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ノーベルアームズ SURE HIT 432FPS 製品レビュー

「こんな感じのショートスコープがあれば、サバゲでは物凄く使い勝手が良いだろうなあ」という要望というか妄想がそのまま形になったかのような、いろんな製品のいいとこ取りをしたスコープの新製品が発売になる。本体の頑丈さや精度、レンズの透明度の高さや歪みの少なさ、レティクルのクリアさは価格から考えられるクオリティを大幅に超えた高水準なものだ


「Aimpointっぽい形をしている小型ドットサイト」とか、「Trijiconっぽい形をしている、外部ファイバーから取り入れた光でレティクルが発行するショートスコープ」など、完全なレプリカというわけじゃないのだけれど形はよく似ている製品をいくつも出している光学照準機器メーカーがノーベルアームズだ。そんじょそこらのレプリカ品との大きな違いが、中身がしっかりしていること。ちゃんと照準機器として使える精度と耐久性を持っていることから、多くのサバイバルゲーマーから「予算にある程度余裕があるなら、まずは購入候補に入れるべき」という高い評価を得ている。日本メーカーならではの「ちゃんとした保証」がついてくることや、初めて光学サイトをエアガンに取り付けて使う人でも大丈夫な、丁寧で詳しい説明書が付属することも魅力だ。

ノーベルアームズが出しているのは「モチーフとなったデザイン」がある製品だけではない。完全オリジナルデザインのスコープやドットサイトもいくつか発売している。2015年に発売された「SURE HIT ACCURA」というドットサイトは、マウントベースから本体まで全部一体となったアルミ削り出しだったり、高機能で便利なドット調光機能(自動と手動の切り替えが可能)が付いていたりと、かなりの意欲作だった。ネットでの評価を見ると概ね高い評価を得ているようだ。まあ、鉄板の人気第一位、トップシェア爆走のT1に比べると二番手に甘んじてしまっているようだけれど……。

ドットサイト分野でのオリジナルデザイン・フラッグシップモデルを目指して作られたのがACCURAなら、おそらくはショートスコープ分野でそれを目指して作られたと思われるのが、今回紹介する新製品「SURE HIT 432 FPS(Fiber Prism Sight)」だ。まずは基本スペックを見ていこう。

 


SURE HIT 432 FPS

倍率:4倍(固定)
レンズ径:32mm
全長:141mm
重量:427g
パララックスフリー:100ヤード(91m)
アイリリーフ:40mm
作動幅:45M.O.A.
1クリックの調整幅
:10mm@100m(0.34M.O.A.)
耐衝撃:500G
防水:5m/30分
発売:2018年12月
価格:¥27,500円(税別)


まずはなんといっても、とてつもない存在感を放っているオレンジ色の細長い窓について。これは飾りではなく、外光を取り入れてレティクル(中心部分のみ)を発光させる集光ファイバーだ。製品名の「FPS」というのも「ファイバープリズムサイト」というその機能を表すものだとのこと。
 

細かくあちこち見ていくより、まずはなにより気になる「どんなふうにレティクルが光るのか?」というところから紹介しよう。発光するのは中心部分の三角、というか「上向きの矢印」みたいな形をした部分だけ。他は真っ黒なままだ。簡単に書いてるがこれってけっこう内部的には高度なことをやっているのだ。>外光を取り入れる窓は閉じて光らない状態にすることもできる。



電池もなにも使わないから、当然のことだけれどスイッチのON/OFFについて気を使う必要はない。電池切れの心配もまったくない。スコープを覗けば、いつでもレティクルの中心は赤く光っている。光らせたくないときは窓を閉じればいい。実に簡単で単純明快でわかりやすいシステムだ。

SURE HIT 432 FPSについて詳しい機能や特徴をチェックしていこう。
 

最近のマウント一体型ドットサイトやスコープでは当たり前になっているライザープレート(赤矢印で示したパーツ)。M4カービンなどのフラットトップレシーバーに取り付けてもサイトが低くなりすぎないように嵩上げするパーツで、これを取り外せば普通のライフルに取り付けて使うこともできるというものだ。ネジ2本で固定されており、取り外した時には付属の短いネジに交換する。


