今回の赤羽ピンポイントシューティングは全部で14名と、大勢のご参加をいただきました。ありがとうございます。
5mでのエキストラステージをやってからさらにシュートオフと、全部で5つものステージを行う形でやってみましたが、さすがに競技進行が厳しい感じがありましたので、次回は5mのエキストラステージをいちど中止にして、シュートオフの方に時間をかけてやってみることにします。うまく機材が揃えばプレートじゃなくて別の形でシュートオフやってみたいなとか考えてますが…。
もう一つはフリークラス。スコープやドットサイトの使用可、姿勢も両手で持ってもOK、それどころかバイポッドを使ったりレストしたりプローンで撃ったりするのもOKという「なんでもあり」のクラスです。良い言い方をすれば「銃の性能を極限まで引き出すクラス」、悪しざまな言い方をすれば「どれだけえげつないかを競うクラス」ってことになるのでしょうか。私も以前(APS-3が修理中だったときに)VSR-10でバイポッド射撃をやったことがありますが、それもフリークラスということになります。
今回、そのえげつないクラス、もとい、エアガンの性能を限界まで引き出そうとする意欲ある方々の率が高い傾向がありました。さすがに本格的なベンチレストマシンを持ち込む方まではいらっしゃいませんでしたが、頑丈な机や台を使い、発泡スチロールブロックやバイポッドを駆使して高さを調整し、1発ずつ慎重にかつ完璧なショットを行うことで「射手のミス」を極限まで減らそうとする戦いです。純粋にエアガンの性能だけで決まる? いやいやこれがそう単純なものでもなく、机や台をどのようにセッティングするかという「競技開始前」の時点から、コッキングを行うときにどのようにボルトハンドルを引いてどのように戻すかという技術的な部分、さらにはトリガーを引くときの気の迷い、そういったことが複雑にからみ合って着弾を乱します。レストしての競技もまた人と人との戦いなのですね。
ベンチレスト競技というと、コンクリで作った超頑丈な机の上にクソ重いベンチレストマシンを打ち付けて、その上にレギュレーション限界までの重さにカスタムし、超大口径・高倍率のスコープを載せたライフルを据えて、右目でスコープを覗きながら左目で風旗を睨み、「良い風」になった瞬間を狙って射撃を行う…みたいな世界です。エアガンを使った距離10mのPPSですが、やっぱり究極を求めようとするとそれに近いような形態、机の上に高さ調整の台を置いて銃をその上に据えて、椅子に座って呼吸を整えながら慎重にトリガーを引く…というような形になると思います。ですが、今回優勝したのは全くそういうのとは違う「レスト射撃」を行なっていたスズキさんでした。使用しているのはAPS-1グランドマスター。胸の高さくらいの台の上に銃のグリップを置いて両手でグリップを握り、自身は中腰になって光学サイトを覗き込むという撃ち方です。「その姿勢は、安定しないんじゃないですか…?」という周囲の声などものともせず、プレート30点(外した2発も極めて惜しいところに当たっていました)、KYL満射で見事なトップスコアを叩き出しました。エアガン射撃の世界には、スズキさんのように「射撃の常識からはかけ離れたやり方をする凄い人」ってのが時々現れるので侮れません…。
侮れないといえばプレシジョンクラスでトップスコアの尾川屋さん。KTWのエンフィールドNo.4、当然光学サイトなんか付いていない、ミリタリーそのままのピープサイトを使っての射撃ですが、ブルズアイでもプレートでも堂々たるスコアです。KTWのエアコッキングガンは見た目の良さはもちろんですが、実はエアガンとしての性能もかなり高レベルにあるってことは知る人ぞ知ることですが、こうやって競技で結果を出されると「本当なんだなあ」って改めて実感しますね。もちろん本人の腕も凄いのですが。
さて、次回の赤羽PPSは予定通り来月の第1日曜日、3月4日に開催です。次回もよろしくお願いします。
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なお、今回の賞品として赤羽フロンティア様よりご提供いただいたマルシンのM36ですが、くじびきの結果Keikoさんが獲得しました。この銃は、このまま3月20日に同会場で開催されるPMC(プレートマスターズ・チャンピオンシップ)にて賞品として提供されるとのことです。PMCはスピード系の競技ながら、競うのはタイムではなく正確さであるという特色を持っています。エントリー締め切りはとくにないとのことなので(ただし当日エントリーは無理)、興味のある人はエントリーしてみてはいかがでしょうか?