これでは公平性に欠けます。本来なら着弾痕はあくまで目安として、採点基準となる弾痕は直径何mmであるというふうにルールで定め、微妙な痕については精密なゲージを使って採点をしたりするべきなんでしょうが、APS公式ルールのどこを探しても「採点基準となる弾痕の直径」が見つからないのです。
なので参考として実際に公式が行った採点を見てみましょう。JASGさん主催のブルズアイマッチ200において採点の参考にと画像が掲載されていたAPSカーボーイさんのターゲットです。
ちょうど10か10xか微妙なヤツがあったのでそれを参考にします。だいたい直径3mmが基準の円であると考えて間違いなさそうです。厳密に言えば3mmよりは少し大きそうな気もしますが……ここはキリがよいところということで3mmとしてしまいましょう。なお、これはJASG公式の見解ではなく、「あきゅらぼ」で勝手に決めてしまった基準だということは強調しておきます。
基準となる弾痕の直径が3mmであるという前提で、採点ゲージ……つまり微妙なところに当たった着弾が何点なのかを調べる簡単な道具を作ってみました。
まず、プラ板を用意します。ここでは乳白色のものですが、白色でもいいですし、緑や赤でも構いません。ただ、黒はダメです(理由は後述)。少し明るめの色ならなんでもOK。厚さはここでは2mmのものを使ってますが1mmでもOKです。ただ0.12mmとか凄い薄いものだとちょっと使えません。最低1mmくらいは必要です。
そしてそのプラ板に、3mmの穴を開けます。どこのご家庭にもある電動ドリルを使って、電動ドリルセットには必ずついてくる3mmのドリルでギュイーンって穴を開けるだけです。誰でもできる簡単な作業ですね。なお工作に慣れた人だと、穴を開けたあとに大きめのドリルを使って穴の縁の面取りを、ほぼ無意識のうちに行ってしまったりするかもしれませんが、それをしちゃうと意味がありません。面取りNGです。ここ大事。
これが採点ゲージです。
使い方です。まず微妙なところに当たった弾痕を探しましょう。
この写真の赤矢印で示したヤツ、これが10点か9点か調べてみます。穴を開けたプラ板を標的の上に重ねて穴を通して調べたい弾痕が覗くようにします。そしたら、穴と弾痕が同心円になるように揃えます。
着弾痕が小さい場合はこんなふうに青い円の周囲に少しだけ白い枠が見えるような感じになると思います。青い円が大きくて3mmをはみ出してる場合は……それはゲージを使わずに目視で採点してください。
綺麗に重ね合わせることができましたら、板を斜めにして標的の内側の方を見ます。
標的を区切る黒い線が、採点ゲージからはみ出して見えているようなら、その着弾は内側の得点(この場合は10点)に入っているということになります。なお、プラ板が黒だとダメな理由は、ここで黒い線が見えるか見えないかをハッキリと判定するためです。
次はもっと厳しいヤツ。この写真で赤矢印で示した着弾は9点に入っているか、それとも8点か?
少し着弾が歪んでいますが、全体を見て「この状態なら着弾中心が穴の中心になっている」と確信できる位置に採点ゲージを合わせます。
斜めにして見ますが……残念、黒い線は見えません。この着弾は8点で確定です。
もしこんなふうに黒い線が見えていたら9点になっていたのですが。
と、こんな感じに使います。白っぽいプラ板も、3mmの穴を開ける道具もそれほど珍しい道具ってわけでもないと思いますから製品として販売するほどのものじゃないとは思いますが……もし要望が多いようでしたら、簡単なものを「あきゅらぼ通販」でもお配りしたいと思います。値段つけて売るわけじゃなく、なにか射撃用品を購入いただいた際におまけとしてつけるとかそんな感じになるかと。
着弾痕が小さいために、採点を泣く泣く厳し目にしなければならなくなりがちだった皆さん、この方法を使って堂々と「これは10点に入ってる!」と自信を持って自己採点してくださいね!