エアガンの規制について(5)

事実を列挙するのは以上で終わり、ここからは私の意見。

これらの数字やグラフを見て、「エアガンは改造されていようがされていまいが、実銃に比べれば全然威力も小さいし危険性なんかまるでない」というような認識に至ってもらっては困る。威力がどうであれ、銃の形をしていて、弾が出る以上、それは「危険なもの」であり、そう認識して扱うべきである。オモチャであっても、危険なことには変わりがない。ただ、その危険の大きさが実銃に比べれば格段に小さいというだけの違いでしかなく、意味もなく何の関係もない人間を撃つような真似が許される筈もない。そんなことを行う人間は、使った道具が単なる市販エアガンで、撃たれた側にたいした怪我がなかろうと、単なる「県の迷惑防止条例違反」のような軽い罪ではなく、それなりに重い罰を受けるべきだと思う。

エアガン市場には威力が高い製品のほうが良く売れるという傾向があるのは確かだ。パワーの高さを求めるニーズが確実に存在しているのである。だが、エアガンが「オモチャ」として存在が許されている唯一の理由が「パワーの小ささ」である以上、どこかで線を引いてそれを踏み越えないようにしなければならない。その線が、「このくらいは踏み越えても、いいんじゃないかな?」と思えるところにあったとしてもだ。

しかし、その線を踏み越えたところで、自主規制はあくまで自主規制に過ぎず、法律に違反したことにはならない。だから、誰もその線を踏み越えたことを罰することはできない。また、販売している製品の改造対策が甘かったとしても、それはそれだけでは法律違反でない以上、誰もその製品を作ったメーカーを罰することは出来ない。結局はモラルの問題ということになってしまう……。

しかし、炭酸ガスで金属弾を発射する銃は、作ることも持つことも、既にある法律で裁ける歴とした犯罪である。そういった違法改造銃は、自主規制がどうとかそういうレベルを遙かに超えたところにある、問答無用で実銃認定されて当然の代物である。銃刀法は(特別に許可されたものを除き)「銃」を持つこと自体を禁じた法律である。たとえ撃たなくても、外に出さずとも、誰にも迷惑をかけていなくても、銃を持っていればそれだけで犯罪とされる、それが銃刀法という法律の特徴と言える。

自主規制値を超えることが悪いか否か、エアガンがオモチャとして成り立つにはどこらへんに線を引くべきかといった微妙な問題と、エアガンの違法改造や違法改造銃での犯罪を取り締まることは、一見すると同種の問題に見えがちだが、実は全く次元の異なる別種の問題である。そこを混同して同種のものとして扱い、エアガン全般が今すぐに取り締まられるべき違法な状態にあるかのように思わせる報道は、あきらかな間違いである。それが無知からくるものなのか、意図的なものなのかはともかく、そういった報道には注意を払うべきである。間違った方向にリードする報道は、一件それが正義を叫んでいても、いや正義を叫んでいるように見えるときこそ、それがリードする方向には危険なものが潜んでいることが多いからである。

(了)

2011年9月追記
このエントリーを書いたのも随分と昔のことになった。その後、エアガンについては銃刀法にて威力の上限が定められ、その威力を超えるものは違法なものであり、超えないものは合法なものだと明確に区別されるようになった。それを受けて書いたのが下記エントリーだ。

