電子標的って明るすぎない?【海外の反応】

電子標的は、これまで普通に使われていた紙標的よりも「妙に眩しく見える」と言われています……特に年寄り射手に。若い子だと気にならない人も多いようなんですが。


精密射撃というスポーツは、紙製の標的を定められた距離に設置してそれを狙って撃って、どれだけ中心に近い部分に弾が当たったかで点数を付けて競うものです。けれど今の公式なルールでは「電子標的」といって、弾が通過した場所を音や光など使ったセンサーで正確に測定するタイプの標的が主流になりつつあります。少なくても全国大会や国際大会などではほぼ100%が電子標的です。

電子標的の多くは、金属製の箱の中にLED照明が入っていて、内部のターゲット(中央に穴が開いた白いペーパー)を照らす方式です。この標的、従来の紙標的よりも何故か「すごく眩しく見える」という特徴があります。ターゲットが発する光の強さ自体は紙標的とそれほど大きく変わらないハズなのですが、試合で10分とか20分とか狙っては撃ちを繰り返していると、ターゲットの光にサイトが侵食されてきて、サイトが半透明にぼやけて見えるようになってきてしまって、そうなるともうどうしようもない……みたいな状況になることが良くあります。

レンズの度数を変えてみたり、アイリスシャッターの絞り具合を変えてみたり、はては様々な色のカラーフィルターの組み合わせを試してみたりと、ありとあらゆる手段でもって「ターゲットの眩しさ」に対抗しているというのが、電子標的が普及しはじめてからの試合におけるメインの懸案事項になっているといっても言い過ぎじゃありません。
 

自作のカラーフィルターを大量に用意して、何度も取り替えながら「長時間、ターゲットを狙い続けてもサイトがぼやけて見えない組み合わせ」を探すというのが、初めて行く射撃場で最初にやることになっています。


この悩みは、どうやら日本だけのことじゃないらしいです。同じ悩みが、海外射撃掲示板「TargetTalk」にも書き込まれていました。それにつけられたアドバイスに、ちょっと衝撃的な内容が含まれていましたので、抜粋して紹介してみたいと思います。

 

電子標的が眩しすぎます!

MegaLink targets too bright! (http://targettalk.org/viewtopic.php?f=4&t=54865)


  • MegaLinkのターゲットが明るすぎます!
    私が所属している射撃クラブでは、MegaLinkの電子標的を使用しています。最近、各ターゲットに内蔵されたLED照明に変更されたのですが、それと同時期にターゲットを見続けるのが難しいほどに眩しく感じるようになりました。

    もしかしたらそれは標的のせいではなく私の目のせいかもしれません……疲労とか血糖とか。

    私が使っている射撃メガネには調整可能なアイリスが付いていますが、絞りを最も小さくしてもターゲットが明るすぎるように感じてしまいます。もちろん、被写界深度は絞りが小さくなると変化するのですが。

    ライフル射撃で6色アイリスを使っているときには、問題を感じたことは一度もありませんでした。アイリスを適切な色に変更することで問題が解消できるからです。ピストル射撃の時だけ、標的の眩しさが私にとって厄介な問題になってしまうのです。

    ピストル射撃におけるこの問題を解決するための方法――たとえば射撃用メガネのオプションなど――はあるでしょうか? それによってどんなことが変わりますか?(カナダ、モントリオール)

 

  • MegaLink製ターゲットの明るさは、前面カバーの後ろにあるユニットの右側にある回路基板のボタンを使用して調整することができます。 デフォルトでは最も明るい設定になっています。確か、設定を変更する前にボタンを2回押す必要があったと思います。一度設定してしまえば、電源を切った後も設定が保持されます。この情報は役に立ちますか?(ラトランド、イギリス)

 

  • ありがとうございました。興味深い情報ですね。しかし残念なことに、私たちのような射撃クラブの単なるメンバーが勝手に、ターゲットの明るさを変更することは許されてません。8射座あるターゲットはすべて同じ設定になっていますが、そのターゲットは明るすぎると感じているのは多分私だけだと思われます。
    うーん……。明るさの調整ができるのは良いのですが、それが「正しい明るさ」になっているのかどうかは、どうやって判断するのでしょう? 射場管理者はたぶん何も考えずに最大の明るさのまま設定をなにもいじっていなくて、本来あるべき明るさよりもずっと明るい状態になっているのじゃないかと思います。(カナダ、モントリオール)

 

  • あなたがどんな射撃用眼鏡を使っているかにもよりますが、色付きのレンズを使うことで解決できるかもしれません。あるいはライフル銃のアイリスのように、複数のカラーフィルターを切り替えて使うことができるものもあります。(セントラルテキサス州)

 

  • 私の知る限り、各射手は射座からターゲットの明るさを変えることができるはずです。明るさ設定を最大にしたターゲットでは、少なくてもピストル射撃ではまともに照準することは不可能です。眩しすぎるターゲットに対処するために射手が特殊なレンズを使用し、わざわざ暗くするなんて間抜けなことになります。
    SiusやMegalink製のターゲットの価格からすれば、そのくらいのことできないでどうするって感じです。(国籍不明)

