3Xタクティカルマグニファイアの発売は今から5年前、2014年のこと。発売以来、「普通に買える値段で、ちゃんと使えるマグニファイア」としてほぼ唯一の選択肢としての地位を守り続けてきた人気製品が、このたびちょっとだけバージョンアップしました。
新型の製品情報自体は昨年の夏頃にはすでに頂いていたのだけれど、実際に店頭で発売開始になるのがいつ頃になるのかが不明でずっとお蔵入りになっていた記事なのですが、さっき調べてみたら普通にAmazonとかで「2019年新モデル」として発売されていたので、書いてあった記事を急遽公開することにしました。新型と旧型の違いというのは、実のところ並べてみて初めて何が変わったのかがわかるレベルです。しかし、この細かい違いがまたツボを抑えた改良になっているのが魅力です。すでに所持している人でも、新規にもう一個購入したくなる勢いのバージョンアップと言えます。
ドットサイトの後ろに直列に並べるように取り付けて、ドットサイトを通して見える映像を拡大する照準機器が「マグニファイア」です。マウントに工夫があって、簡単に取り外したり、横にスイングして「どける」ことができるようになっていたりするのが特徴で、近距離用にドットサイト、遠距離狙撃用にはスコープ的な使い方ができるのが利点です。
「遠距離近距離どちらでも使える万能サイト」みたいなものを簡単に実現できるという、とても中二病マインドをくすぐる格好よい響きに心惹かれるユーザーは多いらしく、実物・レプリカ品含めてたくさんの製品が出ていますが、実際に照準器として使うことを考えると満足な性能のものはあまりないというのが実情だったりします。もともとドットサイトのドットはスコープのレティクルに比べれば大きめな上に、レンズ性能がよほどよくなければ滲みや歪みがある程度はあるのが普通なので、ドットサイトをドットサイトのまま等倍で使うなら多少の滲みや歪みも許容範囲だったとしても、マグニファイアで拡大してしまうと「さすがにこれはちょっと」というレベルになってしまうことがほとんどだからです。
針のように小さく鋭く滲みも歪みもないドットを投影する高性能なドットサイトと、明るく光る点なんていう光学的にはハードルが高い対象物をキレイに拡大するマグニファイア、この2つが揃わないとドットサイト+マグニファイアの組み合わせは使い物になりません。コストさえかければいくつか選択肢は存在しますが、ドットサイトと合わせてせいぜい数万円程度で十分に使い物になる組み合わせはないかと言われれば、選択肢はただ一つになってしまいます。ノーベルアームズの3Xタクティカルマグニファイアと、コンバットT1ドットサイトの組み合わせが、それです。
欠点、というか不満点が無かったわけではありません。サイドスイング式のマウントのロック解除ボタンが、「手前から奥」に向かって押す形式になっているのは、奥から手前に引っ張る形の他社製品と比べてとっさの操作がし辛いという意見を良く聞きました。また、高さも微妙にコンバットT1とズレていて、直列に並べてレールに装着するとちょっとだけ見た目が美しくないという弊害もありました(実用上は問題ないレベルなのですが)。
見た目は従来品とそれほど大きくは変わっていませんが、実際の使い勝手の良さと、T1ドットサイトとの組み合わせでの美しさは、まるで別物といっていいレベルで進化しているマイナーバージョンアップ版の新型3Xタクティカルマグニファイア。光学機器としての性能の高さは折り紙付きなわけで、これはまた「マグニファイアのド定番」製品として定着するのは間違いないんじゃないでしょか。
2019年発売、定価は24,840円です。