ビームライフルの標的サイズは、エアライフルの旧標的と同じサイズだと、ルールで定められています。今はエアライフルの10点は0.5mmですが、昔(いつくらいなんでしょう、ヘタすると私が生まれるより前)には1mmでした。満点連発になって決着がつかなくなったんでサイズを小さくした、と聞いたことがあります。
その旧標的とビームライフルの標的を比較したのが上にある写真です。ビーム標的の中心にある白点、妙に大きいですよね……? どう見ても1mmより大きいです。なにかルールが変わったりとかしてるのでしょうか。日本ライフル射撃協会のWebサイトにある公式ルールを見てみましょう。
文章では、「白点で表示される10点圏は1.0mm」と明確に書かれているにも関わらず、イラストでは明らかに1mmよりも大きめに白点が描かれています。しかも、なんか後から無理やり付け足したみたいな雑な修正で。ルール内のテキストとイラストで明らかな矛盾があるという、極めてまずい状態になっています。
なんで標的の白点がこんな大きいのか? 射撃関係者に聞いてみると、どうやら「センサーの都合」なのではないかというのが有力な説として浮かび上がってきました。中心部分があるていど大きく白くなっていないと、小数点以下の正確な表示ができないため、ルールで定められた10点圏とは全く違うサイズの白丸が描かれているとのこと。これが本当なら、興東電子は「自社の技術的な都合で、ルールに違反した標的を出荷している」と非難されても仕方のないことをしていることになってしまいますが……。ただルールブックにまでその「違反状態のはずの標的」が描かれている以上、これは日ラ公認のものだと考えざるを得ません。
ルール上の10点圏とは何の関係もない大きな白丸が標的に描かれていることは、一般の射手の皆さんにとっても大きな混乱の元になっているようです。この白丸が10点圏だと勘違いしている人がそれなりな率でいるのだとか。アニメ「ライフル・イズ・ビューティフル」の中でも、その勘違いを元にしたと思われる、明らかに間違った10点圏についての説明が行われていました。
前のエントリーでも書きましたが、正しい得点の判定方法について念のため解説しましょう。ビームライフルの10点は、中心にある1mmの点です。実際に描かれているのは10点圏とは何の関係もない大きな白丸ですので、そのことは忘れましょう。白丸の中に、本当の10点である1mmの点があると考えてください。
ビームで発射するのは光ですが、仮想的に「口径4.5mmの弾」を発射したと考えて、標的に直径4.5mmの穴が開いたと仮定します。その穴が、10点圏(1mmの点)にカスっていれば10点になります。ギリギリで10点に入ったものが10.0、文句なしど真ん中に当たったのが10.9、そしてその間を10等分して10.0~10.9まで10段階で細かい得点をつけます。
あまりにもややこしいので、葛飾射場でのビーム開放日ではビームライフルの標的そのものはお客さんには見せず、エアライフルの旧標的と空気銃の弾の現物を使って、どこに当たれば何点になるのかを説明しているそうです。そのためだけに、何十年前のものかわからない旧標的を大事にとってあるんですね(冒頭の写真を見れば分かる通り、年季の入り方が凄いです)。
以上、「ルールに書いてあるのと違う、謎の巨大な10点圏(に見える白丸)」についてのお話でした。今回のエントリーは、何箇所か憶測に基づいて書いている部分もあります。より詳しい事情、あるいは真相をご存知の方がいらっしゃいましたら、コメントなりメッセージなりでお知らせいただけると助かります。