 

  • おっしゃっていることの意味を確認したいのですが、各射手はターゲットの明るさを調節することができるようにする「べきだ」ということですか? それとも、現実にそれは可能で、私がやり方を知らないだけということですか?(カナダ、モントリオール)

 

  • 1.環境光の明るさ(特に天井照明の明るさ)
    2.ターゲットの背景の色や影
    これらも、射手がターゲットの明るさをどう感じるかに影響します。(オーストラリア、シドニー)

 

  • 射手がそれぞれ自分で自分のターゲットを調整できるようにするべきだ、という意見には賛同できません。シューティングレンジは、その全体が同じレベルに調整されている必要があります。(ミネソタ)

 

  • 忘れてはいけないことがもう一つあります。ISSFの規則どおりにターゲットを設置すると、内部発光式のターゲットは通常の外部から照らされるターゲットよりも明るくなってしまうということです。
    内部発光式ターゲットでは、ルールで定められる数字は「ターゲットから放射される光」のレベルですが、外部から照らされるターゲットではその数字は「ターゲットに到達する光」のレベルになります。(6.4.14.2)
    もっとも、ルールで定められている光レベルはあくまで「最小値」であるため、大きな問題ではありません。(イギリス・ルイスリップ)

 

訳者注:「ターゲット自体が発光する明るさ」と、「ターゲットを照らす光の明るさ」を同じにしてしまうと、前者のほうが後者よりずっと明るいものになってしまう、という意味ですね。なお日本語訳されているISSFルールでは「6.4.14.1」までしか記載がなく、ここに書かれた「6.4.14.2」以降はISSF本家サイトにあるルールブックを見る必要があります。

 

  • ターゲットの明るさ自体の問題ではありません。それは環境光による影響です。夏は太陽の明るさに対抗するためにテレビの設定も明るめにするものです。そうしないと、画像が暗すぎて見えづらくなってしまうからです。しかし、夕方になって日が落ちるとテレビが明るすぎると感じるようになります。
    私が先日参加した試合ではMeyton製ターゲットを使っていましたが、それはかなり明るかったです。(確かドイツの人)

 

  • すみません、トピックの話題から少し外れる質問ですが……。SIUS製ターゲットにも、明るさを調整する機能はありますか?(国籍不明)

 

  • Sius製ターゲットの明るさはモニターで調整することができます。(スイス)

 

  • どうやって? 私が聞いているのは、弾を撃ち込むターゲット(ターゲットフレーム内)の明るさの調整方法です……射座にあるモニターの明るさではありません。(国籍不明)

 

  • はい、そうです。
    adminとしてログインしてから、home-system-hardware-target-lightに移動します。
    ソフトウェア:System7
    ターゲット:LS10
    (スイス)

 

  • あなたに神の祝福がありますように。その情報を射場管理者に伝えてみます。ありがとう。(国籍不明)

 

  • 我々の射場の場合、もっとも設定を暗くしても明るすぎてしまい調整範囲を超えてしまったので、スコッチテープをLEDライトカバー(プラスチック製)の上に何枚か貼り付けました。それにより少しだけ減光できます。色付きのマスキングテープを使えばより大きな効果を発揮できると思いますが、手に入る範囲でもっとも白いテープを使用してもターゲットは黄色っぽくなってしまいます。
    とはいえ、射手がターゲットにアクセスするために10mを進む権利を持たない限り、本当に何もできません。できることは唯一、射撃眼鏡に50%グレーフィルターを取り付けることくらいです。(ノルウェー)

 


電子標的の明るさは調整できるようになっているけれど、デフォルトでは「最大」になっている。調整するためにはちょっとややこしい手順を踏まなければならない……という情報、これって実は少しばかり衝撃的な内容ではないでしょうか? 日本国内の電子標的、その多くがデフォルトのままになってるんじゃないかと。ややこしい調整とか、たぶんやってないでしょう。

また、ISSFルールにおいて、内部発光式のターゲットでの明るさ設定方法が記載されている部分というのは「まだ日本語訳されていない(日ラのWebサイトにあるルールブックには該当部分が載っていない)」というのも気にしないとならないところです。わざわざISSF本家サイトまで行って英文のルールを読んでそれに対応した設定をしてくれているとはちょっと思えません。

最後のノルウェーの人なんか、ターゲットにある調整機能を最低光度に設定しても「まだ明るすぎる」ので、「ライトのレンズカバーにセロテープ貼ってなんとかしてる」とか書いてます。一般的に言って、市販そのままの状態(デフォルトの状態)では、内部発光式の電子標的は明るすぎるというのは、どうやら年老いた眼のせいじゃなく、本来しなければならないターゲットの光量設定をしていないせいじゃないかという疑惑があるわけです。

全国の電子標的導入済み射場の管理者の方、もしこれを読んでくれましたら、ターゲットの明るさ設定について今一度見直してみていただけないでしょうか?

池上ヒロシ

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池上ヒロシ

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