Categories: 実銃射撃

22LRのリム径を測ってみる

購入後しばらくの間は特にトラブルのなかったマッチガンMG-5ですが、ある時から頻繁に排莢不良に悩まされることになりました。具体的にはエキストラクターがリムに引っかからずに空振りしてしまい、空薬莢がチェンバー内に入ったままの状態になって取り出すことができないというものです。

一度空撃ちしてやると次はちゃんと引き出せたりすることもあるんですが、それでもダメなときには最終的にはクリーニングロッドを銃口から入れて押し出してやらないとならなくなることもしばしば。

たくさん撃って汚れが溜まったりしたせいなのかと思い(いちおうクリーニングはしてたんですが)、チェンバー内をよく拭いてみたりしたんですが解消されず。潤滑不足かと思って弾を装填する前に弾にスプレーグリス吹いてみたりしたんですが、こちらはいっときは効果あったものの、グリスがシアのほうにも回ってしまったのかシアがかからなくなったり暴発したりするようになってDNFを喰らうことになってしまったりと散々な結果に。

空薬莢を入れてエキストラクターの働きをよく見てみると、ギリギリのところでリムに引っかかっていないのが見えます、正確には表面をごく薄く擦るくらいのところまでは行ってるのだけれど引っかかりが微妙に足りない状態だということが分かります。エキストラクターの引っかかりを増やせる方法はないかと全分解して試してみたのですが位置を調整するようなことは無理っぽい。

エキストラクターそのものを叩いて伸ばしたりできないかと思ったのですが、ものすごい硬い素材で、側面にポンチ当てて全力で叩いても凹み一つ付きません。こりゃムリすると伸びる以前に折れるぞと思ってこの方法は早々に諦めます。

あと考えられる方法は――。そうだ、弾を変えてみたらどうだろう?

銃砲店にて、「22LRのリム径って、銘柄によって違ったりしますか?」って聞いてみたのですが、「変わりませんよwwwww全部同じですwwww」と鼻で笑われる始末。まあ、聞かれたらそう答えるよなあと思いつつ、ダメ元でその日に購入できる普段とは違う2銘柄をとりあえず2箱ずつ買ってみて、ノギスで測ってみました。


まずは普段使ってたSKスタンダードプラス。銃砲店で「一番安い22LRください」っていうと出てくるタイプの弾です(一発あたりの価格はだいたい30円ほど)。10個ほどランダムで抽出してリム径を測ってみたところ、大きいものだと6.92mm、小さいものだと6.88mmと上下に散らばった数値になりました。


次はRWSライフルマッチ。使ってるユーザーが多い弾です(一発あたりだいたい45円くらい)。一番安いターゲットマッチは在庫切れで購入できませんでした。リム径は6.9Smm前後とSKに比べて全体的に大きめですが、ごく稀に6.85mmなんて明らかにちっちゃいものが混じってたりしました。


もうひとつがLAPUAセンターX(一発あたり41円くらい)。銀座銃砲店さんのカタログによると「LapuaとSK は実は同じ工場で製造されています」なんて書かれてます。完全に同一のものでパッケージだけ違うってことかと思いきや、リム径を計測してみると6.93mm前後と明らかにSKより大きめで、しかも上下のバラツキがほとんどないという結果になりました。


計測結果を分布図にしてみるとこんな感じです。全体的に上下のバラツキが大きいSK、大きめで安定しているのだけれどたまにやたらと小さいハズレがあるRWS、ちょっとだけ大きめで超品質が安定しているLAPUAという具合に、見事に三者三様の結果になりました。

計測に先立って実際に撃ってみました。SKを撃ってるときはだいたい半分弱くらいな割合で排莢不良が起きます。RWSでは全然排莢不良が起きないんで「こりゃいーや」と意気揚々と撃ってたのですが、一試合を通して(試射含めてだいたい70発くらい)2発だけ排莢不良が起きました。そしてLAPUA、こちらは全く排莢不良を起こさないという結果になりました。

計測結果と比べてみると、おおむねリム径が6.9mm以上あればきちんと排莢される、それを下回ると排莢不良を起こすと考えると、実際の結果と合致します。銃砲店では「22LRのリム径がメーカーによって違う? そんなわけないでしょwww」とか言われましたが、現実には0.05mm程度の差があり、その差によって排莢不良が起きたり起きなかったりするというのが現実だったっぽいです。

とりあえず。先日の銀座銃砲店オンラインマッチでもらった商品券を使ってLAPUAセンターXを買い込んできました。これでしばらくは排莢不良には悩まされずに済みそうです。ただ、大量にあるSKスタンダードプラスをどうやって消費するか……。真面目にライフルも撃ってコツコツと消費するしかありませんねえ。

ちなみに、22LRの規格ではリム径はどのくらいあるのが「正しい」とされているのかとちょっと疑問に思ったのでWikipediaを参照してみました。

https://en.wikipedia.org/wiki/.22_Long_Rifle

さすが、世界で最も消費されている弾だけあってWikiの内容の充実度は他の弾に比べても頭一個飛び出してる感があります。長い長い。ずーっと読んでいくと最後の方に「規格上、許される最大寸法」というのが図面で掲載されています。パブリックドメインなんで遠慮なく転載させていただきます。


なんと、7.06mmが最大寸法とのこと。これに比べると競技用の22LRのリム径って6.90~6.95mmだったわけですから、ずいぶんと小さめに作られてるんだなってことが分かります。この規格どおりに7mmくらいリム径があれば、そりゃ絶対に排莢不良なんか起きないでしょうね。

池上ヒロシ

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池上ヒロシ

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