Categories: 実銃射撃

今年最初の大会は石巻

普通のスポーツだと「シーズンオフ」って呼ばれる季節だと思うのですが、射撃の場合はあんまりそういうのが関係なくて、年明け早々でもけっこう普通に大会が開催されたりします。毎年1月に宮城県の石巻で開催されている東日本冬季ピストルに、今年もまた参加してきました。
 

今年から、宮城射場には電子標的が導入されました。といっても全ての射座が電子化されたわけじゃなく、端っこにある10射座ちょっとだけの限定的な導入です。その結果、大会のときの射座数がえらく限られたものになってしまうという思わぬ副作用が。

3.11の次の年、2012年の1月に参加したときは、「地震から1年も経ってるんだし、もうだいたい片付いてるだろう」とか甘いこと考えて現地に訪れて、見渡す限りに広がる泥と瓦礫の山に呆然とすることになりました。それから毎年参加し続けてきまして、少しずつあちこち片付いて、新しい施設が経ったり、仮設で運営していた商店街が終了してそれぞれのちゃんとした店舗がオープンする様子を見てきました。今年は、女川駅前のやたらと豪華で綺麗でオシャレな商店街に新たに海産物直売所&海鮮丼が食べられるお店がオープンした、なんてのがニュースになっていたりしました。

「東日本ピストル」というのは、位置づけ的にいうと「参加機会にあまり恵まれない上信越、東北地方、北海道のピストル射手のみなさん向けに開催される、年に2度以上の公式大会への参加という所持継続に必要な参加条件を満たすための大会」というようなものが主旨になるんじゃないかと思います。参加者の所属を見ると、宮城、新潟、秋田、福島、岩手と、普段関東圏で開催されている大会ではあまり見ない県名が並んでいたりします。「全日本選手権」とか「全日本選抜」みたいなトップクラスの大会とは少し違って、代表のトップ選手がズラッと並ぶようなことはなく、あくまで地方大会といった趣です。
 

ちょうど全国的に大雪に見舞われて、「不要不急の外出は控えて下さい」なんてフレーズが高速道路情報で繰り返し言ってるような天候でしたが、太平洋側の突端に位置する宮城県石巻は前日の昼から夜にかけて少し雪が振った程度で当日はほぼ快晴でした。
紙に同心円を描いたターゲットを撃ってそれを回収し穴がどこに開いてるかで得点が決まる従来のターゲットと異なり、電子標的は「弾がどこを通ったか」がセンサーで割り出され、ほぼ即座に手元にあるモニターに着弾位置が表示され記録されます。同時に射座の後ろにあるモニターにも全員分の得点と着弾位置が表示されます(冒頭写真)。
電子標的は箱状をしています。真ん中に丸い穴が開いた白い厚紙をその箱にセットします。穴からは箱の中にある黒い紙が覗きます。白い厚紙は箱の中にある照明で明るく照らされるので、射手からは「標的そのものが発光している」ように見えます。
黒丸の中に弾が当たれば問題ないのですが、それを外してしまう(白いところを撃ってしまう)と、厚紙に穴が開いてしまいます。何発も外しているとどんどん穴が増えていくことになります。普通ならこんなところ撃たないのですが、「外したら穴が開いてしまう」なんてプレッシャーがかかっていると思わぬミスショットをしてしまうことも。
「標的自体が発光する」というのは、平気な人は全然平気なんですが、眩しい光に弱くなりはじめている年寄りの目には、場合によっては辛いことがあります。標的の輝きがフロントサイトやリアサイトを侵食してサイトの輪郭がぼやけてハッキリ見えなくなってしまうのです。それをナントカするための手段の一つがカラーフィルターです。写真は【あきゅらぼ】特製のカラーフィルターセットです。
それでは、時間があったときに撮影した参加者の皆さんの銃を紹介しましょう。多いのはやっぱりステイヤーのLP10Eですね。evo10eなどの新型はまだ見かけませんでした。
これはモリーニCM162Eですが、グリップはRinkのものに交換、コンペンセイターは独自のパーツに交換されています。エアピストルの場合、コンペンセイターを交換したことによってなにか際立った効果があるかと言われると実際のところ「なにも変わらない」のですが、ノーマルよりもずっとメカメカしい形をしていていかにもカスタム品って感じのコンペが付いていることそれ自体がモチベーションを挙げるということもあります。
変わり種が、テスロのPA-10。ワルサーの技術者が独立して作ったメーカーとのことで、品質の高さと価格の安さが魅力なのだそうです。ライフルショップエニスが以前からWebサイトやFacebookでイチオシしているメーカーです。

せっかく電子標的も入ったんだしということで、宮城県ライフルでは冬だけではなく夏にも大会を開きたいと、来年度(平成29年度)は日ラに提案する予定とのことです。言われてみれば石巻に来るのはこの冬の大会と、あと時々3月に開催される全日本のどちらかでしたから、夏に来たことって今まで一度もありません。夏の石巻って、どんな感じなんでしょうね。楽しみです。

池上ヒロシ

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