名銃、バウ300Sが韓国で丸コピーされていた件【海外の反応】

「エアライフル射撃」というスポーツのあり方そのものを大変革させた世紀の名銃、ファインベルクバウ300S。昔、新宿歌舞伎町に実銃が撃てる射撃場があった時代に貸し銃として使われていたのもこの銃です。私が唯一、「撃ったことがあるエアライフル」でもあります。画像引用元:Pilkguns.com

先日アップしたモリーニの新型エアピストルに関して盛り上がっていたTargetTalkのトピックですが、途中で少しだけ話題がそれて別の話が始まっていました。「なにも新しいものが良いものってわけじゃなく、バウの大昔のエアピストルは実に良い製品だった、なんで今はもう売ってないんだろう」という話から、韓国や中国でその時代のドイツ製空気銃が丸コピーされているという話が出てきたのです。

世界中から詳しい人間が集まってるフォーラムだけあって、そういう普通なら誰も知らないコピー品についても情報がやたらと集まります。なかなか面白い話題だったので、そこだけ抜き出して別エントリーにしてみました。

 

ドイツ製のエアライフルのクローンが、韓国や中国で作られているらしい

引用元:TargetTalk (New Morini Air Pistol – CM200 EI)


  • どんな分野であっても、「支配的なブランド」というものはあります。ワルサーとファインベルクバウはエアピストルにおいてはその座にはいないのかもしれませんが、エアライフルではその座に確かにいます。ステイヤーはエアピストルでは圧倒的なシェアを持っていますが、1年前に発売したフリーピストルは「フロップ(大失敗とかポシャったとかいう意味)」としかいいようがないもので、TOZの対抗馬になるかならないかといった程度の存在でした。
    私がエアピストルを初めたときは、誰もがファインベルクバウを使っていました。M65がカタログ落ちしてしまったのは本当に残念です。あれはメンテナンスが簡単で初心者にとって扱いやすく、手動コッキング式ですからエアやガスを購入する必要がなくて金銭的にもありがたいモデルだったのですが。冬の間、寒い屋外でブルズアイ射撃を練習しようと思う人にとっても、非常に優れたモデルです。
    全ては、「どれだけ売れるポテンシャルを持っているか」にかかるということなんでしょう。マーケティングを担当する人は、「新しいものは、良いものだ」とプロモートして販売数を保たなければなりません。確かにほとんどの場合は「新しいものは、良いもの」なのでしょうが、我々のような普通の人間にとっては、既にあるもののほうが性に合うということも珍しくないのです。(アメリカ・バージニア州)

 

ファインベルクバウM65:1964~1998年にかけて製造されたドイツ製のエアピストル。銃の左側面にあるレバーを大きく左に展開させるようにして引き、元に戻すことで内部のスプリングがコッキングされ、トリガーを引くと同時にスプリングに押されてピストンが勢いよく前進して空気を吹き出し弾を発射する、いわゆる「エアコッキング式」の空気銃です。特徴は、銃の上半分(機関部とバレルやサイト部分)がグリップの上にあるレールの上に乗っていて、トリガーを引くと同時にロックが解除され少しだけ後ろに後退してくること。これにより勢いよく前進するピストンが発生する反動を打ち消して「完全無反動」の射撃を可能にした、画期的なエアピストルです。同じバウのエアライフル「300S」と同じシステムですね。

 

  • 仮に今、ファインベルクバウM65を新規に製造するとしたら、たとえCNCを使って効率的に製造したとしてもドイツ製のトップエンドプリチャージ式銃と同じくらいの価格になってしまうと思います。
    韓国はバウ300Sを実に見事に丸コピーしました。どうみても違法な模造品なのですが違うのは刻印くらいで、全く見分けが付きません!(新しいグローバル英国)

 

