ピストル射撃用のレンズをDIYする【海外の反応】

一番いいのは専門の射撃用眼鏡を買うこと。そんなことはわかっていますが、それでもやっぱり高い! 射撃に人生かけてるような人ならともかく、たまの息抜きや趣味でピストル射撃に手を出してみたいって場合は、エアガン本体の価格も数倍もするようなお金をたかが眼鏡につぎ込むってのはどうよ?って気持ちになってしまうのも仕方ありません。

そもそも射撃眼鏡って見た目以上に高すぎですよね! いまどき普通の眼鏡なら量販店でレンズ込みで1万足らずで「けっこういいやつ」が買えるのに、レンズ無しのフレームだけで4万とか5万とか、どこのブランド品だよってグチの一つも言いたくなります。
 

レンズの位置や角度を自由に調整できる射撃専用の眼鏡。高級品だと、かけたままの状態でダイヤルを回すだけで位置を微調整できる機能がついてたりするが、お値段もかなりする。……私が使ってるのは格安で売ってた中古品ですけれど。

それは海外の方もおなじようで、「射撃時の視度調整を、なんとかお安くできる方法はないだろうか」というアイデアはいろいろとやりとりされています。お手軽に使える安価なアタッチメント的なものも販売されていたりします。

今回は、そういった「アイデア商品」的なものについて活発に情報や体験談がやりとりされていたスレッドから、抜粋して翻訳してみたいと思います。

普通の眼鏡に吸盤で貼り付けるアイリスシャッターってどう?

引用元:TargetTalk (Suction Cup Iris for Glasses?)


  • 私はまだピストル競技を初めて間もなく、競技者としては駆け出しもよいところですが、とても楽しんで撃っています。
    ところで、私は遠近両用眼鏡をかけています。おそらく、それは多少のハンディキャップになっているのではないかと思います。
    ある人が、普通の眼鏡に吸盤を使って貼り付けるタイプのアイリスシャッター、「メリット・オプティカル・アタッチメント(※)」を教えてくれました。これを使った方はいらっしゃいますか? 買う価値はあるでしょうか? 役に立ちますか?(以前の書き込みから察するに多分カナダ)
    ※公式サイトの製品販売ページ:MERIT CORPORATION
    写真はサイトより引用、以下同じ

     
    →その製品よりも、射撃用に作られた専用の眼鏡(安いもので構いません)にお金を使うべきです。あなたの通常の矯正視力にプラス0.50のレンズが、あなたのフォーカスをフロントサイトに引き寄せてくれます。乱視がある場合でも矯正が可能です。(アメリカ・アリゾナ州スコッツデール)
     
    →確かにその吸盤式アイリスシャッターは役に立ちますが、非常に厄介なシロモノです。絞りを調整し、眼鏡に貼り付ける場所を調整し、吸盤の張り付きが悪くなったらそこもまた調整し、自分自身の(照準時の)頭の位置を調整し……と、調整、調整、調整、調整、調整、調整の繰り返しです。上の人のアドバイスに従うのが賢いやり方だと思います。(アメリカ・メイン州オウルズヘッド)
     
    →メールアドレスを送っていただければ、私が普段つかっているシューティンググラスの写真をお送りできます。それらのグラスにはメリット製の吸盤式アイリスシャッターを組み込んであります。
    吸盤式アイリスシャッターは、「何が目的なのか」さえハッキリとしていれば、決して厄介なシロモノではありません。ただし、取り付け時には手助けが必要になります。銃を持って構えている状態で、だれか別の人に吸盤を取り付けてもらう形になります。間違えてアイリスを外してしまう(あるいは外れてしまう)たびに、この手助けが必要になります。
    正しく処方されたレンズと、良いシューティンググラスの組み合わせには十分な利点があります。もしこれからも競技を長く続けるつもりなら、ちゃんとした射撃眼鏡は最良の選択になります(ただし、安価なモノについては最初の調整に他人の手助けが必要な点は同じです)。しかし専門の射撃眼鏡は高価です。メリット製の吸盤式アイリスシャッターはそれに比べるとかなり安く済みます。(アメリカ・テキサス州オースティン)
     

