どうやったら射撃スポーツを今よりもメジャーにできるんだろう?
これはもう、ライフル射撃だけじゃなくクレー射撃でも、トイガンを使ったシューティングスポーツの世界でも、なんならeシューティングと呼ばれるビデオゲームでの世界でも、どこでも同じ悩みだと思います。
――規制は厳しくなる一方、銃所持者は減る一方、こんなんじゃ普及なんて無理だ。射撃スポーツはもうこの先ゆっくりと衰退していくしかないんだ――
みたいな諦めの声を聞くこともあります。しかしその一方で、意外なところでスポーツ射撃の人気が高まり「始めてみたい」という人が射撃場に押し寄せて超満員になる、なんてことも、稀にですが起こったりします。
射撃とは別のスポーツでも、マイナー度合いが進む一方でもうダメだみたいな雰囲気があったところを、協会トップがやる気を出したのがきっかけで一気に風向きが変わり、国内大会でも有料の観客席が満員になる人気スポーツへと変貌させたなんて事例があったりします。
なにをどうすればいいのか、なかなか正解は見当たりません。
日本に比べれば銃規制が格段に厳しくないアメリカやカナダなら、さぞかし大勢の人が銃を所持して射撃スポーツを楽しんでいることでしょう――と思いたくなりますが、ことはそう単純ではありません。人気なのは威力の強い連発銃を使ってターゲットをバンバンと撃つ豪快な射撃のほうで、オリンピックなどで行われているような精密射撃系のスポーツ射撃はどちらかというと日陰者で、メジャーなスポーツとは言い難い存在だったりするそうです。
そんなアメリカにおいて、「射撃を盛り上げるために必要なこととはなにか?」と呼びかけるスレッドが、射撃専門BBSであるTargetTalkにありました。投稿されたのは最近ではなくけっこう前、2016年のことです。リオ五輪が始まるちょっと前あたりですね。
日本とはいろいろと事情は違うとは思いますが、「地味だ地味だ言われていまいち盛り上がらないISSF系のスポーツ射撃は、どうやったらメジャースポーツになれるのだろう!?」というテーマについて投稿されたいくつかのアイデアには、銃規制の厳しさレベルに関係なくどの国においても参考になる要素がたくさんあると思います。抜粋して紹介してみたいと思います。
引用元:TargetTalk「Make Shooting Great Again!」
この投稿は、射撃スポーツの人気を高めるために皆さんにお願いしたい、小さな取り組みについて書かれたものです。そうです、特に若い世代に向けてのものです!
最近の若者はインターネットに多くの時間を費やしています。その大部分をYouTubeが占めていることでしょう。若者だけではありません、こういうネット上のBBSを読んだり書いたりしている年配者の多くにも当てはまります。
しかし、YouTube でスポーツ関連の射撃ビデオを探しても見つかるのはISSFの公式動画ばかりです。それ以外はほとんど見つかりません。1994年のドイツの動画、Bruno Francescoによるイタリア(?)の動画、、ピストルの射撃方法に関する旧ソ連の動画(なんとモノクロです!)が見つかるくらいです。
この状況には、多くの改善の余地があります。たとえば、Steyr LP1に関するビデオは1つもありません。そして、LP10は人気があるにもかかわらず、数本しかありません (1つはフランス語、もう 1つはドイツ語だと思います。Steyrのチューニングビデオは私たちの目的には役立ちません)。
だから私は提言します。この状況を変えましょう。
LP1、他のピストル、射撃、リアサイトの調整、正しい照準、ターゲット、オリンピックピストルに関するあらゆることについての動画を作り、投稿しましょう。Youtube動画だけでなく、Wikipediaの充実も必須です。トップシューターたちのWikiのページは空っぽも同然です。五輪で獲得したメダルについてちょっと書かれてる程度でしかありません。
銃や射撃には興味があっても、競技射撃・スポーツ射撃というものを見たことがなく、そのようなものがあることすら知らない人(特に若い人!)はたくさんいると思います。これは、私自身の経験からも言えます。私は「BBガン」でオリンピックチャンピオンになれるなんて知りませんでした。YouTubeにはスポーツ関連の射撃に関するものはほとんどありません。
あなたはカメラを持っていますか? もし持っていなくても、できることはたくさんあります。
YoutubeにUPされているISSFや他の射撃関連動画にコメントしたり、特定のアスリートがどのピストルを使用しているかを尋ねたり、(なるたけ返信を強要するような書き方をしないように気をつけながら)本当に知りたいと思ってることを尋ねたり、新しいファイナルの形式やその他の主題についてコメントしたりしてください。動画に「いいね!」または「嫌い」を付けてください。あるいは、女性射撃手がどれだけセクシーかと書くだけでも構いません。おい、そこのかわい子ちゃん、俺の部屋に来て俺の銃を見ないか?(いや、実際はそんなコメントは書かないでおくれよ!)
