実銃を持ちたがらない本当の理由
今年の1月に、「無料で譲ります」って告知したハンドライフルですが、「将来的にエアピストルに進みたいので、その銃をください」って問い合わせは残念ながら今のところありません。すでに実銃所持して射撃をやってる方からの問い合わせはあったのですが…。
実際にエアガンのシューティングレンジやサバゲフィールドなどで話をしてみても、興味を示してくれる方はいても実際にほしいとまで言ってくれる人はいないのが現状です。なんか、ものすごく面倒で大変なシロモノだと思われてるみたいです。具体的にどういう点が?と聞いてみても帰ってくる答えは、例えば「アパートなんで壁にネジ穴を開けるわけにはいかないし…」とか、「もうちょっと給料が上がって生活が安定するまでは…」とか、そんな感じ。壁の穴なんて退去時に修繕費払う覚悟があれば関係ないし、空気銃の維持費なんてタダみたいなもの(弾代は高いBB弾と同じ程度、射撃場使用料も数時間数百円とかその程度)だし、理由といえるほどの理由じゃありません。
挙げられたその「理由」は言葉通りの意味じゃなく、その後ろには言葉には出てこない「本音」みたいなものがあるんじゃないかと思います。「実銃を所持する」ということに対する尻込み感というか、「オモチャとは違う、なにか物凄く特別なモノであって、それを所持したり維持したりするのには生活の全てを犠牲にするような覚悟が必要」だとか、そんな風に思われてるような気がしてなりません。
実銃とエアガンは、それほど大きくは違わない
私の場合は周りの環境がちょっと特殊だったのかもしれません。エアガン(オモチャ銃)を使ってのサバイバルゲームや標的射撃スポーツをやっていて、そこからさらによりレベルが高いところで楽しむために実銃を所持した、といった感じです。たまたま、タダ同然でハンドライフルを譲ってくれる人がいるという話があったのもありますが、いずれにせよ「所持許可のための手続き」はそれほど面倒だとは感じませんでしたし、精度の高いエアガンと譲ってもらった実銃とで、それほど扱いだとか手にした時の心構えだとかが大きく変わった自覚もありません。
実銃はエアガンに比べて、少し撃ちだされる弾の威力が強めなことと、製品そのものを作るのにかかっている技術のレベルやコストがエアガンとは桁外れに高いこと、そしてその結果として当然のことながら命中精度もトリガーのフィーリングも圧倒的に良いこと。そういった「レベルの差」はありますが、「弾を撃つ銃である」という点では全く同じで、シームレスに繋がる同じ系統の道具であるというイメージしかありませんでした。
けれど、こういう考え方って今になっていろいろと聞いてみるとかなり特殊な考え方のようです。エアガンをメインにしてサバイバルゲームだけでなく競技射撃をやっている人、逆に実銃で競技射撃をやっている人、どちらに聞いても「オモチャ銃と実銃は全然別のもので、片方をやってる人がもう片方をやりたがるなんてことはまずありえない」みたいな回答が帰ってきます。なんで私はエアガンと実銃をシームレスに感じるという、変わった考え方をするようになったのでしょう? 周りに同じような考えの人が多かったことも影響しているかもしれません。まだ新宿歌舞伎町に貸し銃が撃てる実銃射撃場があって、そこで(骨董品に近い旧式の製品ではあるものの)本格的な競技銃の射撃体験があったことも影響しているかもしれません。
どっちの考え方が正しいのか? そりゃ、「私」は「私」なので、自分の考えのほうが正しいと思っています。エアガンと実銃をことさらに区別するのは間違いである。エアガンは、単に威力がある程度低いから法規制が緩いだけの「銃」であり、空気銃はある程度威力が強いからある程度厳しい法規制がある「銃」で、ライフルや装薬ピストルは威力がかなり強いのでかなり厳しい法規制がある「銃」である……。違いといってもせいぜいその程度の違いしかないんじゃないでしょうか。最近のエアガンは性能も上がり、かなり高いレベルでの競技射撃ができるようにはなっていますが、そこからちょっとだけ面倒な手続きを経るだけで、さらに段違いに高いレベルでの競技射撃ができます。その「ちょっとだけ」が、なんでそんなに大きな溝だと感じられてしまうのか、逆に不思議なくらいです。
実銃所持のハードルを下げるためにはエアガンシューターの力が必要だ
