エアピストルとは、なにか(迫真)【海外の反応】

世の中にはスポーツと名がつくものはたくさんあるのに、なんでまた射撃なんてものを選んだのか。同じ射撃でも、金持ち同士の社交場みたいな側面もあるクレー射撃ではなく、なんでまた地味でマイナーな静的射撃を選んだのか。しかもよりにもよってやってる人が多いライフル射撃じゃなく、理不尽とも言える制限が多いピストル射撃なんてもんに手を出したのか。

真っ当な理由だとか、合理的な判断だとか、そういうのがあったら選ぶわけがないのがエアピストルを使った射撃スポーツという世界じゃないかと思います。そういう理屈をふっとばすくらいに強烈な動機、「ああ、自分は、こういうのをやりたい」と心から思えることができるなんらかのきっかけがあったから、じゃないでしょうか。

※私の場合は、1980年代のGun誌に掲載されたTurkさんのヘンメリーFPの記事がきっかけだったと思います

それほど理不尽な規制がないアメリカやヨーロッパでも、いや規制がなく選択肢が多いからこそ(?)、数ある射撃スポーツの中から「なぜ、エアピストルなのか」という問いかけは、それなりに意味を持ったものになるようです。トップモデルのエアピストル(ステイヤーEvo10EとかモリーニCM200EとかワルサーLP500とか)の値段はけっこうとんでもないもので、同じお金を出せばセミオートのハンドガンのそこそこいいやつ~相当にいいやつが買えてしまいます。なぜそういう「ホンモノの拳銃」ではなく、圧縮空気で撃つ弾で10m先の紙的にペチペチと穴を開けるだけのスポーツのほうを、あえて選ぶのか?

技術的な話とか大会運営やルールに関する実際的な話が多いTargetTalkで、珍しくそんな哲学的(?)なタイトルのトピックが立てられてました。けっこう面白い話をしていたので抜粋して翻訳してみたいと思います。

エアピストルとは、なにか(迫真)

targetTalk:How do you define Air Pistol


  • エアピストルとは、あなたにとってどういう存在ですか?
    競技射撃に分類されるスポーツは数多く存在しますが、メインでやっている競技がどんなものであっても、エアピストルは競技射撃というスポーツの基盤となるものです。
    エアピストルは、精度、制御力、忍耐力、精神的な集中力、精神的な強さ、そして集中力を要求するトレーニング種目であり、継続的に取り組むべきものです。
    長時間にわたり、同じ動作を精密に何度も反復します。その退屈な動作を感情を排して実行することが重要なのです。射撃技術、集中力、そして精神的な強さの習得を選手に求める、オリンピックや国際射撃競技への足がかりとなる種目――それがエアピストルです。(デビッドM)
  • 全く同感です。エアピストルを練習して上手くなれば、他の射撃も全て上達します。一番難しいと同時に、一番やりがいのある射撃です。(モーターサイクル・ダン/オハイオ州マウントバーノン)
  • 最も難しい競技射撃――あなたが求めるものがそういうものであるのなら、ぜひフリーピストルにトライしてみてください。
    フリーピストルは、人生において味わうことができる挫折、失望、うまくできないことへの落胆、そういったありとあらゆるものを内包しています。エアピストルはそういった地獄のような世界へ人々をいざなう甘い誘いだと私は考えています……。(Gホワイト/マサチューセッツ州)
  • はい、フリーピストルはさらに難易度が高いです。ですが、エアピストルは射撃の基本すべてを練習するためのピストルです。(デビッド・M)
  • 私がコーチを務めている大学チームでは、「PE.22クラス」を受講した生徒も含め、全員にエアピストルを最初に使用させます。「PE.22クラス」は射撃技術ではなく、安全と慣熟に重点を置いたものです。エアピストルの試合で500点を取れるようになるまでは、Hammerli AP20を使い続けます。500点を取れるようになったら、グリップの優れたハイエンドエアピストル(Steyr、Morini、Benelli、Hammerli AP40など)にアップグレードします。2回目の試合で500点以上を取れたら、22口径の銃を使い始めます。数十年にわたって続けられてきたこのプロセスは、複数の大学ナショナルチャンピオンを輩出するという成果をのこしています。(Gホワイト/マサチューセッツ州)
「500点を2回でいいんですか!楽勝ですね!日本だと555を公式大会で2回撃たないと22口径ピストルを所持すらできないんですよ!」ってレスつけようかと思いましたがすんでのところで思いとどまりました
  • フリーピストルが衰退しつつあるスポーツというのは本当に残念だ。(ブレント375hh/ミネアポリス)
  • >エアピストルはそういった地獄のような世界へ人々をいざなう甘い誘いだ
    同意です!!!!!(レンゾ/アルゼンチン、サンタフェ)
  • 本当にその通り。フリーピストルを存続させなければならない。(ドワイト)
  • フリーピストルを救う唯一の方法は、100年以上もの間ずっとそうであったように、再びオリンピック競技にすることです。(ゴート/アメリカ・ミシガン州)
  • 実際のところ、フリーピストルはまたオリンピック種目になると思いますか?
    LA2028で復活することを願っています。アメリカはフリーピストルがかなり得意で、過去100年間で4回金メダルを獲得しています。最後に金メダルを獲得したのはいつでしたっけ……1952年でした……ダメかも……
    でも、ブリスベン2032ではまだ望みが!?(ブレットP)
  • 残念ながら、望み薄だと思います。いまのトレンドは、テレビ中継向きのダイナミックなスタイルになってしまっています。(デビッド・M)
  • >フリーピストルはまた戻ってくると思いますか?
    いや、無理だろう。まず、一般の観客には退屈すぎる。それに途中休憩(ブレークタイム)的なものがなく時間が長すぎて、コマーシャルを入れる余地がない。(ロカダ)
  • ああ、なんて悲しいことだろう。(コワル_1986)
  • 10mエアピストルの予選60発も、見ているだけで退屈だと言う人もいるでしょう。
    テニスやダーツのように、直接対決形式の方が良いのではないでしょうか。(ブレットP)
  • 昨夏のNRA全国大会で、ジム・ヘンダーソンが「フリーピストル」マッチを企画しました。このスポーツが復活するなんて素晴らしいと思いました。ところが、残念ながら出場者は4人だけでした。嬉しいことに、私はトップ5入りを果たしました(笑)(モーターサイクル・ダン)
  • マサチューセッツ州の夏季オリンピック(ベイ・ステート・ゲームズ)では、毎年フリーピストル競技が行われています。私はこれを、年に一度の「謙虚さを磨くための練習」と呼んでいます……。(Gホワイト)

先日、埼玉の長瀞総合射劇場で開催された全日本選手権(フリーピストル)も参加人数は5人でした。アメリカと似たようなもんですね!(笑)

池上ヒロシ

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池上ヒロシ