    ※公式サイト見る限り、吸盤式アイリスシャッターって65ドルもするんですよね……。「本格的な射撃眼鏡」の価格は普及品ならだいたい100~200ドルくらいですが、それに比べてもそれほど安くないんじゃないかって気がするんですが。

     
    →私なら絶対に処方されたレンズを取り付けた射撃専用眼鏡を使います。できればアイリスシャッターも正しい位置に取り付けます。
    遠近両用眼鏡が射撃においていったい何の役に立つのか、私には見当もつきません。
    私はロングレンジでのベンチレストピストルシューティングにおいてアイリスシャッターを使い、その有効性に気づきました。(オーストラリア)

 

  • 皆さん、コメントありがとうございます。射撃眼鏡を購入しようと思います。
    私の認識に間違いがなければ、まずフレームだけをどこかで購入してから、眼鏡店に行ってレンズを作ってもらう……という順番で良いんですよね? 眼鏡店でレンズを作るときには、どのくらいの距離に合わせてもらうように頼めば良いのでしょうか? 眼からピストルの先端までの距離? それともターゲットまでの距離?
    それと、こういった射撃専用メガネというのは10mピストル射撃にしか使えないものですか?ライフル射撃に転用するのは無理でしょうか? 「Target Canada」のサイトを見ると、射撃用眼鏡はライフル用、ピストル用で分かれていますけど、なぜサイトで別のものとして扱われているのかは良くわかりません。それらはピストル射撃用の他にライフル射撃用としても使えるものなんでしょうか?
    あとこれは珍しいことなのかもしれませんが、私は(手は)右利きですが効き目は左です。ピストル射撃の際、銃は右手で持ちますが照準は左目で行います。ライフルでは右目で狙います。(以前の書き込みから察するに多分カナダ)

    >それらはピストル射撃用の他にライフル射撃用としても使えるものなんでしょうか?
    レンズの大きさが違います。ピストル用のほうがレンズが大きくなっています。
    私が使っているのは42mm径のレンズですが、ライフル射撃に使うのなら37mm径が標準だと思います。
    フレームはピストル射撃用、ライフル射撃用で兼用することが可能です。しかしレンズをいちいち付け替えて細かい位置を調整し直す手間を考えたら、それぞれ別のものを用意しておくのが無難だと思います。(国籍不明)

    →質問者さんの書き込みを読むかぎり、それほど厳密なことをピストル射撃に求めているようには思えないので、それを前提にしたアドバイスです。
    (効き目である左目ではなく)右目での照準を練習してみてください。半透明のテープを眼鏡レンズの左目の部分に貼って、混乱しないようにしてください。
    このサイト(訳者注:TargetTalkを運営しているPilkguns.comのこと)で29ドルで買える射撃眼鏡はピストル射撃専用です。フロントサイトにフォーカスが合うように作られています。ライフルには使えません。
    私は、競技用の完璧なアイアン・サイトのセッティングを見つけるためにこれまで数百ドルを費やしてきましたが、ドットサイトで気楽なシューティングをするときには安い普通の眼鏡を使っています。(アメリカ・アリゾナ州スコッツデール)

    >ピストル用のほうがレンズが大きくなっています
    ありがとうございます。とてもわかりやすかったです。
    ただ、新たな疑問が生じてしまいましたので教えて下さい。ライフル射撃(10mの競技射撃)において、アイリスシャッターを眼鏡に追加する必要ってあるのですか?
    実はわたしは今、一つの射撃眼鏡に2つのレンズ(左側はフロントサイトにフォーカスが合うように調整したピストル射撃用のレンズ、右側は通常の焦点距離に合わせたライフル射撃用のレンズ)を組み込もうと思っているのです。ライフルは効き目ではない右目で狙っていますが、ピストルは効き目である左目で狙っているからです。ライフルとピストルで、アイリスシャッターと目隠し板の左右を入れ替えれば済むのではないかと思っています。(以前の書き込みから察するに多分カナダ)

