通常の発売日(27日)が日曜日だから、1日早い26日発売だったんですね!
ガンプロ7月号掲載の「タイムワープ」。懐かしのトイガンを振り返る企画の第2回では、コクサイの「ゴールドメダリストオリンピア」を紹介しています。
当初はASGK加入団体の一つであるマルゼンが始めた精密射撃系の大会「APSカップ」。その第1回大会と同時開催のイベント会場で発表された、ワルサーGSPに良く似た形をしたエアコッキングハンドガンが、コクサイのゴールドメダリストでした。マルゼン・ドミネーターが上位をほぼ独占する初期のAPSカップ。さらにグランドマスターが登場しほぼマルゼン一強となっていた第5回APSカップにおいて、フリークラス優勝銃となっているのが、このゴールドメダリストオリンピアです。
正直、ノーマルではトリガーがクソ過ぎて使い物にならなかったこの銃ですが、「ライトトリガーシステム」という名前のパーツを組み込むことによってまるで別物のように生まれ変わります。ノーマルとライトトリガーシステム組み込みとで、どのようにトリガー&シアメカニズムが変わるのか? ノーマルで備えていた細かなトリガー調整機能がなぜ使えなかったのか、ライトトリガーシステムを組み込むとなぜそれが生きるようになるのか?
静止画しか掲載できない誌面では限界があったメカニズムの違いについて、GIFアニメーションを使って解説していきます。
当時のエアコッキングはだいたい全部そうでしたが、トリガーの役割というのは「いっぱいまでコッキングした状態でピストンを支えているシアを、直接動かして支えを外す」というものでした。高校物理を覚えている方にしか通じない用語ですが、摩擦力は垂直抗力×摩擦係数で決定されます。普通に日常会話で使う言葉で説明すると、「押し付けられている部品同士をズリズリと擦って動かすのに必要な力は、押し付けられている力の大きさによって変わる」というものです。
「いっぱいまでコッキングしたピストンを支える」なんてのは、エアコッキングでいったら最も大きな力がかかる部分です。当然、ピストンを支えているシアを動かすのには大きな力が必要です。必然的に、トリガーはクソ重いものになってしまいます。構造的なものなので、シアを磨いたり削ったりしても根本的なところが同じなのですからたいした改善にはなりません。
ゴールドメダリストは、非常に細やかなトリガー調整機能を持っていました。トリガープル、トリガーの初期位置、1stステージのストローク量、2ndステージのストローク量(キレの良さ)と、ほぼありとあらゆる部分を調節可能な本格的なトリガーメカニズムでした。
しかし、ほとんど使えませんでした。理由は最初に書いたとおり、「ピストンを支えるシアをトリガーが直接動かす」という機構のせいです。2ndステージのストローク調整は、そのシアの角度を直接動かすなんていうムチャなものだったので、現実的には調整しようと思ってネジを少しでも回しただけで暴発してしまうようなシロモノでした。
ゴールドメダリストの発売から少し経って、徳島県にある小さいショップから素晴らしいパーツが発売されます。「ライトトリガーシステム」という名前です。価格は6,800円でした。
ショップの名前は「ビッグモデル」。電動給弾器「クイッくん」という、サバゲ界では知らぬもののいない超便利グッズを作ったメーカーといえば思い当たる人も多いでしょう。ライトトリガーシステムの組み込みには、一切の加工を必要としません。いくつかのパーツをノーマルと交換するだけです。なのに、全く別物のトリガー&シアメカニズムに生まれ変わってしまうのです。
このパーツの恐ろしいところは、パーツを交換した状態でもノーマルのゴールドメダリストが備えていたトリガー&シア調整機能がそのまま生きているという点です。ノーマルでは「ピストンとシアの噛み合いをダイレクトに調整する」なんてムチャをしていたせいで全く使い物にならなかった2ndステージのストローク量調整(キレの良さの調整)も、ライトトリガーシステム組み込み後はトリガーバー(2ndシア)とシアの噛み合い調整を行う形になるので、暴発の心配がほぼ無しにギリギリまで追い込んだセッティングが可能になります。
本体や各部のアップ写真、その他「当時の、特に精密射撃関係のエアガン界」についての詳しい内容については、発売中のガンプロ7月号「タイムワープ」を御覧ください。できればアンケートとかに「この記事面白かった」的なこと書いていただけると最高です!