って言うと、「なんだお前、ハイソ気取りか」とか言われた時代もあったが、最近はさすがにそんなこともなくなってきたようだ。普通に「ビール、酎ハイ、ワイン」といった具合で、居酒屋なんかのメニューに入っているようになったし、スーパーやコンビニにもそれなりのスペースを取ってワインコーナーがあるところが多いし、「ワイン専門店」に近いような形のお店も決して珍しくなくなってきた。なにせ、超が付く下町である我らが両さんの街にもワイン(と焼酎と地酒)の専門店なんてもんがオープンして、それなりに流行ってるくらいなんだから。
専門店じゃない普通のお店(スーパーとかコンビニとか)で売ってるワインというと、ちょっと前(20年ちょっとくらい前かな)まではそれこそ「ブドウジュースにアルコール風味を足したような」とでも形容したくなるような、およそワインとは呼べない酷いシロモノばっかりだった。ワインってのはそういう甘いものってイメージが長らく日本では一般的だったからだ。それがポリフェノールがどうだとかで健康にいいとかなんとか、ボージョレ・ヌーボーが世界で最初に呑めるのが日本だとか、そんな感じでマスコミが盛り上げて「ワインブーム」なんてものが訪れたのが1980年代の終わりから1990年代の始めごろの話。ブームの盛り上げ方はどうあれ、そのおかげで比較的まともなワインが普通に店頭に並ぶようになった。「ワイン」というのが、今晩呑むお酒の選択肢の一つとして普通に挙げられる時代になってくれたわけだ。
写真:勝沼にある「ぶどうの丘ワインカーブ」にある試飲ワイン。1100円で180銘柄のワインをいくらでも試飲できる。「あまり良いワインはあそこには置いてない」とか「保存状態もあまり良くない」と、いわゆるワイン好きからは悪口を言われることも多い施設だが、安い値段で多くの種類のワインを試飲できる場所としては国内随一であることは確かで、「まずは自分がどんなワインを好むのだろうか」という入り口として体験してみるのなら良い場所だと思う。ここを入り口にして好きなワインのタイプや好みのワイナリーを覚えて、そこから自分で直接ワイナリーを訪ねたりして広げていけばいいのだから。