マウントの取り付けネジは、指で回せるサムスクリュウになっている。特に工具などを使わなくても、少なくてもエアガンで使うかぎりは全く問題のないレベルで頑丈に固定できる。レンチを使ってさらに増し締めすることも可能。


ボルト4本で締め付け固定されている接眼レンズ部分のデザインは、ちょっとだけTrijicon製スコープを彷彿とさせる。ディオプター(レティクルの見え方を個人の視力に合わせて調整するもの)の調整範囲は広い。


さて、気になるのは接眼レンズの上、エレベーション・ノブの後方にある細長いこのパーツ(赤矢印で示したもの)。ネジ2本でガッチリ固定されているが、なんの意味があるのだろうか……?


実は、この部分にはノーベルアームズ製の超小型ドットサイト「SURE HIT MRS」を取り付けるためのアダプターを固定するネジ穴があり、この長方形のパーツはそれをガードするための「マウンティングボルトカバー」なのだ。


マウンティングボルトカバーを外すと、2つのラグ(四角い出っ張り)とボルト穴が顔を出す。


そのラグに合わせて、FPSに付属するマウンティングアダプターを、ボルトカバーを固定していたネジを使って取り付ける。


SURE HIT MRSをFPSに固定したところ。あつらえたようにピッタリだ、というかあつらえたのだから当たり前だけれど。SURE HIT FPSは、この状態にして初めて「製品として完成した」感がある、といったら流石に言い過ぎだろうか……?



MRSのマウントに関わるボルト用のネジ穴には、全てヘリサートが挿入されている。鉄製のボルトをアルミ製の筐体に直接ねじ込むと、柔らかいアルミが少しずつ削れて精度が悪くなってしまうが、ネジが接してこすれる部分にステンレス製の薄い「雌ねじ」を挿入してあるのでその心配はなく、またネジを締めたり緩めたりするときも回り方が滑らかで、安心して強い力をかけることができる。

 


調整ダイヤルは、前述のディオプターと、上下左右を調整するためのエレベーション・ノブ、ウインデージ・ノブの3つで全てだ。フォーカスダイヤルなどは付いておらず、パララックスフリーになる距離は100ヤード(約91m)で固定である。エレベーション/ウインデージ・ノブはキャップにカバーされている。調整時にはアジャスト・キーがあると便利だ。

 

主な付属品。この他に長短のボルトやクリーニングクロス、説明書なども付属する。前後のフリップアップ式キャップやキルフラッシュ、ラバーアイピースなどはSURE HITシリーズならお約束の付属品だが、問題は左下にあるレンズガードだ。


問題といっても、製品に問題があるわけではない。むしろ逆で、問題がないことが「あきゅらぼ通販」的には大問題なのだ。ポリカに比べれば圧倒的に透明度が高い強化ガラス製で、あまつさえ透過度UPのためのグリーンコートまでされている。「あきゅらぼ製レンズプロテクター」ではとても太刀打ちできないクオリティの高さである。


装着したところ。もちろん外観への変化は最小限、フリップアップ式キャップの取り付けにも一切影響なし。透明度の高さは、「レンズに触ろうとしても途中で指が止まる」ようにしか見えないレベル。


本当は、フィールドに持ち出して実際に野山を見たときにどういうふうに見えるのかという写真も掲載したかった(さすがSURE HITで、眼の前にあって触れるんじゃないかと思えるほどにクリアな像が見える)のだが、スケジュールの関係でそれはNGとなってしまった。残念。


既存製品の良いところ取りをした、非常にクオリティの高い固定倍率ショートスコープ。一見するとドットサイトにも見えるオリジナルデザインがどこまでサバイバルゲーマーに受け入れられるか、全く予想はつかないというのが正直なところ。私は格好良いと思うのだけれど……。少なくても、買って後悔はしないことは確実だ、それだけのクオリティはあるということだけは保証できる。

発売は2018年12月。全国のガンショップや通販サイトなどで販売中だ。

池上ヒロシ

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池上ヒロシ

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