冒頭から偉そうな写真で申し訳ありません。2月2日の日曜日、赤羽フロンティアビル2Fにて開催された、「第15回 ピンポイントシューティング5mスペシャル」、「第3回 ガスブロ限定ひたすらブルズアイ」、「第15回 ひたすらブルズアイ」の結果レポートをお送りします。
APSカップ非公式サイトなんてものがいつの間にかオープンしていて、エアガンでの精密射撃競技については「新しく始めたいひと向けの情報」から、「すでにやってる人向けの練習会や記録会の情報」、「カスタムや技術についてのウンチク」、さらには「ライバルシューターたちの近況」までもがひとつのサイトを見に行くだけで網羅できるという充実の内容になってます。みなさんノリノリで動画コンテンツを充実させてるところが強いですね!
チバさんが、愛銃であるAPS-3をガンケースから出して構えて狙おうとして絶句してます。なんと、リアサイトのブレードの右側が消えてなくなっているのです。ノーマルでは左右のブレードは下でつながっている(凹の形をしている)のですが、チバさんが使用されているAPS-3には小型の歯車などを駆使して左右の幅などを微調整できるハイテクなリアサイトが取り付けられているのです。ガンケースのどこかに転がっていないか……と探してみても見つかりません。なんでも、接着剤でくっつけてあるだけなのだとか。そりゃ確かに不安がありますね……。急遽、撮影用に持ってきていたノーベルアームズの新型T-1サイトをお貸ししてその場をしのいでもらうことにします。
試射時間内にあわててゼロインをしてそのままスタートという「ぶっつけ本番」な感じでしたが、ブルズアイでは94点と堂々の高得点! しかし参加者にはさらに高得点の96点がもう1人います。グランドマスターに独自の改造をしてAPS専用銃として極めて戦闘力の高いエアガンに仕上げ、実際にAPS本戦でもしっかり結果を残しているスズキさんです。(あと私も96点)
ピンポイントシューティング(およびひたすらブルズアイ)で使ってるターゲットは、黒丸の大きさこそAPSカップのブルズアイターゲットと同じですが点数配分が異なります。APSターゲットでは10点になるエリアはピンポイントブルズアイターゲットでは9点、さらに中心のXエリアに入らないと10点にならないというものです。10点と9点、小さな差のようですが点数が満点に近いところでぎりぎりの争いになってくるとこの差が大きくなってきます。「1点」も差があるんですよ! ちょっと当たる場所が違っただけで0.1点の10倍ですよ!
続いてプレート、こっちは当たると当たらないとでは10点の差が出ます。0.1点の100倍です(笑)。今回は参加人数5人なので全員が並んで一度に撃ってました。それにつけてもスズキさんの「動じなさ」は凄いです。周囲がどうであろうと一切表情にも撃ち方にも影響が出ず、落ち着いて集中してターゲットに向かいつづけます。グランドチャンピオン決定戦出場経験者はやっぱ違いますね!
一方、私は2発目でいきなりカッチーンとターゲットに跳ね返されてしまって10点の失点です。なんだろう、特にミスショットした感じは無かったんですが…。しかし気持ちを切り替えて、とにかくこれから撃つ1発のことだけ考えてサイトとトリガーに集中、なんとか残りの3発はクリアして4発抜きの40点。スズキさんは貫禄の満射達成です。
一方、ハロ君はいろいろと動揺しまくりです。なんでも、今回は5mだというのを失念していて10m対策用にAPS-3をライフル化すべく、ハンドライフル風のストックを自作して取り付けてきたのだとか。そのストックが構えてみると、照準の役にたつどころか、あちこちに当たって邪魔でしょうがなくて、あーもう!って感じになっちゃってるのだとか。ここらへんはやっぱり人生経験の差があるんでしょうか。終了後にヤマナカ社長に、「なんかハロくんも落ち着いてきて、見た目40代くらいに見えるよねえ」とか言われてましたけれど、やっぱり中身はまだまだ若さゆえの、あれこれいろいろです。それでもしっかり4発抜きの40点でプレート終了。
最終ステージのKYL、これこそ「心の持ちよう次第で点数が天と地くらいに変わる」競技ですね。シマヤさんとチバさんは0点エリアを撃ってしまって得点なし(たしかシマヤさんは、一番難しい20点はド真ん中に入れたにもかかわらず、黒丸に入りさえすればOKの10点で外してしまったんじゃなかったでしたっけ……残念!)。スズキさんは他の人との得点差を計算に入れたのか、20点は撃たずに2、8、10点だけを撃ってKYLは20点を確実にゲット。スコープ付きクラスである「フリークラス」はスズキさんが優勝です。
