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ワインツーリズム2012~その10・ニュー山梨ワイン醸造

ここは、昨年も訪れたワイナリーです。昨年のレポートでは「農協みたいなところ」と書いたのですが、実は「みたいな」どころの騒ぎじゃなく、JA笛吹という正真正銘の「農協経営」のワイナリーなのだそうです。

自産自消の地元密着型ワイナリーということになるのでしょうか。生産しているワインの半分は一升瓶で、ほとんどが地元の農家や地域の酒屋で販売され、全国向けに流通することは基本的にありません。材料となっているブドウもほぼ100%が地元で取れたもので(※)、生食用として作られたけれども房の形が悪いなどの理由で生食用としては売れないものや、余剰になってしまったもの、あるいは片手間に作られた品種などが集められてワインになっています。
※:例外として、赤ワインの一部には輸入果汁を使っているものもあるとのこと。

基本的には小規模ワイナリーということになるのですが、県の助成金などもあるとのことで設備はけっこう立派で、生産量も堂々たるものだったりします。

広い駐車場にテントや移動販売車が出ていてジャムや炊き込みご飯、ホットドッグなどが販売されていました。これは昨年までは無かったもので、「笛吹マルシェ」という試みなのだそうです。
ここの工場見学は、本当に隅から隅まで見せてくれるのが特徴です。「え? そんなところまで見せてもらっていいの?」と思わずこちらが言いたくなるようなところまで平気で案内してくれます。それも一日に4回とかけちくさいことはいわず、人がある程度集まればすぐに出発、ひと通り案内が終わって最初のところまで戻ってきてまた人がいれば即座にまた出発とひっきりなしに案内を続けているらしく、案内をしてくれる方も「朝からずっと喋り通しで、顎のあたりがもうへろへろになっへるんへふよう」と、思わず泣き言が出ていました。

いくつもタンクが林立する部屋。1000リットル、4000リットルといった小型タンクもありますが、一番大きいのは12000リットルのものになります。普通では上から覗けないので、部屋の中にキャットウォークが設置してあります。
そのキャットウォークに登って発酵している最中のタンクを上から覗かせてくれます。普通のワイナリーだと、この部屋自体が立入禁止になっていたり、そうでなくてもタンクには近寄らないでくださいってのが普通だったりするのですが…。
タンクの中で発酵している甲州ブドウの絞り汁です。コレを見せてくれるってのが凄い。見学が終わった後はタンクの蓋を閉めないとならないのですが…。「すいません、最後の人、蓋閉めといてください」とのこと。いいのかそれ。いや、閉めるのは別にいいんですが。
なんでも、今年はものすごい豊作で、昨年に比べると倍に近い収量があったとのこと。そのため、濾過に時間がかかって新酒に追いついていないのだとか。甲州の辛口はまだ濾過が間に合ってないので未出荷なので、「まだか、まだか」という問い合わせを何件も受けているんです……と申し訳なさそうに話されていた。

これが濾過器。タンクの上澄みの、あまりオリが入っていない部分を濾過するためのものです。
こちらの布フィルターを何枚も重ねた濾過器は、タンクの底のほうに溜まったオリがたくさん入っている部分を濾過するためのものです。強力な濾過機能があるけれど、そのかわり濾せる量が少ないのだとか。
濾過した後、-4度で冷却することによって酒石酸を落としていく行程です。タンクの周囲に冷却液を回してタンクの中のワインを冷やしています。冷却液ポンプのパイプが凍り付いているのが見て分かります。
瓶詰めマシンです。720ml瓶だと1時間に600本、一升瓶だとその半分くらいの瓶詰めができます。海外製の機械ですが、アタッチメントの付け替えによって720mlと一升瓶の両方に対応します。生産量の半分は一升瓶で、地元の人は瓶を開けて飲むときには手頃な大きさのペットボトルに移して冷蔵庫に入れているそうです。


ニュー山梨ワイン醸造
http://www.onyx.dti.ne.jp/~new-wine/
所在地:〒406-0807山梨県笛吹市御坂町二之宮611
TEL:055-263-3036

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池上ヒロシ

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池上ヒロシ

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