「APSカップにはライフルクラスがあるのに、それに使えるライフルがぜんぜん売ってない」という嘆きを聞くようになって、もう何年も経つような気がします。「JASG認定銃」でなければ参加できないという制限がある上に肝心のその認定銃が手に入りづらいというのがけっこうな問題なのは確かです。ライフルクラスはハンドガン(APS-3やAPS-1など)を改造してライフル化したものでも参加OKなので、それが選択肢に入るのなら参加への道が閉ざされていることにはならないのですが、「ハンドガンのライフル化カスタム」なんてものがどこの誰にでもできるというわけでもありません。
実は、「ライフル化したハンドガン」というのはAPSカップ・ライフルクラスではそれなりに合理的な選択肢だったりします。エアガンの精度を比べた時にAPS-2シリーズとAPS-1グランドマスターやAPS-3は、それほど大きな違いはありません。またバレルが短いハンドガンでは、BB弾が銃身内で加速されている時間も短くなるため「トリガーを引いてから、BB弾が飛び出すまでの時間」がライフルに比べて短くなる、つまり「引きブレが弾着に及ぼす影響が小さくなる」という利点もあります。
そんな「APS-3のライフル化カスタム」がマルゼンより発売になるかもしれない、という話です。先日のAPSカップ本大会において、試作品という扱いではありますがAPS-3ライフルが展示されていたのです。
「インナーバレルはどこまでの長さがあるのか」は、少なくても外見からは判断が付きませんでした。コンプレスト・シリンダーの容量などに変更がないのなら、インナーバレル長もノーマルのAPS-3と同じ程度で、外見でバレルに見える部分のほとんどはスリーブになっているのではないかと思われますが、これはあくまで想像に過ぎません。
もっとも、エアガンの場合はインナーバレルが長ければ命中精度が確実にUPするというわけでもなく、短いバレルには短いなりのメリットもあります(理由はこのエントリの最初に書いてあります)。
バウ602と形を比べたときの大きな違いを挙げるとすれば、まず「チークピースの高さは、ちょっと高すぎなのではないだろうか?」という点と、「フォアエンドレイサー(銃を構えた時に左手を当てて支える部分)はもうちょっと厚みを付けてもよいのでは?」という点の2箇所くらいですね。グリップの角度だとかバットプレートの位置といった、ノーマルのAPS-2などを使う際の不満のほとんどは解消されているように見えます。
全般的に見て、「APS-3のライフル化カスタム」としては、必要十分というかオーソドックスな作りだと思います。それほど奇をてらったことをしているわけではなく、ハンドガンであるAPS-3を、ライフルのように両手で持って構えてピープサイトを使って狙えって撃てるようにする、という目的を果たすために必要な最小限の要素を実現しているもの、という印象を受けました。……実際のところ、その「最小限」をキッチリと実現することってのはけっこうハードルが高いので、市販品として発売してくれるというのは多くの「ライフルでも精密射撃をやってみたい」と思っている方にとって嬉しいニュースだと思います。