情報の初出は昨年末、
ハイパー道楽さんの先行リポート記事でも「発売は2019年1月中旬予定」となっていたのに、なかなか発売にならなかったノーベルアームズさんの新型ドットサイトSURE HIT MASTERが、今度こそついに発売です!
今、超小型のオープンドットサイトが熱いです。この手のドットサイトを見たのは記憶だとドクターサイトが最初でしたが、あの頃は「ものすごく高い、使用者を選ぶサイト」みたいなイメージがありました。その後、いろんな製品が出ました。安価ではあるけれどレンズの歪みが大きく、レンズの端っこの方にドットが行くと突然ドットが妙な動きをしてレンズ外にすっ飛んでいくようなものとか、レンズの青みがすごかったりとか、内部の配線がヤワでガスBLKのスライドにマウントして使うなんてとんでもないものとか。
ダイレクトマウント(BLKガンのスライドに直接マウントすること)をするにも、けっこうな値段がするパーツを別途購入するか、あるいは特別な工具を揃えて自分でなんとかして作るかする必要があり、お世辞にも「誰にでもできる」ようなことではなく、相当にシューティングに入れ込んでいる競技シューターでもなければ手が出せない世界という印象がありました。
けれど技術が進歩したのかユーザーの要求レベルが上がってきたのか、ここ数年になって発売されるのは性能的にはどれも十分に及第点以上で、中には凄い安価なのに昔のそこそこ値段がしたサイトよりずっと使えるものもあったりします。人気に火が着いたのは、やっぱり東京マルイさんから発売になったマイクロプロサイトでしょう。レンズがガラスじゃなくてポリカ製という思い切った設計のおかげで、安価な上にものすごく軽くて頑丈。ドットのクリアさとかでは数万円する「ちゃんとしたドットサイト」には及ばないものの、自社製品向けにマウントパーツが豊富に取り揃えられているおかげで、難しいこと考えなくても純正パーツの組み合わせだけで取り付けが可能になりました。小型ドットサイトがぐっと身近な存在になったのです。
実は、実銃の世界でもここ数年、小型ドットサイトを自動拳銃のスライド上(リアサイトあたり)に取り付けて使うというのが一気に一般的になってきているという事情があるようです。GLOCKの最新型であるGEN5には「MOS(Modular Optic System)」なんていうオプションがあり、最初からリアサイト前方のスライド上面を取り外して小型ドットサイトのマウントベースに付け替えることができるような仕組みになっていたりします。マウントベースはGLOCK純正で各種揃っていて、いろんなメーカーのドットサイトに対応します。
Gen5のMOS付きG17(
GLOCK公式サイトより引用)。リアサイト前方にトルクスのネジ頭が2つ見えます。このネジを外すとスライド上面がパカッと外れて、小型ドットサイトをダイレクトマウントするためのマウントベース取り付け基部が現れます。マウントベースは別売りですが、各メーカー製のドットサイト向けに形状やネジ穴の大きさや位置が異なるものが
各種取り揃えられています。いたれりつくせりです。
ノーベルアームズからもこの手のサイトは以前から何種類か発売になっていました。これまでの最新製品(そして同カテゴリーでのフラッグシップ的な扱い)だったのがSURE HIT MRSです。値段は2万オーバーとちょいと高いですが、レンズの歪みが少なく、電池は側面から抜き差しするタイプなのでマウントしたまま電池交換が可能(狙点がズレない)、下半分を外して上半分だけにすればBLK銃のスライドなどにダイレクトマウント可能など利点は多く、けっこうなヒット作になっているようです。
そのMRSの上位モデルとして発売になるのが、この記事で紹介するSURE HIT MASTERです。
SURE HIT MASTER、MRSとの違い
MRSより一回り大きいMASTER。ドットサイズ3MOA、本体サイズ58x36x41mm、重量80g、定価24,800円(税別)。サイズが大きめなので当然レンズも大きくなります。レンズのコーティングも異なるものを使っているようで、色からして全然違います。
外観の違いで目を引くのがレンズの周囲のガード部分の形状です。上部が「ひさし」のように前方に張り出しているのが特徴的です。
もちろん、マウントは20mmレール対応。ネジ穴はすべてヘリサート加工されているので、ネジを回す時の感触はステンレスのスルスル滑る感じ。アルミに直接切られたネジ穴に鉄製のネジをねじ込んでいく時に感じる特有のギシギシと削れてく感じがないだけで凄い安心感があります。
上下左右の調節方法が大きく変わっています。MRSでは調整ネジをロックするためのネジが後方にあり、まずそれを緩めて、ドット位置の調整をして、それからロックスクリュウを締めるという手順が必要でしたが、ロックスクリュウを締めるときにせっかく合わせたドット位置がまたズレてしまうという問題がありました。MASTERでは上下左右の調整ネジにしっかりとしたクリックが付きロックスクリュウが廃止されたので、ドット位置調整が遥かにやりやすくなりました。
マウントと本体を接合しているネジが、MRSだとM3のマイナスネジだったのに対し、MASTERだと
M3.5のトルクスネジになっています。
M3.5です。ここ重要です!
