第4回目となる今回は、2日目の中盤に入ります。昨年のワインツーリズムは、1日目は勝沼エリア、2日目は甲府・石和エリアという具合にバスが巡回するルートがわかれていました。たくさんのワイナリーが狭い地域に密集している勝沼と違い、甲府や石和はワイナリーの数自体は多いのですが互いに離れているので、移動はバスが頼りになりそれほど多くの場所を回ることはできません。そのため、いきおい一箇所での滞在時間も長くなりがちです。
一言で表現すると、「小さい、アットホームな感じのワイナリー」。観光客向けに、「ぶどうの足踏み体験」なんてことをやってたりする。自分で踏んで絞ったブドウ汁を使いワインを仕込んで、出来上がったら自分でデザインしたラベルを貼って送ってくれるというものだ。こういっちゃなんだが、真剣に上質なワインを作ろうとしているところ……というような雰囲気はあまりない。よくある観光地のおみやげワイナリーである。といっても、大きな企業がやってる観光地化された施設じゃなく、小さい施設で気のいいおばちゃん、おじさんが楽しく相手をしてくれるってところは、家族連れで来たりするのはいいのかもしれない。
ここの試飲ワインで興味深かったのは、「デラウェア」の新酒だ。デラウェアは生食用として有名なブドウで、誰でも何度かは食べたことがあると思う。収穫期が近くなると急激に糖度が上がり、その代償として果汁中のリンゴ酸は急速に減少してしまうため、ワイン用には向いていないと言われている。だがこの地域では「青デラ」と呼ばれる未熟な実をあえて使用することで、さわやかな味の新酒を作るという試みが行われているという。
ここは、観光地っぽさなんか欠片もない。看板すらほとんど出ていないので、知らなかったら絶対に通りすぎてしまうだろう。ワインツーリズム参加者に事前に郵送されてきた案内地図も、デザイン性重視になっているせいで細かい曲がり角などがわかりづらく、正直言うとこの地図だけでたどり着くのは無理だ。当日、石和温泉駅前で配られていた詳細地図があったからなんとか辿りつけたようなものだ。
次回は八代醸造とドメーヌ・Qをお送りする予定。なんとか次で「ワインツーリズム2011」の覚え書きは最終回になりそうな感じだ。