストメント・ダイヤル」だが、普段はこのダイヤルにもロックがかかっていて勝手に回らないようになっている。

アジャストメント・ダイヤルのロックを外すには、レバーを下図のように押しこんでやる。するとダイヤルが浮き上がって回せるようになる。

この微調整、かなりシビアだ。「緩すぎてガタガタ」と「キツすぎて閉まらない」の間は、1/4回転あるかどうか。指先でアジャストメント・ダイヤルを少しだけ回して、上図のようにレールに取り付けてレバーの固さを確認、また外してひっくり返して調整……という、気の長くて繊細な作業が要求される。

とはいえ、一度合わせてしまえばその位置でダイヤルはロックされるので、あとはもうストレスを感じることなくカチャッパシッとマウントの取り付け・取り外しができるようになる。

マウントのスイングアウト

マグニファイアを使わないときには、簡単な操作で「横にどけておく」ことができる。ホンモノのEoTech G33ではバネの力でロックされていて、「手のひらで横から強くサイトを叩きつける」ことでサイドにスイングアウトしたり、元に戻したりするとのことだが、ノーベルアームズはそこはそのままの形では再現しなかった。使用時もスイングアウトしている時もガッチリとロックがかかっており、マウントの右後ろにある大きなスイッチを押し込むことでロックが解除されるという仕組みだ。

マウントの右後ろにあるボタンを押し込むことでロックが解除され、マグニファイアをサイドにスイングアウトしたり、元に戻したりすることができるようになる。このボタン、EoTechのG33には存在しないので「公式な名称」というものがない。とりあえず「ロックボタン」と呼ぶことにしよう。

ドット投影位置の調整

このマグニファイアを初めて見た時、「マグニファイアとはどういう道具なのか」を知っているということが前提ではあるが、確実に驚くのが上下左右の調節ダイヤルが付いていることだ。こういった調節ダイヤル、スコープであれば付いていて当たり前だ。レティクルと映像を重ねあわせて狙うスコープでは、そのレティクルが映像の「どこ」にあっているかを微調整する機能を必ず備えている。だが、マグニファイアは、ドットサイトを通して見える映像を拡大するための道具で、スコープでいうところの「レティクル」を持っていない。レティクルがないのにこんなダイヤルが付いているのはなぜだ? まさか、なにか魔法のような光学技術の組み合わせで、ドットサイト側でしか調節できないはずのドットの位置を調節できたりするのだろうか?

さすがにそんなことはなかった。マグニファイアに付いている上下左右の調節ダイヤルを回しても、「ドットがターゲットのどこを指し示しているか」という部分は全く変化しない。つまり、着弾位置の調整には使えないということだ。このダイヤルは、映像がレンズのどこらへんに表示されるかを微調整するもの。射撃ポジションなどに合わせて狙いやすい位置にターゲットを持ってくるためのダイヤルだ。

マグニファイア本体についている上下左右の調節ダイヤル。名前は上下方向が「バーチカル・アジャストメント」、左右方向が「ホリゾンタル・アジャストメント」だ。スコープに付いている似たようなダイヤルだと、上下が「エレベーション」、左右が「ウインデージ」になっている。スコープのそれとは別の役割をするものであるということが、名前からも伺える。

使い方。ドットがターゲットの中心を指し示している状態で銃を固定し、「バーチカル・アジャストメント」を「UP」の方向にまわしてみると、映像がまるごと上方向に移動する。ドットはターゲットの中心を指し示したままだ。同様に「ホリゾンタル・アジャストメント」を「R」の方向に回せば映像がまるごと右方向に移動する。

このダイヤルを回しても、ドットとターゲットの位置関係は変わらない。つまり、「弾を撃った時に当たる場所」も変わらないということだ。着弾位置の調整はこのダイヤルでは行なうことはできない。それはドットサイトに付いている「エレベーション/ウインデージ調節ダイヤル」の役割だ。

ノーベルアームズの新型マグニファイア、とにかく「レンズの質の高さ」に驚かされる。今まで見たことがある安価なマグニファイア(と称するもの)が、一部の例外を除けばあまりにも酷いものばかりだったため、例えばSPFフィールドの定例会で「マグニファイアってどうなんでしょう?」とか相談を受けた時には、お約束として「基本的に使い物になりません。ドットサイトとスコープを別々に載せたほうが100倍はマシです」と回答していた。だが、これからは回答を少し変えなければならないかもしれない。「ドットサイトと、マグニファイアと、両方とも『ちゃんとしたメーカー』のものなら使い物になりますよ。できればショップに行って実際に見比べてから選ぶのがいいですよ」みたいな感じに。

池上ヒロシ

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池上ヒロシ

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