エアガンでの競技射撃というのは、同じエアガンを使うサバイバルゲームに比べると愛好者の数はずっと少ないことは確かですが、それでもなかなかの盛り上がりを見せています。毎週どこかしらでなんらかの大会が開かれている上に、全国大会などが開かれれば数百人もの参加者が集まります。人数の多さはレベルの高さにつながります。エアガンを使った精密射撃の参加者競技レベルの高さは、なかなかのものです。上位に入賞する人たちがハンドライフルやエアピストルを手にして練習すば、1週間もしないうちに初段以上の点数を撃ってしまうでしょう。現時点でエアピストルを所持して競技をしている民間シューターの中でも「上位」といっていいレベルにまで、あっという間に食い込んでくること間違いなしです。
現状では、エアピストルには所持できる人数に「枠」があります。全部で500人、そのうち7人が近代五種に割り当てあられてるので普通にエアピストルを撃つ人は残りの493人分の「枠」を取り合う形になります。基準となる点数があり、公式な試合でその点数以上を撃たないと「枠」から追い出されてしまい、開いた分は順番待ちをしている候補者に割り当てられるという形になっています。
「枠」の人数を増やしたいという要望は、もう何十年も前から出されているそうです。それこそ最初は50人(装薬ピストル含む)だったのが、エアピストル独自の枠として独立して150、250、500人と拡大してきた経緯があるとのこと。枠を増やすためには何が必要か? 競技レベルの向上が必要なのです。エアピストルは「国際大会の候補選手」にのみ特例で所持許可が出るというタテマエになっています。ということは、500人枠のほとんどが国際大会で勝ち負けできるレベルの高い点数を日常的に撃っているような状態になれば、「これだけじゃ足りないからもっと増やしたい」という要望が通りやすくなるということです。どんなスポーツでも同じですが、普及とレベル向上は表裏一体なんですね。
エアピストルの競技レベルを一足飛びにアップさせるもっとも手っ取り早い方法。それは、今エアガンで精密射撃競技をやっている人たちを引き込むことじゃないかと思ったわけです。既に書いたとおり、エアガン競技でのトップシューターがエアピストルを始めればいきなりトップレベルにまで駆け上ることは確実です。そうやって全日本ピストルの上位陣がエアガンシューターで埋め尽くされるようなことになれば、エアピストル枠の拡大はかなり現実味を帯びた話になります。枠が拡大されればますますエアガンシューターもそうでない人も増え、よりエアピストル競技が始めやすいメジャーな競技になり、さらに競技レベルも向上して…。というような「良い循環」が作れるんじゃないだろうか…。そんなことまで考えたりもします。
けれど、エアガンシューターの多くは、実銃所持に対して必要以上の「敷居の高さ」を感じてしまい、手をだそうとしてくれません。費用の点でも実力の点でも全く問題ないのに…。もったいない、本当にもったいないと思います。





池上さん、こんばんは、
私は、タケさんから、プリシーダをもらってから、実際フロンティアに行くまで、1年かかりました。(反対の意味で、思いのほか、敷居が高かった)
実際、APSを「レンジ」で、撃ってみて、「楽しい」。
わずらわしさがない。
楽しく撃つってことを思い出しました。
赤羽の社長のような方が、立派な射場を作り、練習会まで開催されている、、素晴らしい。
で、HRの件、やっぱり敷居は高いんでしょうか?
コメントありがとうございます。
ハンドライフルは、数ある射撃スポーツの中でも「最も気軽に始めることができて、最も気軽に続けることができる」ものだと思います。銃と弾と、あとは空気またはガスを詰める道具さえあれば、あとは普通の服、普通の靴、普通のメガネ(必要な場合は)で十分。コートも射撃専用靴も必要ありません。
玩具銃と違うところといったら、手続きが必要なこととロッカーを設置しないとならないことくらいですか。といっても手続きなんて散弾銃やライフルに比べたら格段に簡単ですし、玩具銃だって収納する場所は必要なわけで。実際のところ、所持許可を取って射撃を始めるということに対する「敷居の高さ」なんてのは、心の中だけのもの、ちょっと文学的(?)な表現を使うなら「怯える心が勝手に作りだした幻想」みたいなもんなんじゃないかと思います。
もっとも、本人は別にそんなことは無くても同居している方が、心の中にどうしても打ち砕けないそういう「幻想」を持っていて、それが障害となって所持に至ることができないという例もあります。これは「銃」ってものに対する世間一般の方々が持ってる認識からするとしかたのないところもありますね。けれど、そういう銃のことを何も知らずにただ恐怖だけを持ってるような「普通の人」ならともかく、銃についての知識も経験もある人までもがことさらに「銃を所持する」ことを恐れるのは本当に不思議です。
散弾銃とかはまだしも、拳銃は犯罪に使われるから、使用人数は増やしてほしくないな。