誰かが射撃用のメガネをからかうなら、この男たちは全員50メートル離れたところから銃を何の委託もなしに撃ってリンゴに確実に命中させるんだぞと言って感心させましょう。
「すごいBBガン」でオリンピックチャンピオンになれるという事実で人々を感心させましょう。
私にとってオリンピック射撃はヨガのようなもので、自分自身との対話であり、リラックスして感情をコントロールすることを教えてくれるものです。こういう紹介の仕方で、「面白そうだな、射撃をやってみようかな」と思ってくれる人はいるでしょうか? わかりません、けれどやってみる価値はあるんじゃないかと思います。 銃というと、ハリウッド映画に出てくるような派手なドンパチの印象ばかりだけれど、そういうのとはまるで異なる観点ですから。
特におすすめしたいのはエアピストルです。これは射撃スポーツにとって、「ゲートウェイ・ドラッグ」に相当します。
なんといっても、エアピストルは安価です。もしお金に困ったら売ってお金に変えることもできます。消耗品である弾丸は、超安いです。そして、一度ハマると、もっと強いものを試すことができます。ヘロインのように。
私がお願いしたいのは、もう少し活動的になるために、ほんの少し時間を割いてもらうことです。無理に何かをする必要はありません。「見たい」と思った時だけでいいので、ISSFのビデオを見てください。私がそう思ったのと同じように、あなたもミュンヘンの射撃場がひどく醜いと思うかもしれません――そしたら、そのことをコメントに書いてください。そうすることで、コミュニティのつながりが深まります。もっと会話が生まれます。
それを繰り返していけば、ISSFは他の人の意見を知るということを始めるかもしれません。現状では、明らかに射撃をしている人たちとISSFのつながりが不足しています。
コメントに書き込むのはなんでもいいんです。音楽についてはどうですか、好きですか?嫌いですか? お気に入りの射撃選手はいますか、でしたらWikiページに情報を追加してください。
そして、もう一つ。トランプに投票してください。(ハンドルト)
いろんなアイデアが出てきましたね!
「youtubeの射撃動画にコメント書け! いいねを押せ!」なんてお手軽にできることから、「Wikipediaの射撃関連の項目を充実させろ、どんどん書いてけ」なんていうちょっとハードルが高いもの、さらには「ゴルフ場のクラブハウスに射撃場を併設させよう」なんて無茶な話まで。「広いから余裕だろ」と書いてますが、いやいやそんなはずは。というかアメリカやカナダのゴルフ場クラブハウスってもしかして「射撃場くらい余裕で併設できる」くらい広かったりするのが普通だったりするの?
冒頭にリンクを貼った、フェンシングの躍進についての記事、これなんかも「絶対無理だって言われてたマイナースポーツを盛り上げることに成功した事例の一つ」として参考になるものは多いはずです。「メダルさえ取ればなんとかなる」と言われ続けて頑張ってメダルとっても変わらなかった、お金かけて宣伝すればなんとかなることはわかってるがお金なんかない、ならどうすればいいのか? というところから、お金をそれほどかけなくてもできるところからコツコツと積み上げていった、というアプローチが実を結ぶまでの経緯が書かれてます。
共通してるのは、「なにやってもダメだ」って諦めてたら何も変わらない、ってことですね。これはもう絶対の真実っていっていいと思います。
なにか、しましょう。できることから!