    >ライフル射撃(10mの競技射撃)において、アイリスシャッターを眼鏡に追加する必要ってあるのですか?
    いいえ。私は射撃眼鏡にアイリスシャッターをつけているライフル射手を見たことはありません。その変わり、ほぼ全てのライフル射手は(10mエアライフル、50mスモールボアライフルのどちらでも)リアサイトにある標準のピープホールを可変式のアイリスに変更しています。「ゲーマン」と「セントラ」は汎用ブランドです。ほぼ全てのヨーロッパ製リアサイトは標準的なネジ山を使っているので、ファインベルクバウにフィットするものはワルサー、アンシュッツ、ヘンメリーその他のメーカー製リアサイトにもフィットします。
    レンズの話をすると、多くの射手は処方されたレンズを使用しています。ライフル射撃用はフロントサイトまでの距離がピストルよりも長いので、フロントサイトがハッキリ見えた状態でターゲットがぼやけるということはあまりありません。ピストル射手とは異なり、ライフル射手はフロントサイトリングとターゲットの黒丸の隙間をチェックするために、「ターゲットを見ようと」します。リアサイトのピープ(穴)は非常に小さく、非常に深い焦点深度を提供してくれるので、フロントサイトリングとターゲットはたいてい両方にフォーカスがあっています(もっともターゲットは通常、少しぼやけて見えます)。
    処方されたレンズ(通常は+0.50ディオプター)は、眼が疲れない良好なサイトピクチャーを提供します。(イギリス・サマセット)

 

  • 「射撃用眼鏡のエキスパート」を宣伝文句にしている近所の眼鏡屋さんによれば、ピストル射撃用の眼鏡のフォーカスはフロントサイトの位置ではなく、フロントサイトとターゲットの間に「ハイパーフォーカルポイント(※過焦点距離)」を持ってくるのが正解なのだそうです。サイトにフォーカスポイントを合わせてしまうと、ターゲットが見えにくくなってしまいます。
    このやり方は、一般的な老眼鏡を使うやりかたよりも私には合っているように感じます。(オーストラリア)
    ※過焦点距離……レンズ設計の上での専門用語らしいのですが、辞書によると「無限遠にギリギリピントが合うように調整したときに、一番手前のピントがあっているように見える位置までの距離」とのことです。

     
    >このやり方は、一般的な老眼鏡を使うやりかたよりも私には合っている
    それはあるかもしれません。
    私は自分の射撃眼鏡のレンズはフロントサイトにフォーカスが合うように合わせてあり、とりあえず良い感じに使えています。フロントサイトもターゲットも、普段はハッキリと見えています。
    老眼鏡(読書用眼鏡)は射撃には適しません。それらは通常、18インチ(45.7cm)の距離でフォーカスが合うように設定されていますが、フロントサイトまでの距離は36インチ(91.4cm)くらいはあります。
    もうひとつ、合理的で安価な「もう一つの選択肢」としては、度数を調整できる緊急用眼鏡(※)というものが存在しますので検討してみてはどうでしょうか。(国籍不明)
     

    公式サイトへのリンク(ADLENS ADJUSTABLES)。二枚のレンズをスライドさせることで無段階に矯正度合いを調整できるものです。このサイトは日本への発送はしていませんが、似たような製品を見たことがあるので、日本でもこの製品あるいはコピー品的なものを手に入れることは可能なんじゃないかと思います。

     
    >度数を調整できる緊急用眼鏡
    Adlensからその製品を購入して試してみたことがありますが、結論から言うと射撃用としては使えません。通常の眼鏡では「正面を向いたときの中心部」に焦点が来ます。その状態で使うのなら全く問題はないのですが、レンズの中心部から外れたところを使用する射撃競技では上手く機能しないのです。
    「+0.5D」と「+0.75D」のコンピューター作業用眼鏡というものが販売されています(※)。これならレンズの中心から外れたところを使ってもAdlens adjustablesよりも良く見えますし、なによりはるかに安いです。
     

    ※アマゾンでの販売ページへのリンク(Eyekeeper Reading Glasses)。安いですねえ!