エアガン規制の猶予期間終了・前編
エアガン規制の猶予期間終了・後編

「エアガンの規制について(5)」への7件のフィードバック

  1.  こんばんわ。はじめまして、奇天烈海月というぬるいエアガン好きです。
     このたびは、TBをしていただき、本当にありがとうございます。
     記事の方、大変興味深く拝読させていただきました。
     改造エアガンと市販エアガンは。パワーの点においてまったく別物、ということが詳細なデーターとともに実証されていて、大変勉強になりました。
     エアガン事件に興味ある人でも、そしてて何よりエアガンユーザーにとって、TBという形でたくさんの方に、この記事に触れていただくということは、喜ばしいことだと思います。
     改めて、ありがとうございました。
     しかし、やはり玩具銃というのは、難しい問題ですね。
     そもそも銃と言う存在は、あまり良いイメージをもたれていない上に、やはりパワーがある銃を求めようとする人は、どうやっても手に入れたがると思うのです。
     結局、今一番即効性のある手段は、エアガンユーザーの一人ひとりが「銃は危険なものなんだ」ということに立ち戻って、モラルを守っていくということではないのでしょうか? 
     今回のあきゅらぽ様の記事にも、私の思い込みかも知れませんが、そのような姿勢が見えて大変賛同しております。
     長々と書き込んでしまいましたが、この辺で失礼いたします。
     それでは、またお暇なときにでも、私のプログに遊びに来てください。

  2. しっぽ。様
    コメントありがとうございました。ご指摘は大変理論的で、正鵠を射ていると思います。
    確かに、
    ・市販のエアガンを高圧対応に改造するのは、部品も入手しにくく、改造自体も難しいので、一般市民には困難
    ・そういった部品を全面的に組み込んだエアガンは、とうていベースのエアガンと同じとは言いがたく、密造銃と同じ
    ・改造ベースとして使われているエアガンは単なるオモチャであり、それを登録制や許可制にしろという意見は単なる嫌銃意識に過ぎない
    ですね。
    銃刀法違反の違法改造エアガンについては弁解の余地はありません。それと、いわゆる「カスタム」「ショップモデル」といわれる普通の改造エアガンは、そもそも全く異なるモノだということも、理解していただきたいところだと思っています。
    この記事が多くの人に読んでいただけるよう、私のブログでも紹介させていただきます。

  3. マンマユート

    非常に興味深い内容でした。最後のまとめは私も全く同感です。ただ指摘しておきたいのは、デジコン社の姿勢(特に改造対策)について疑問を投げかけておられましたが、現状法律でエアガンの改造対策に関してなんら義務づけされていない以上、各社の自助努力に期待するのも限界があるという点です。民間企業である以上、それぞれ独自の考え方が有りコンプライアンス(順法)が達成されている以上は各社の営業方針と言う他無いと思います。デジコンの場合はそれがパワー路線であった、という事です。過去ハックが摘発された折に同社も捜査が入りましたが結局おとがめ無しと記憶しております。
    業界組合加盟が安全性を保障するものだという考え方が一部ユーザーの間で広まっている様ですが、これも根拠の無い先入観だと思います。最近、業界組合理事であるマルゼン社の固定ガスハンドガンがホームセンターで手に入る材料で簡単に高圧仕様に改造できる事が2ch等で騒がれており、どうもただのデマでは無い様です。実際9月まで違法改造されたデジコン並に極悪に改造された物がオークションで出品されているのを確認しました。こういった違法改造に終止符を打つためにはいっそのこと、金属製ガスマガジンの製造を禁止する他無いと思います。技術的には樹脂でガスタンクを含め一体成型する事は可能で、たとえバルブ部が金属だったとしてもタンク自身に強度がなければ持ちません。一体成型であれば、タンクを金属製に交換する改造もできません。メーカーが本気で改造対策を行うなら、ここまでする必要が有る様に思えます。

  4. イギリスでエアガン(エアライフル)が法律規制へ

    イギリスで、エアライフルが、法律の規制対象となるようだ。それも、通信販売が不可能となるだけで、店頭では買える。しかも、エアライフルの所持に免許が必要となるものではなさそうだ。
    ニュースでは、すべて「エアガン」と表現されているが、その実態は「エアライフル…….

  5. エアガンは発弾不可構造に, 弾打ちゴッコ用には黄色いモデルガンのみに

    改造するだけで,殺傷能力を持つように出来るなんてもうおもちゃとは言えませんね。日本は,以前に比べてかなり治安が危険な状態に移行してきている。こんな状態でインターネットによるエアガン改造情報などが流されては,鉄砲がそこらへんの血気盛んな連中に配られている。そん……

コメントは受け付けていません。

上部へスクロール