Categories: 実銃射撃

エアピストルのグリップを2026ISSF新ルールに対応させる

2026年1月から適用されるISSFの新ルールについて、前回はざっと読んで変更点はどのくらいあるかをチェックしてみましたが、その中でピストル撃ちにとって大きく影響がありそうなのがグリップに関するルールです。

ISSF公式ルールブック内にあるイラストは、どうにも分かりづらいというか、水平とか垂直とかどこの何を基準にしてるのかが不明確だったり、というかぶっちゃけ絵が下手くそなんで「これって、どういう?」って感じだったのですが

「これじゃわからん」ってのは全世界的に共通認識だったようです。

競技ピストル用のカスタムグリップ専門メーカーであるRink Grips(公式サイト)が、新ルールの正確な解釈と、わかりやすいちゃんとした図面をUPしてくれました。今回はそれを参考に、既存のグリップは「どのくらい」ルール違反になるのか、新ルールに適合するように加工するとなるとどこらへんをどのくらい加工しないとならないのかをチェッkうしてみたいと思います。

Rink Gripsによる新ルールの解釈ページにあるイラストを参考に見ていきましょう。

こちらがRink Gripsによって描きなおされたイラストです。こっちのほうが断然わかりやすいですね。

番号がふってあるので順番に見ていきましょう。

①10m競技では、リアサイトの下の「ホーン(※)」の長さは40mmまでに制限される。

※「ビーバーテイル」とか呼ばれてる部分です。ISSFのルールブックでは、「フレームまたはグリップの後部で、親指と人差し指の間にある手の甲の上部に接する部分」というふうに定義されていました。そして40mmというのはその後端「ではなく」、手の甲の上部に最初に接触する点から測定開始となります。

②「ホーン」の後縁は、銃身軸と平行に測定して 45度以上の角度になっていること。

③親指の付け根のエッジの端は、バレルの軸と並行~下向きに傾いていること。

※この「親指の付け根のエッジ」というのは、ピストルグリップの後ろにあるヒレみたいになってるところの角のことです。手のひらの「たなごころ」の下端と接するところ、もっとダイレクトに言うと「(手相でいうところの)生命線の一番手首に近い端っこ」と接するところですね。

④パームレストの後端は、パームレストの端に対して直角を基準として30°以上の角度であること。それと角の部分の丸みは半径3mm以下であること。

これを前提に、手持ちのエアピストル(モリーニCM162E)のグリップがどのくらい新ルールに適合しているか(していないか)を見てみましょう。
※グリップサイズは、確かMだったと思います

けっこう、ヤバいですね。

特に①のホーン(ビーバーテイル)の長さは余裕で55mmくらいありますので、「40mm以下」というルールにはぶっちぎりで違反しちゃっています。ルールに適合するようにするためには、図の黄色いラインで切断する必要があります。

③の部分は自前でかなり削って形状が変わっていましたが、ギリギリで下向きに傾斜している形は保ってますのでなんとかセーフ。

④の部分、これも確実にルール違反になってますね。切断を強いられるのが上下調整できるパームレスト部分だけなら、まあノコギリでぶった切ってしまえばいいのですが、その向こう側にあるグリップ本体部分まで切れって言われると、その中に電子基板が入ってますんで「それ、無理です」って話になります。いくらなんでもそんなことは言わないと思うのですが……。

では次に、ステイヤー(Evo10E)のグリップを見てみましょう。
※グリップのサイズはMです。

こちらは、①の「ホーン(ビーバーテイル)の長さ」については問題なさそうです。後端の角度もルールに書かれてるのは「45°以上」なので問題なし。

ただ③の部分は、明確に上方向にカーブしてしまっているので、これは削ったりする必要がでてきそうです。④についてもモリーニと同様、かなり大胆にカットしないとなりません。
※というか本当にここ「30°以上」がルールなんだろうか……? そもそもここが鋭角になってるかなってないかで射撃に有利になったり不利になったりする要素があったりする? どうにも不可解でなりません。

と、まあこのように、ルールをそのまま素直に解釈すると、そこそこ大幅な加工が必要になりそうな気配です。私は手持ち工具に丸鋸があるので加工そのものは簡単に終わりますが、そうじゃない人もいると思うのでしばらくは混乱があるんじゃないでしょうか。

それになにより心配なのは、ISSFルールって一度こうするって決めた後に、「やっぱりやめました、元に戻します」ってことになった事例が少なくないことです。ファイナルのルールなんて何度それで振り回されたことか。

ファイナル、元に戻るのかよ (2023年5月22日)

ファイナルのルールくらいだったら、それがいくら変更になったって一般射手には言ってしまえば「たいして影響はない」のですけれど、グリップを切るとなるとそうはいきません。切っちゃったグリップは元に戻りませんから、「やっぱ新ルールはなし、元のルールに戻します」とか言われたらブチギレ案件待ったナシです。

しばらくはノコギリ入れないで様子見かなあ……。

池上ヒロシ

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池上ヒロシ