    私はネット検索をしていて、「射撃用のシングルクリップレンズ」というものが存在してないことに気づきました。そこで、チームのコーチや学生たちのために、こんなものをいくつか作ってみました。

    作るのにかなりの手間隙がかかってしまいましたが、現在作業プロセスの合理化に取り組んでいます。ちなみに材料代は10ドル足らずです。(アメリカ・マサチューセッツ州)
     

    ※あれ、これって赤羽フロンティアレンジに来てる人が良く使ってる、100均で売ってる跳ね上げ式サングラスの台座を使った目隠し板と基本的に作りが同じなような……?

     
    >Adlensの度数調整眼鏡は、レンズの中心部から外れたところを使用する射撃競技では上手く機能しない
    まさにそれが、私が「一つの選択肢」と書いた理由です。
    公平を期すために書いておきますが、度数調整眼鏡は像をチャープに見せてくれますが、キッチリした調整はとても面倒です。自分のスタンスをホールドした状態で、アジャストノブを少しずつ回す必要があります。理想的ではありませんが、「射撃用眼鏡のレンズの度数が、どのように照準に影響するのか」を感覚的につかむのにはとても役に立ちます。
    クリップオン式のシングルレンズは実にすてきです。そういうものを自作しようなんてことには、まったく思いもよりませんでした。そのレンズの台座となっているのは、ゲーマンのユニットですか?(国籍不明)
     
    >クリップオン式のシングルレンズは実にすてきです。
    ありがとうございます!
    クリップオンレンズは、Amazonで5.39ドルで売っているリーディンググラス(一つの眼鏡から2枚のレンズが取れます)と、ebayで0.99ドルで買ったドライブ用の跳ね上げ式サングラスのメカニズムを組み合わせて作りました。

    サングラスを止めている小さいネジを外して、ネジ穴の位置を合わせてレンズに穴を開けます。レンズの縁部分を少し丸めて(少しシャープ過ぎるので)から小さいネジを使って固定して完成です。(アメリカ・マサチューセッツ州)
     

    ※あ、ほんとに赤羽フロンティア軍団愛用の目隠し板と同じ作り方だったw

 

  • 私も質問者さんと同様に、利き手と効き目が逆になっている「クロス・ドミナント」なピストル撃ちです。そんな私からのアドバイスは、射撃用眼鏡を作るときにはピストル射撃用の径が大きなレンズではなく、ライフル射撃用の径が小さいレンズを使うべきだということです。クロス・ドミナントだと、照準する視界の中に自分の鼻が入ってきます(私のようにクローズド・スタンスで撃つ場合は特に)。小さいレンズを使うことで、レンズの中心位置を(大きなレンズに比べて)より広範囲に動かすことができるようになります。
    実は私はすでに射撃眼鏡を使っていません。以前使っていた遠近両用メガネを使うと、ちょうど照準するときに使うエリアがピタリとピストル射撃のフォーカスに合うことが分かったからです。加齢による老眼の進みが、ちょうどアイアンサイトを使っての射撃に適した形になったのでしょう。
    今みたいに上手く照準できるようになるまでの長い期間、上手く撃てずに失ったポイントは膨大なものになると思いますが、この私の経験が質問者さんに少しでも役に立てれば幸いです。(アメリカ・ワシントン州)

「安価な老眼鏡+跳ね上げ式サングラスの台座」を使っての、クリップオン式レンズというのはこちらでも真似して作ることは可能ですね。……ただ、そういうのを求める人というのは「本格的な射撃眼鏡を買うほどにはピストル射撃に入れ込んでない人」であり、そういう人に「ピストル射撃には通常の矯正視力よりも、度が低い(近視気味の)レンズのほうが適している」ということを理解していただくのはけっこう難しいというジレンマがあります。世の中うまくいかないなあ。

池上ヒロシ

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