2013年の新ルールで新しく義務付けになったのがセフティーフラッグ。チャンバーに弾が装填されていないということがいちいち確認しなくてもすぐに分かるように、薬室部分に「旗が付いた棒」を差し込んでおかなければならないというものだ。装薬ライフルの場合はチャンバー部分に差し込めるだけの短いもので構わないが、エアライフルやエアピストルの場合は銃身にも何も入っていないことを明示できるように、「銃身よりも長いナイロンワイヤー」を差し込むこと、というルールになっている。
ISSF公式のものも銃砲店に売ってはいるのだけれど、ただのナイロン製のヒモのくせに「かんべんしてくれ」って感じの値段が付いている。さすがにみんな「この値段はないわー」と思うのか、身近にあるいろんなものを流用して自作しているようだ。草刈り用のナイロンワイヤーなんかが定番だが、葛飾ライフルのデューク棟梁さんが「100円ショップに売ってたナワトビがちょうど良かった」ということで、奥戸射場にて「ご自由にどうぞ」と配布してくれたので、早速2本ばかり頂戴してきた。
だがエアピストル(モリーニCM162)に使おうとすると、コンペンセイターに引っかかってワイヤーの先が銃口から出てこないという問題が発生。はてどうしたもんかと試行錯誤することになった。
こちらが、デューク棟梁さんが100円ショップで見つけた蛍光オレンジのナワトビ。浜町射撃場では草刈り用のナイロンワイヤーをみんなで必要な分だけ切って分けてたけれど、メートル当たりの単価ならともかく「購入するのに必要なお金」で比べたらこっちのほうが断然お手軽価格だろう。
早速、チャンバーから銃身の中に差し込んでみたところ、銃口から出てこない。コンペンセイターの内側が段差になっていて、そこに引っかかってしまうようだ。
巻き癖が付いていてカーブしているので、どんなに角度を変えてみても引っかかる。なら巻き癖を取ってしまえばいいじゃないかとおもいきや、そうすると今度はチャンバーから差し込むのが難しくなる。エアピストルは装薬ライフルみたいに銃身の後ろは空いていないのでナイロンワイヤーを斜めから差し込む形になるから、まっすぐだと逆にやりにくくなってしまうのだ。
ナイロンワイヤーの先を、引っかかりにくいように丸く削ってみたり斜めに削ってみたりといろいろ試してみたのだが焼け石に水だった。
銃口から飛び出さなくてもOKなんじゃないかと一縷の望みをかけてルールを読みなおしたけれど、ワイヤーの長さについて「装弾されていないことを明示するため、銃身より長くなければならない」と書かれている以上、銃口とチャンバーの両方から一本のナイロンワイヤーが飛び出している状態になって初めて「セーフティフラッグを使って安全状態を明示した」とみなされることは確実だ。
そこで、「銃口からワイヤーを飛び出させるためのツール」を自作することにした。材料は歯間ブラシ。もちろん他のものでも、「プラスチック製で、細くて少し平べったいもの」ならなんでも良い。安くて身近にあるものということで歯間ブラシを選んだだけだ。
写真は使用後のものだと汚いんで使用前のキレイなものだけれど、ブラシ部分は使わないので使用後のものでも構わない。
ニッパーとかカッターを駆使して、先の部分をこの写真のように整形する。どう表現したらよいかわからないが、「超小型のさすまた」を作る。
ちょうど、コンペンセイター側面に開いた穴に入る大きさにするのがポイントだ。
使い方。コンペンセイター側面からツールを差し込んで、「さすまた」の先をワイヤーに引っ掛けて、端に寄ってしまっているワイヤーを中心位置に導いてやりながらチャンバー部分から飛び出したワイヤーを押しこむ。うまい具合に誘導できると、こんな風に銃口からワイヤーの先が飛び出してくる。
海外のモリーニユーザーの人たち向け検索用ワード:Morini CM162 safety flag
どうがんばっても銃口から飛び出してくれなかったワイヤーの先が、いともあっさり飛び出してきてくれた。これで一件落着である。
「銃口から差し込めばいいじゃん」って思った方もいるかもしれない。それもひとつの手だとは思うのだけれど、セーフティフラッグというのは「フラッグ」というその名前の通り、片方の端に「旗」を取り付ける必要がある。そしてその「旗」はチャンバー側にあるのがお約束になっているようだ(ルールで義務付けにはなっていないようだけれど)。銃口からワイヤーを差し込むと、チャンバー部分に「旗」を明示することができないという問題が生じる。だから、こうやってチャンバーからワイヤーを差し込み、銃口から飛び出させようと頑張ったというわけ。
せっかくなのでその「旗」も自作する。カラープリンターを使って耐光・耐水のシール用紙にいろんなロゴ入りの「旗」を印刷する。自分で使うのはせいぜい2つだけなので、あとは欲しい人に配る用ということで。
ワイヤーの先っぽを挟み込むようにして二つ折りにする。シールなのでこれだけでくっついて「フラッグ」の出来上がりだ。