リアサイトの前後位置について(続き)

リアサイトが比較的前方に取り付けられているモリーニ、後ろに飛び出した形になっているステイヤー、それぞれの利点や欠点について(ちょっとだけ)話されていた海外掲示板の抜粋引用をしたところ、大きな反響を頂きました。

なので、実際にモリーニとステイヤーで、「腕を固定し、手首関節だけを曲げた時に、サイトの位置はどのくらい動くのか」をテストしてみました。


まずはモリーニCM162Eです。リアサイトが手首関節よりずっと前方にあるので、手首を曲げるとそれにつられてサイトも大きく曲げた方向に動いてしまいます。


次にステイヤーLP10(をベースにしたデジタルピストル)です。リアサイトがほぼ手首の真上にあるので、手首を曲げた時に動く量はモリーニに比べればかなり小さいのがわかります。

「リアサイトが前方にあるモリーニは、後方にあるステイヤーよりもリアサイトが揺れにくい」という、実際の感覚とは逆の結果になりました。はてさて。

実際に構えて標的を狙ってみた状態ではどうなるかというと、こちらはなぜか「モリーニは手首を曲げてもリアサイトは動かない、だがステイヤーは動く」という結果になりました。なんで???と重いながらよく見るとモリーニのときは手首を左に曲げると腕全体が右にシフトすることでリアサイトを同位置に止めようとする動きを、「無意識のうちに」行っていることが判明。同じ感覚でステイヤーを手に持てば当然、手首を左に曲げるとリアサイトは右方向に動いていきます。

これは……。「長年モリーニを使っていたので、完全にそっちに慣れてしまったから」というのが真相っぽいです。まあ、思い起こせば、かなり長いことこの銃撃ってますものねえ。

掲示板ではもう一つ、リアサイトが前方にあることのメリットが挙げられていました。「前後サイトの両方にピントが合いやすい」というのがそれです。これは、間違いなくそのとおりです。ステイヤーではリアサイトはある程度はボケた状態になることを許容しなきゃならないですが、モリーニだと前後サイトは両方ともくっきり見えた状態で射撃ができます。

ただ、それを持って「モリーニのほうが優れたリアサイトである」と言えるかどうかは話が別です。写真を見比べていただけるとよくわかりますが、モリーニのリアサイトはなんともまあ小さい! もちろん照準にはなんの問題もないのですが、照準時の視界がステイヤーだと「サイトでいっぱい」になるのに対し、モリーニはグリップ後部のネジの頭のほうがおっきく見えてしまうような感じで、これは「サイトへの集中」をする際にはマイナスになってるんじゃないかと思います。

また、サイトの前後左右への調整に工具(マイナスドライバー)が必要になるというのも、いまどき競技銃でそんなのある……?って言いたくなる仕様だったりします。競技用の銃は「弾が飛んでいく場所」が変化するなんてことはまずないので、銃の性能的には一度サイト調整したら動かす必要なんかほとんどないのですが、人間の性能的には別で、その日の調子とか、下手すると同じ日でも試合の前半と後半だと疲れ具合が違ったりだとかで、弾が当たる場所が微妙にズレることはよくあります。なので、試合中にとっさにサイト調整ノブをちょっとだけ回して調整する、というのはできれば備えておいてほしい機能になります。

とはいえ、両方とも慣れればどうってことないと言えば確かにそのとおりではあるのですが。

池上ヒロシ

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