ガン&ガール イラストレイテッド 米軍現用銃火器編

発行:イカロス出版
発売日:2012年5月30日
定価:¥1,950(税込)

可愛らしい、場合によっては肌もあらわな女の子のイラストの横に、真面目な銃器解説を載せるというコンセプトの本。なんか、以前に戦車を題材に同様の企画で本を作ったところ、予想外に評価が高かったので「じゃあこんどは銃で行ってみよう」ということで始まった企画なんだとか。

私は今回、イラストには一切関わってませんが、テキストの多くを担当しました。銃器の歴史や機構に関する解説文はほぼ全部がそうです(軍の編成とか、銃器の範疇を超えるグレネードランチャーの類は他の方が担当です)。普通の本だったら文字だけで何十ページも埋まってしまいそうなほどの大量のテキスト量で発注を受けまして、「こんなに書いて大丈夫なんだろうか…」と心配しながら書きました。実際、美麗なイラストと私の書いたテキストと、誌面において占めている面積でははるかにテキストの方が多いという、「これ、女の子のイラスト目当てで買った人って怒ったりしないんだろうか…」と心配になるレイアウトです。

もちろん、解説文はこの手の入門本の中では際立って高いレベル、かつ初心者の方でも「用語がわからないので文章の意味が分からない、宇宙語のようだ」なんてことにならないよう、可能な限りわかりやすく書かれたものになっていますので、十分にお買い得だと思います。編集の方も、私の書いた文章に合わせてわざわざイラストや写真を発掘してきてレイアウトしてくれてますし。「ちゃんとわかってる人が作ってる本は、ちゃんとわかりやすく仕上がるんだなあ」と感心しました。

あと私が全く関わってないイラスト方面ですが、これまたずいぶん手がかかってます。銃器については3Dでモデリングしたものがあって、それをベースにして人物と合わせて一枚絵として仕上げるという手法をとっているようで、形やディテールに破綻したところがありません。何よりすごいのがサイズがちゃんと人物と合ってるところ。でっかい銃器をちっちゃい女の子(それもディフォルメされていて頭のサイズが大きく、顔面における眼球の専有面積が異常に大きいタイプ)に持たせようとすると、どうしてもあちこち破綻してしまい、銃のサイズが不自然なほどに小さくなってしまうものです(女の子じゃなくて男が持ってる例ですが、有名な「ちょろいもんだぜ」なんかその代表例ですね)。

ですがこの本、3Dモデリングされた銃をイラスト内に入れる際に厳密にサイズ合わせがされているらしく、「銃の大きさ」がきちんと表現されています。頭身が現実の人間とは大きく違うディフォルメされたキャラクターに持たせようとすると、手足の長さなどを銃そのものと破綻なく組み合わせるのは相当に苦労するはずです。実際、キッチリとかまえさせるのは最初っから諦めて、バットプレートは肩から外した状態になっているポーズが多いのですが、それでも不自然にならないようにツジツマを合わせるのは難しかったことと思います。

見た目と裏腹に、じつはかなり真面目な銃器入門書になっている「ガン&ガールイラストレイテッド」は全国書店で発売中です。見かけたらぜひよろしくお願いします。

池上ヒロシ

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