ガンマメ~銃の豆知識~ 法律関連

【ガンマメ】準空気銃を許可を取って所持する方法はある?

投稿日:2015年6月21日 更新日:

無理。使用目的が無いから。

2006年の銃刀法改正によって突如登場した、「準空気銃」という摩訶不思議なカテゴリー。「準」が付かない普通の空気銃のように「人の生命に危険を及ぼし得る」ほどの威力は持たないが、「人を傷害し得る」くらいの威力があるため、違法とされたエアガンのことだ。具体的には、法改正前に販売されていた「けっこう威力高めのエアガン」や、「ショップによるハイパワーカスタム」あたりが該当する。

銃刀法改正により、それらは売買はもちろん、誰にも見せずに所持しているだけのことも禁止となった。それまで普通にそこらへんの量販玩具店でおおっぴらに販売されていたものが、ある日を境に突然「持ってるだけで違法」なものになってしまったわけで、大きな混乱になった。混乱は今でも続いている。銃刀法改正の話が出てからそろそろ10年が経つが、おそらく未だに何万挺という「違法な準空気銃」が、それを持ってるなんてことすらすっかり持ち主には忘れられたまま押入れの中などにしまいこまれていることだろう。気づかないうちに「違法な銃所持犯罪者」になってしまっている人が何万人もいるということだ。

準空気銃の所持を例外として認める条文というものもいちおう存在する。存在はするのだが、「法令に基づき職務で所持する場合」だとか、警察官などが押収品を保管する時だとか、許可を得て輸出用の(国内では販売できない)エアガンを作っているメーカーがその製品を手元に持っている場合だとか、そういう極めて限られたものだ。
 

669px-BB_gun_with_CO2_and_BBs海外製の、小型ボンベ内のCO2ガスを使って金属の弾を撃つ「エアソフトガン」。おそらく準空気銃ではなく空気銃扱いになるパワーがあるんじゃないかと思う。もちろんこれも「使用目的がない」という理由により日本では許可を取って所持することはできない。Photo : Hustvedt

銃刀法改正前に、ハイパワーエアガンを使ってサバイバルゲームなどをしていた人たちにとっては、今の規制内パワーでのゲームは「緊張感がなくてつまらない」と感じることもあるようで、少々面倒であってもなんとか許可をとって「準空気銃」に該当するエアガンを所持して使用することができないだろうかと思う人もいるらしい。だが、前述のとおりそれは無理だ。レジャーのために特別に許可する、という制度自体が存在しないからだ。

「準空気銃よりも威力が強い狩猟用の空気銃は、許可を取れば所持できるのに、なんでそれよりも威力が弱い準空気銃はダメなんだ? 矛盾してるんじゃないか?」

それは大きな勘違いだ。準空気銃は、威力が「強い」からNGだというのではなく、むしろ逆で、威力が「弱い」からNGなのである。

準空気銃が(限られた例外を除いて)一切の所持が禁止されているのは、玩具として無規制で流通させるには威力が高すぎるが、狩猟に使うには威力が小さすぎて役にたたず、それを使わないとならない公的な射撃スポーツ大会というものも存在しないからというのが理由になる。一言でいうと、「使用目的が存在しない」ということだ。

日本の法律では、銃の所持が原則として禁止されている。その上で、認められるべき使用目的がある場合にのみ特別に所持許可が下りるという形になっている。禁止されているものが「特別に許可」されるためには、それなりの誰もが納得できるちゃんとした理由が必要になる。狩猟のためだとか、国際的に行われている射撃スポーツのためだとか、あるいは特別な職業に就いている人が職務のために所持する場合などがそれに該当する。少なくても、「以前のようにスリリングなサバイバルゲームがしたいから」というのは、残念ながら「誰もが納得できるちゃんとした理由」としてはあまりにも弱すぎるんじゃないだろうか。

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