昔は10m先のシルエットターゲットとか余裕で狙えたのに、視力の衰えによるものなのか最近はもう薄ぼんやりとしか見えない。背景の青と、シルバーのターゲットのコントラストが薄いからなのかとおもいきや、白い背景に真っ黒の円が描かれたピンポイントシューティングの10m競技でも照準がおぼつかなくなってくるありさまだ。


こりゃ、なんとかしないと…と以前から思ってたのだけれど一念発起して、APS-3用の「10mのためだけのサイト」を通常のサイトの上に2階建てにする形で増設してみた。けっこういろいろと試行錯誤したけれどなんとか形になったんでおひろめ。

このサイト、使っているのはどこのご家庭にも一本や二本くらいは転がっているであろう、エアガン用の内径6mmのインナーバレル。その先端に、これまたどこのご家庭にも予備がいくつか置いてあるであろう、電動ガンのメカボックス用のシムを貼りつけただけ。レンズが入っているわけでもなんでもない。


こんなもので照準ができるのか? 実際に覗いてみると……

こんな風に見える。対象が十分に明るいと、先から入ってきた光が内部で反射していくつものリングになって見えるので、それを綺麗に同心円状になるように揃えてやれば「標的まで真っ直ぐに揃えた」形になる。ブルズアイターゲットを狙うときには、この中心に黒丸を入れてやればいい。


このサイト、昔のGun誌(確かTrukさんの記事だったと思う)で西部開拓時代の銃をリポートした時に、まだレンズを使った光学照準器がそれほどメジャーでなかった時代に使われていた精密照準用のサイトとして紹介されていたのを見て以来、「いつかAPSのオープンサイト部門で使ってみたい」と思い続けていたものだ。

どうやってノーマルサイトの上にさらに2階建てにするか? とりあえずフロンティアAPS-3マウントベースの側面にドリルで穴を開けてタップで2mmネジを切り、そこに汎用ステーを折り曲げて「コ」の字にしたものを上からかぶせる形にするのが剛性も高くて良いんじゃないかと思い、作業を始めたのだけれど…。


これが最初に作ったもの。実際にフロンティアビル2Fシューティングレンジに持ち込んでテストしてみたところ、照準については想像以上に精密に行うことができて、グルーピングの大きさは10mでもAPSターゲットの10点圏くらいの範囲には余裕で収まる精度の高さを見せてくれた。


しかし、ゼロインができない。もともとゼロインするための機構(サイトの上下左右の調節機構)は組み込んでなくて、適当に位置決めして位置が決まったらホットボンドで固定するつもりだったのだけれど、いくらやってもゼロインが出ない。なぜかというと、マウント自体がグラグラしているからだ。

上手く汎用ステーを曲げられなくて位置が固定しづらい上に、照準用パイプを取り付けるアルミアングルとの固定が上手くいかない。いちおうネジ留めはしたのだけれど水平が出ていないこともあって、ちょっと力を入れてひねるだけで位置が動いてしまい、とてもじゃないが照準に使えるようなシロモノじゃなくなってしまった。ホットボンドを使って固定できないかといろいろ試してみたのだけれど、全く強度が足りず。「こりゃ駄目だ」とお蔵入りが決定した。

「細いネジで両持ち」にするより、「太いネジで片持ち」にしたほうが精度も剛性も出るっぽいことが分かったので方針を変更する。新しくネジを切るのではなく、もともとあるフロンティアAPS-3マウントベースを固定するための3mmのネジ3本をそのまま流用して固定することにした。


丈夫そうなL字ステーを2つ買ってきて、余分なところを切り落としてマウントベース固定ネジの穴の位置に合わせて穴を開ける。

こんな具合になる。最初のヤツとは比べものにならないくらいにガッチリとしたマウントになってくれた。


ここから、さらにバレル中心線に合わせて穴を開けて3mmのネジを切り、照準パイプを収納するアルミアングルを上からネジ留めしたのがトップの写真だ。

問題はゼロイン方法だ。とりあえず、大まかな位置決めはL字ステーとアルミアングルの固定の時点で行なって、微調整はアルミアングルと照準パイプの間にスペーサーを挟み込んで行う形で行う。


こればっかりは実際に10mレンジに持ちだしてみないとできないので、明日あたりにまた試してみる予定だ。

池上ヒロシ

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