日本で、エアピストルや装薬ピストルなどの、「実銃」に相当するピストルを使った射撃競技をやりたいと思い立った時に、最初の入口となるのがビームピストル競技です。レーザーを使った射撃シミュレーターで、日本ライフル射撃協会が定める公式の競技となっており、大会に出て良い成績を出せばエアピストルの所持に必要な推薦を受けることができたりします。
公式競技という事情もあり使える銃は、興東電子というただ一つのメーカーが作ってる一種類のみに限定されています。購入するのもただお金を出せばすぐ買えるというものじゃなく、規定の用紙にいろいろと必要事項を記入したものを提出し、数週間~数ヶ月くらい待つとようやく送られてくるという、なかなかアレな感じだったりします。
この興東電子製ビームピストル、なんか最近のロットだと、リアサイトの幅がやたらと狭い! 射撃姿勢をとってサイトを見ると、リアサイトとフロントサイトの隙間がほとんどなくて、細いスリットみたいな白い線が一本見えるか見えないかくらいです。
極端に描写するとこんな感じです。
これじゃ流石に狙いづらいってことで、「なんとかならないか」という要望が奥戸SCライフル場のピストル勢から上がってきました。簡単な方法はフロントサイトの幅を小さくすることです。メルカリを見ると「ビームピストル用フロントサイトセット」なんてものを出品してる人がいたのですが、問い合わせてみても返信が帰ってこないとのこと? 頼りにできればありがたいのですが、安易におすすめはしづらい感じなのでしょうか。
もう一つ、リアサイトの幅を広げる方法があります。王道としてはこちらの方法で、実際に競技で使われているエアピストルのほぼすべてには、リアサイトの幅を調整する機能がついています。とはいえ、それを新しく作って興東電子ビームピストルに搭載しようとすると、さすがにちょっとハードルが高くなります。
なので、リアサイトブレードを交換式にできないか、と思って作ってみたのがこの製品です。
リアサイトのベースとなるパーツ(ポリカーボネート積層で製作)に、ノッチ幅を微妙に変えた3種類のリアサイトブレードが付属します。たまたま手持ちにあった、艶あり厚2mmの黒アクリル板を使ってますが、つや消し厚1mmにするか、なんならいっそ0.2mmの黒PP板でも良かったかもしれません。
ノーマル(興東電子製)のリアサイト(右)との比較です。
ひっくり返したところです。ノーマルリアサイトにはない下方向への膨らみ(バルジ)は、リアサイトブレードの基部をしっかりと固定するためのネジ穴スペースを確保するために追加したものです。これのおかげで、それこそペンチで掴んでねじり切ろうとかしない限りリアサイトブレードが外れるってことはありません。
※ここに至るまでにいくつもの試作品がゴミとなって消えていきました……
真横から見たときの比較です。交換式リアサイトの、底部にある長い方のネジは組み立てに使っているものなので、使用時は緩めたり外したりする必要はありません。上にある短い方のネジは、リアサイトブレードを固定するためのものです。これを外すことでリアサイトブレードを好きなノッチ幅のものに交換できます。
取り付けた状態・下から見たところです。
最初は普通にパーツだけ販売しようかと思ったのですが、実際にビームピストルへの取り付けを行ってみて思ったことは、「これ、一般の方々にやらせる作業としては難易度高すぎるな……」というものでした。非貫通穴に入ってる直径2mmのピンをなんとかして抜き取るとか、ものすごく小さい(たとえて言うなら、砕けた米粒の破片より小さい)スプリングを飛ばさないように丁寧に取り出したあと元の位置に戻すとか……。
なので、まずは持ち込み加工での取り付けという形で承りたいと思います。後ほど、【あきゅらぼ通販】サイトに専用ページを公開します。量産試作した10個分のみ、先行モニター特別価格にて放出します。
ビームピストルのリアサイト幅に悩んでいる方、ぜひお試しください!