  • バウ65を新規に作ったら、トップエンドのプリチャージ式空気銃と同じレベルの値段になるでしょう。バウの新型スポーツエアライフルの値段を見ればわかります。
    なお、300Sのコピーは韓国ではなく中国製です。300Sはいまからもう20年以上も前に設計されたものですから、特許はとっくに失効していてパブリックドメインになっているんじゃないでしょうか。(中央アメリカ、コスタリカ)

 

「300Sのコピー品」については、別のフォーラムのこのトピックに詳しい写真があります。「Ye Wha (Tong Il) Model-MSK ST100」と呼ばれているようです。※写真はリンク先より引用


  • >韓国製じゃなくて中国製です
    名前を確認しましたが、明らかにこれは韓国製です。ファインベルクバウは、このコピー品に対して不快感を示していました。特許が有効だった時期に正式に「これは偽造品である」と宣言し、ヨーロッパでの販売を禁止していました。……あれから20年も経つんですね。
    「Target Force BS4」という名前で呼ばれた中国製のバージョンが、アメリカに輸入されたことがあったと思います。2006年頃でした。ここで話をしているのはソレのことではありません。EUのルールに従い、「ドイツで禁止されたものはEUでも禁止」ですから、現在でもEUでは販売禁止のはずです。
    もしあなたの言うことが正しく、特許期間がすでに満了していて市場で販売することに問題がないのなら、現状市場でそれが販売されていないという事実は、ニーズそのものが存在しないことを示唆しています。(新しいグローバル英国)

 

  • 韓国製のファインベルクバウ300Sクローンは、「YeWha MSK ST100」です。統一教会系の「Tongil industries」が作ったエアライフルの一つですね。奇妙な歴史です!
    80年代、所持していたことがあります。完全なクローンです。300Sのスペアパーツを使用することすらできます。手元にまだありますが、競技に問題なく使えるレベルの精度があります。(国籍不明)

 

  • ワオ! ムーニー(訳注:統一教会への蔑称。開祖が「文(moon)」なのでそう呼ばれてるのだとか)が銃器産業に入り込んでるってのは本当だったんだ!? Moonの息子はアメリカで「Kahr Firearms」を創設して運営しています。(国籍不明)

 

  • >特許的に問題がないのに売れてないということは、ニーズがないってこと
    残念ながら、ほとんどの人は「Kool-Aidを飲んでいます」。(訳注:与えられたものを盲目的に信じてそれを受け入れる、というような意味がある慣用句なのだとか。カルト宗教が集団自殺する事件があり、そのときに飲んだ青酸カリ入り飲料が「Kool-Aid」という名前のドリンク味だったことが由来とのこと)
    韓国製の300Sクローンについて詳しく教えてくれてありがとうございます。私は以前、別のエアガンフォーラムで、ファインベルクバウ製のパッキン類は、韓国と中国製の300Sクローンにも、少し変更するだけで使えるという話を読んだことがあります。(コスタリカ、中央アメリカ)

ヨーロッパ製の、高価な競技銃が中国や韓国でコピーされて販売されているらしい、という話は以前から聞くことはありましたが、日本では銃砲店レベルで食い止められているのか、ほとんど見ることはありません。まず間違いなくホンモノに比べれば格段に安価で、そしておそらくは品質は大きく劣るものなんだとは思いますが……。

複雑な金属加工があるためにヨーロッパでは作りにくくなった古い銃が、人件費の安い中国や韓国で安価に作られ、必ずしも最新式の銃を必要としないビギナーシューターに使われるというのは、諸々の権利とか特許とかをクリアしているのならば、それはそれで好ましいことかもしれません。

そういうコピー品メーカーのWebサイトを見に行くと、社長がヨーロッパの銃器メーカーの社長と仲良く並んで自社製品を手に持った写真が掲載されていて「正式に技術供与を受けています」みたいなキャプションが付いていたりするんで、それを信じて良いものなのかそれとも写真を含めて大嘘なのか、もう何を信じて何を疑えばいいのかわからんってのが正直なところだったりしますが。

池上ヒロシ

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