ダイレクトマウントに対応
MRSと同じく、ネジを2本外すだけで上半分(本体)と下半分(マウント)に分離することができます。電池やスイッチはすべて本体で完結しているので、防水を始めすべての機能はマウントを外しても変わりなく使えます。このネジですが、普通はM3だと思うのですが、ちょっとだけ大きいM3.5という変わった規格のものが使われていますので注意!
ノーベルさん公式ブログやその他の媒体にも同じ画像が行っていると思いますが、これがMASTERのマウント部分の規格です。各カスタムパーツメーカー様においては、ぜひ各社ガスBLK対応のマウントベースを開発して発売していただきたいと思います。絶対このドットサイト、売れると思いますので! なお、グレーで描かれた線はMASTER外形寸法です。
電池収納はレバー&マグネット式
MRSではネジ2本を外して小さい蓋を外し、中から電池を引っ張り出す方式でしたが、MASTERでは工具無しで電池交換が可能になりました。まず、赤矢印で示した小さいレバーを起こします。
レバーは磁石で本体にひっついています。小さいレバーなので指先でつまむような形になりますが、金属製で頑丈なのでそうそう折れたりちぎれたりってことはないと思います。
そのまま力を込めて引っ張ると、本体の中からトレーに収納された電池がゾロッと抜け出してきます。写真を拡大するとわかりますが、トレーと本体の間はOリングで防水もきっちり配慮されています。
レンズプロテクターはすでに発売済
レンズ周囲のガードの上部がひさしのように前方に張り出しているのを活かし、そこにハメ込む形で固定します。
装着状態を真横から見た所です。押し込んで摩擦だけでもけっこう頑丈に固定されますが、ガスBLKのスライドにダイレクトマウントする場合などは流石に接着剤などを併用して確実に固定することをおすすめします。なお、プロテクター周囲はレーザーで切り出したままなので茶色く変色しています。この写真ではレンズプロテクターの周囲を磨いてあります。
トルクスドライバーもついでに買っておこう
本体とマウントとの上下分割や、マウントベースへの取り付けネジはトルクスになっています。もちろん小さいL字レンチが付属しますが、正直使い勝手が良いとは言えないので、MASTERを買うなら
トルクスドライバーも一緒に購入することを強くおすすめします。
必要なのは「
T10のトルクスドライバー」です。電動ガンのメカBOX分解に使うのと同じサイズですので、そっちの方もやる人なら買っておいて損はない、というか作業効率アップのためには絶対買っておいたほうがいいドライバーです。
やけに透明なレンズ
ドットサイトである宿命で、レンズは完全に無色透明にするわけにはいかないのですが、それでも色が着いているように見えるのはほんのちょっとだけです。
MRS(左)も、この手のドットサイトにしては相当にレンズが透明で凄いって言われてたものですが、MASTERはさらに透明度が高いのがわかります。
ドットを点灯させたところです。明るさの調整は10段階。ドットの明るさの調整とON/OFFは左側面にある「▲▼」スイッチを使います。「▼」長押しでOFF、そこからスイッチ(どちらでもOK)を押せば、消灯前の設定で点灯します。
もうすぐ出る出る言われながらなかなか発売されなかった期待の新製品、SURE HIT MASTER。今度こそ発売です!