グリップの形状に関する、新ルールでの変更点についてTargetTalkでどんな話がされているのか、続編です。前回の記事では、「このルール変更にはどういう意味があるのか」「こんなルール変更があったのは誰のせいか」みたいな話がされているところだけピックアップして紹介しましたが、そういうのとは別に「もうルール変更は決まったことなのだから、手持ちのピストルのグリップを加工しなきゃならない。さて、どうすればいいか」というふうに覚悟完了した方も大勢いらっしゃいました。
実際のところ、当ブログを見に来てくれる方のうち決して少なくない割合の方が、「どうやれば上手く加工できるのか、具体的なやり方を知りたい」って人なんじゃないかと思います。前回記事は、そういう方向けに役立つ情報ではありませんでした。
そこで今回は、サイズの測り方や、切断するときのテンプレートの作り方、さらにはルールブックに記載されている角度はどこを基準にしたものなのか、メーカーはなぜ「新ルールに対応したグリップ」と銘打ったグリップを販売開始しないのかといったことについての投稿をピックアップしてみたいと思います。
続・2026新ルールにおけるグリップ形状とは?
引用元:TargetTalk “New grip design rules as per 2026?”
- RinkグリップのWebサイトには、新ルールに書かれている寸法に関する詳しい説明が掲載されています。(6ストリング)
- その画像を自社サイトに投稿したRink社が、コメントとして寄せられた「グリップの変更・加工が必要になるのか?」という質問に回答しなかったのは残念です。私は現在、25m GSP用と10mエアピストル用のRinkグリップを所有しています。メーカーからグリップが規格に適合しているかどうか、明確な回答があればいいのですが。(マーチンF)
- >Rink製グリップが規格に適合しているかどうか、メーカーから明確な回答があればいいのですが。
グリップ単体でそれが違反かそうでないか判断するのは難しいと思います。多くのエアピストルはグリップの角度を自分好みに調整することが可能ですが、その調整は3番目のポイントに影響するからです。
私のRinkグリップはどちらも「湾曲部は、グリップの最も深い部分からバレルの中心線に向かって下向きでなければならず、グリップは手を囲んではならない」というポイントを満たしていません。どちらも上向きに湾曲しているからです。(フォンカスタ:スウェーデン、ヴァドステーナ)
- 「ホーンの長さは40mm以下」という新ルールが、Morini 162のオーナーにどのような影響を与えるのか興味があります。モリーニは元々ホーンがかなり長いと思います。実際に測ったことはありませんが。(KZMNT)
- こんにちは。私の理解が正しいかどうか、どなたか確認していただけないでしょうか? 実際のRinkグリップの写真に線を描き入れました。新しいルールに準拠するためには、赤色とオレンジ色で塗りつぶしたエリアを削り取る必要がある、という理解で合っていますか?また、この実際のグリップ写真にルール2をどのように適用すればよいでしょうか?(マーチンF)
- >私の理解が正しいかどうか、どなたか確認していただけないでしょうか?
そのグリップは、ルール2(ホーンの長さ)についてはおそらく問題ないでしょう。少なくとも私のリンクグリップは箱から出した状態でルールの範囲内に収まっています。(フォンカスタ:スウェーデン、ヴァドステーナ)
- ルール3は非常に厄介で、グリップがピストルにどのように取り付けられているか、どのように動かされているかによってルール違反になるか、それともならないかが変わってきます。市販状態でのRinkグリップは問題ないかもしれませんが、それをピストルに取り付けてグリップを調整して傾斜角を大きくすると違反になり、射手自身で加工する必要がでてきます(そして、それができない人もいます)。(アズモダン:ルーマニア)
- ルール1(ホーンの長さ制限)は分かりやすいと思います。
ルール2(ホーンの後端部の角度制限)も理にかなっています。射手が上から手を覆うような形でパテ盛りをしている写真を見たことがあります。
ルール3(ヒレの部分が上方に湾曲しない)も理解できます。しかしこの部分を軸と平行(および下向き)にするためにグリップを削っても、スコアには何の影響もないと思います。問題点としては、同じグリップでも角度調整によってはルールに適合する場合と違反となる場合があるため、扱いが難しいということがあります。グリップおよびエアピストルのメーカーは、このルールへの準拠を保証することはできません。(※3)
(グランドライフル)
※3:「調整のしかたによっては箱出しノーマル(純正)のものでもルール違反になることがある」という点では、これまでも実は同じ問題がありました。左右の角度を調整できるグリップの場合、あまり大きく傾けるとエアピストルの全体幅が基準箱の範囲を超えてしまい違反になる、ということがしばしば起こりました。
- MESHPROグリップにどのような影響があるのかも気になります。アレはそう簡単に切断したりできないですよね?(マーチンF)
訳注:
MESHPROグリップはドイツのカスタムグリップメーカーです。専用アプリを使って自分の手の形状を計測(専用の用紙の上に自分の手をピッタリと押し付けた状態で真上から撮影した写真を添付)して送ると、3Dプリンターでその手に合わせたグリップ(ポリアミド製)を出力して送ってくれるというものです(S/M/Lの既成サイズもあります)。集合体恐怖症の人にはちょっとおススメできない見た目をしています。
- MESHPROのグリップをドレメルを使って加工することは可能です。確かに「中空」なので加工できる範囲は限られますが、実際に加工しているのを見たことがあります。(KZMNT)
- わあ、素晴らしいガイドですね! 特に深さガイドが素晴らしいです!