私は難しいことは考えず20を狙い、1発目は「ミスはしてないとは思うけれど少し上行ったかも」という感覚があったので、念のためもう1発を撃ったところ、ターゲットを回収してみれば2発ともほぼ同じ場所、中心よりちょっとだけ上に当たっていました。両方とも余裕でセーフエリアですが、得点サークルにはかかっているかどうか? 片方だけがギリギリでサークルにかかっていて、なんとかKYL満射、総合得点176点となりました。「一発外せば10点の大幅失点」のプレートでのミスを引きずらずに最後まで撃てた自分を褒めたいです。
つづいては、ガスブロ限定の「ひたすらブルズアイ」です。
前日の無理がたたって(?)、昼過ぎまで寝床で轟沈されていたヤマナカ社長と、ガスブロ限定ひたすらブルズアイにはテストマッチから毎回参加していただけてるモリタさんが加わり、7名で開始です。
一方、同じG17(でも形はけっこう違う)を使用するシマヤさんは第1シリーズこそあまり良い得点ではなかったものの、第2シリーズで181点という脅威のハイスコア、第3シリーズでも172点を撃ち、総合506点で優勝です。これでもし第1シリーズも2・3シリーズと同じレベルの点数を撃っていたら、歴代スコアのなかでもトップスコアに近いハイスコアを記録していたことでしょう。
ガスブロの怖いところは、弾が上手くチャージされなかったり、ダブルチャージされてしまったりというトラブルが起こりうることです。普段、サバゲとかで一発一発をあまり気にせずにバンバン撃ってるとそんなトラブルはほとんど気になりませんが、1発ずつがえらく重い意味を持ってくるブルズアイ射撃になってくると話が違ってきます。特に今の寒い時期、いくらマグウォーマーで温めてるとはいっても制限時間12分の20発を3回、全くのトラブル無しで切り抜けるというのは、実はけっこう難しいことだったりします。今回の参加者の皆さんでも、60発を一発もトラブル無しで撃ち切れたって人は、多分1人もいないんじゃないでしょうか。
来月くらいになればもっと暖かくなってきて、そういったトラブルに悩まされる頻度も減ってくるかと思います。普段使いのガスブロエアガンで気楽に参加できる、「ただマトを狙って撃つだけ」のマッチ、「ひたすらブルズアイ」にぜひお越しください!
本日最後、そしてメインイベントになるのが、APS競技銃アリの「ひたすらブルズアイ」です。
赤羽FSCの先行レポートでは、「私とスズキさんの一騎打ち」なんて評されてましたが、確かにスコア見ると超接戦というか「つばぜり合い」みたいな雰囲気がありますね。全体を3つの射群に分けて、スズキさんが第1射群、私は第2射群という割り振りだったので、スズキさんを含めた第1射群のみなさんが集計してる時の声が、例によって背後から微妙なプレッシャーになって襲いかかってきます。「あー、ミスしちゃいましたよ。池上さん、気楽に撃って大丈夫ですよ。もう私負けが決まりましたよー」とか。
……これ、文章にして書いたの読んじゃうと、まるで「相手を油断させて集中力を奪おうとする戦術」みたいに聞こえますが、スズキさんご本人の性格からしてとてもそんなことができるような人だとは思えないので、おそらく本当に「素で」あるいは「本心で」の言葉なのでしょう。それがまるで油断を誘う悪魔の囁きのように聞こえるのは、きっと私の心の中に潜むそういう悪い心があって、「そういうふうに聞こえたってことにしといて、気楽に撃っとけよ。それで悪い点を撃っちゃったら『ブラフに引っかかって油断したんだ』っていう、良い言い訳になるじゃないか」と囁く、そういう心理が創りだした幻想に違いありません。競技中の心って、こんな具合に「ダメだったときの言い訳を全力で探す」方向に動いてしまうものです。
前もどっかで書きましたが、「こういうことは考えちゃダメだ」と意識することで、本当に「そういうことを考えない」ようにするというのは、人間には絶対に不可能です。できるのはごく単純なこと、そのとき考えないとならないことに集中することです。当てたい、勝ちたいという気持ちを捨てて、ただサイトとトリガーに集中……。終わってみればギリギリ1点差。第1~3シリーズとほとんど点数が変わらない接戦でした。
と、まあこんな具合に、結果だけ見れば「主催者自らが優勝をかっさらって偉そうに写真に写る」形になった第15回ひたすらブルズアイですが、その実は決して楽々と勝ったわけじゃないってことをどうかご理解ください……。
さて、次回のPPS&ひたすらブルズアイは、予定通り3月の最初の日曜日となる、3月2日に開催します。次回はPPSは10m、ひたすらブルズアイ(ガスブロ限定も行います)は5mです。基本的には、ルールも単純、必要な道具も単純、「ただ、狙って撃つだけ」の初心者歓迎なマッチですので、どうぞお気楽にご参加ください!