ただ、その存在は知られていないことが多い。大きな施設の地下だったり廊下をずーっと行った先だったり、施設の中でも外れも外れのところにひっそりと設置してあるのがお約束だ。案内矢印も無ければ看板も出てないなんてことも珍しくない。
東京都選手権のピストル種目が行われることで何度も訪れたことがある台東リバーサイドスポーツセンターなんかは「隠し部屋」っぷりが凄くて、その先は機械室しかないような細い廊下の途中に入り口があるのだけれど、ちょうど梁の出っ張りの向こう側にドアがあるため、入り口の近く3mくらいまで近づいたとしてもドアの存在に気づかない絶妙の配置になっている。「そこに、射撃場の入り口ドアがある」ということを知っていないと絶対に気づかない作りだ。
台東リバーサイドスポーツセンターが、「そこにあるのに、あることに気づかせない」やり方だとすると、足立区総合スポーツセンター体育館のライフル射撃場は、「普通の神経をしていたら、とてもじゃないが入り口にはたどり着けない」やり方だ。この体育館、ライフル射撃場は地下にあるのだけれど、地下にいくための階段がどう見ても「閉鎖」されているのである(今回のトップ写真)。柵が立っていて進入を拒んでいる上に、さらにご丁寧にチェーンまで張って立入禁止を強調している。常識を持っている人ならば、柵を乗り越えチェーンをくぐってこの先に行こうなんて思いもしないだろう。だがこの柵もチェーンも別に進入禁止というわけではなく、射撃場利用者は当然のように柵を乗り越え、チェーンを外して階段を降りていく。というか降りて行かないと射撃場に辿りつけないのだ。
基本的にはこの体育館、受付のおばさんも射撃場管理者の方も実際に撃ってる足立ライフル所属の皆さんも実に良い人で、撃ってて楽しく競技者としてもやりがいの出てくる射撃場なのだけれど、入り口部分でのこの「人間を拒む」柵にはちょっとたじろがされたというのが正直な感想だ。
ちなみに、葛飾ライフルがメイン射場としている葛飾区総合スポーツセンター体育館ライフル射撃場(2012年4月末まで工事のため使えない)は、少々奥まったところにはあるが普通に人通りのある廊下沿いに普通に入り口があり、通りがかった人がドアから中を興味深そうに覗き込んでいるなんてことはしょっちゅうある。そうやって興味を持ってくれれば、いや射撃の場合はそれ以前の問題として「日本にも射撃スポーツってものがあるんだ」ってことを知ってもらうことで、少しは射撃人口の増加にも寄与できるんじゃないかと思うんだけれど。