新ルール適合グリップと従来グリップの違いと言われても、パームレスト後端の位置が曖昧ではなくなったこと以外は特に違いは感じませんでした。これまではそこが曖昧だったこともあって世界大会などのハイレベルなファイナルにおいて、様々な選手のグリップについて多くの議論がありました。新ルールによって、公平なプレーが行われていることを誰もが信頼できるようになるのならば、このルール改正は適切だったと思います。 私も手持ちのグリップを加工しましたが、ひと目見ただけで合格と判断できるくらいに十分な安全マージンをつけて計測したところが違いになりますね。パームレストのカドはR2mm、ホーンの長さも40mm未満にしました(実際、これまでも概ねそのくらいで、延長する必要性を感じたことはありませんでした)。
モリーニの銃をいくつか手がけていますが、新しいルールに合わせるためにみなさんかなり混乱されています。CM200とCM162はどちらもホーンの長さ40mmルールに全く合格しませんが、FWBやワルサーとは異なり、「45度以上の角度で切断している」ということは遥かに明瞭になります。なぜなら、50m離れた場所から見ても目視検査に合格するほど派手にぶった切る必要があるからです。(KZMNT)
- >「3mmの丸み」は、どこのご家庭にもある.22LRのケースがだいたいそのくらい
ルールには、「パームレスト後端のカドに半径3mmの丸みつける必要がある」なんてことはどこにも書かれていません。怪我を防ぐためにRinkが推奨しているだけです(私も同意見です)。
私が作ったテンプレートはもう少しシンプルですが、それでも十分です。(rmca:ポルトガル、リスボン)
- >使用したツールは(中略)スティップリング用の改造パンチです
グリップに凹凸をつける方法について教えてください。いくつかの方法を試してみましたが、どうにもうまくいきません。(クリネアド)
- 私は古いドライバーを使って点刻ハンマーを作りました(写真参照)。
ピストルのグリップの再仕上げにとても便利です。(ニック・マーシャル)
- >古いドライバーを使って点刻ハンマーを作りました
このツールは良さそうですね。古いクルミ材は非常に硬いので、単一の窪みを広範囲につけるのには時間がかかります。少し重りを追加してみるのはどうでしょうか?(デビッドM)
- 重りを追加して試したことはありませんが、打刻前に木材を湿らせるだけでうまくいきます。(ニック・マーシャル)
現在、エアピストル競技で使用されている銃のメーカーは、ステイヤー、モリーニ、ワルサー、パルディーニ、ファインベルクバウといったところです。その多くがグリップの3D調整機能、つまりあらゆる方向に回転させる(ほんの少しの角度だけですが)調整機能を持っています。あまり大きく回転させてしまうと銃の左右幅がルールで定められた範囲を超えてしまったりすることもある、というのは最初に書いたとおりですが、今回のルール変更でグリップの後方、握った手の母指球のカーブに沿って手のひらに振れる部分の形状に制限が加えられたため、前後方向に回転させた(前に傾けたとき)に、そうでないときにはルールの範囲内だったものがルール違反になってしまうこともある、という点に注意が必要です。
エアピストルやグリップのメーカーが、「新ルール対応のグリップを発売」とか「グリップを新ルールに対応させる加工請負」みたいなことをしないのは、それが理由の一つになっているのではないか、ということが指摘されていますね。もっとも、そういうのが関係ない(どう調整しても変化がない)パームレスト後端の角度だとかについては、これから販売するものについては対応済なのかそうでないのかくらい明記してくれても良さそうなものなのですが。
とりあえず当面の間は、ここにUPされてるみたいなテンプレートを自作して、自分の手で自分のピストルのグリップを加工することでなんとか新ルールに対応させるしかないのでしょう。